研究グループ(1)  自己免疫性水疱症の病態解明と治療法の開発
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研究内容
■自己免疫性水疱症の病態解明と治療法の開発
チームリーダー:立石千晴
研究紹介:自己免疫性水疱症、中でも水疱性類天疱瘡と粘膜類天疱瘡の発症機序の解明が現在の大きなテーマです。また自己免疫性水疱症で侵される分子群の遺伝子異常、表皮水疱症の研究も行なっています。これらの疾患では「ヘミデスモゾーム」あるいは「フォーカルコンタクト」という分子が「自己抗体」で壊されたり、「遺伝子異常」で作られなかったり構造異常が起こったりして起こる疾患です。通常ヘミデスモゾームが侵されればフォーカルコンタクトが、そしてフォーカルコンタクトが侵されればヘミデスモゾームがこれらの分子の機能を補っているのだろうと推測されてはいますが、これらの両者の相互作用についてはわかっていませんでした。これらを解明する研究をまず第一に行い成果を上げました(Tsuruta et al. 2002 FASEB J, Tsuruta et al. 2003 Cell Motil Cytoskel, Tsuruta et al. 2003 J Cell Sci, Tsuruta et al. 2003 J Biol Chem, Ozawa et al. 2010 J Invest Dermatol, Tsuruta et al. J Dermatol Sci)。われわれが使うメソッドは表皮角化細胞の中にGFP結合ヘミデスモゾームタンパク分子やフォーカルコンタクトタンパク分子を遺伝子導入して、これらの分子の動態を患者自己抗体の存在下、非存在下にLive cell imagingで解明するものです。
またその後、水疱性類天疱瘡の発症機序解明研究も行いました。今までは水疱性類天疱瘡は自己抗体が17型コラーゲン/BP180というものに結合後、補体の活性化→好中球の遊走→エラスターゼなどのタンパク分解酵素による分解というメカニズムが推測されていましたが、我々はこの以前に自己抗体が17型コラーゲン/BP180の細胞内へのマクロピノサイトーシスという機序での取り込みの結果接着力が弱くなること、そしてその結果として弱った部分にタンパク分解酵素が働くから水疱ができるのであるということを解明しました(Hiroyasu et al. (Tsuruta; Correspondence) 2013 Am J Pathol)。
このことはマクロピノサイトーシスを抑制する薬剤を開発することが将来の類天疱瘡治療に役立つことを思わせるのであります。
私が研究を行う上で大切にしていることは、「誰もが目で見て納得できる研究」です。確かに免疫ブロット、遺伝子異常の解明などは研究者にはわかりやすいものです。しかし、研究者以外の人々には少々わかりづらいものです。私は「目で見てわかる」をモットーに研究しています。
近年、臨床医となることのみを目標設定にする人々が増えています。もちろんわれわれは皮膚科医として臨床に精を出すことはあたりまえです。しかしながら、皮膚疾患という「マクロ」を捕らえるためにはその一段階下の「ミクロ」のレベルまで掘り下げた考えは必須と考えます。皮膚科の臨床に個体、病理組織レベルの病態把握が必要なのであれば、細胞化学のレベル、電子顕微鏡のレベル、分子のレベルまで一度は経験した医師にしか真に患者さんのことを理解することができないのではないでしょうか。そういった意味では、若い活動力の豊富な時代に一度は徹底的にミクロのレベルを捕らえる経験が望まれると私は考えます。
Live cell imagingを用いて解明したいこと
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ヘミデスモゾーム病
Umekoji, Tsuruta (Correspondence), et al. J Dermatol 2010

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フォーカルコンタクト病;Kindler syndrome
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Tsuruta, et al. Curr Med Chem 2008