大阪市立大学大学院医学研究科 脳神経外科学教室
研修体験記
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研修体験記:前期臨床研修(卒後1-2年)

K.Sさん

 私が大阪市大の初期臨床研修で脳神経外科をローテートしたのは初期研修医2年目の12月から翌年3月までの4か月でした。初期研修医の1年目は大阪市内にある多根総合病院で内科、外科、麻酔科などローテートし、2年目の大阪市大病院での研修で精神科、産婦人科、小児科、放射線科研修を終えてからの最後の科として脳神経外科を選びました。
周囲に脳神経外科での研修を希望する同期研修医もいない中で脳神経外科を選んだ理由は3年目からの進路として脳神経外科入局を考えていたからです。私が脳神経外科に興味を持ったのは5回生のBSLで脳神経外科をまわった時でした。脳神経外科のBSLは毎朝7時45分から始まる症例カンファレンスとその後の病棟回診、そしてそこでのプレゼンテーションがすべて英語で行われることが学生の間で有名です。男子4人の班で良くも悪くもだらけたな班でしたが、その4人が無遅刻無欠席で2週間の実習を終えたのは後にも先にも脳神経外科だけであったと記憶しています。そうなった理由は大畑教授をはじめ、医局員の先生方含めた脳神経外科の空気、毎朝早くから全員で患者さまのために熱心にディスカッションを行うという姿勢、熱い雰囲気に感化されてのことであったと思います。脳神経外科にも興味があったし、脳神経外科医はなんとなくかっこいい気がしたし、自分も可能ならば市大の脳神経外科の一員になりたいとの憧れに近い思いから脳神経外科での研修を決めました。
研修医としての仕事は、他に3人いた脳外科後期研修医(レジデント)の業務内容に準じるもので、割り当てられた患者さまの術前プレゼン、手術の助手、術後の手術ビデオ編集と翌日のプレゼン、病棟回診、病棟患者さまの術前・術後管理、他科からのコンサルトの対応などでした。基本的にプレゼンやそれにまつわるディスカッションは英語で行いますが、研修医には英語でのプレゼンは求められないのでまずは安心していただきたいです。ただし初めて経験する疾患ばかりなのでプレゼンは日本語でもそれなりに大変です。脳神経外科ではしっかりした縦のつながりがあり、患者さまの管理やプレゼンの内容などで不安なことがあれば上級医の先生が必ず相談に乗ってくださったのが大変心強かったです。
大学病院の脳神経外科の手術は長時間のものが少なくなく、緊急手術もあるし、また毎朝のプレゼンテーションが控えているために平日に17時で帰られることははっきり言って、ありません。むしろ帰られない日もありました。土日のdutyが特にないことや時間外手当がつくのが救いでしたが、月から金曜まで息を止めてかけ抜けて土日にやっと一息つくという暮らしは肉体的にも精神的にもしんどいものでした。しかし、今その過酷な研修医時代を振り返ると、大変多くのもの得て成長させてもらっていたのだと気が付きます。
まず第一にプレゼン力が付きました。医師として働くには何科で働くにもプレゼンが付きまといます。他科ドクターへのコンサルト、科内での発表、学会での発表など症例提示を行う機会は多いですが、日常の業務でその力が養われます。私はもともと大人数の前で話すことは得意ではなかったですが、発表の内容、話し方なども工夫するうちに、毎朝のプレゼンなどで鍛えられ、プレゼンに対する苦手意識が薄れていくのを感じました。脳神経外科に入局して1年目の秋にインド頭蓋底外科学会で英語での発表の機会を与えていただきましたが、そのような場でも発表できたのは日々の鍛錬の成果であったと思います。
第二に医師として、脳外科医としてとるべき基本姿勢を教えていただきました。急患があれば患者のもとにかけつけ診察してできる限りの対応をするということ、わずかな時間の中で病態を分析し最良の決断をするということ、どんな困難な症例でもあきらめずに立ち向かうということ。そういったことを行動で示す先生が多く、今後医師として働く上でとるべき姿勢、目標としたい医師像に出会うことができたのは有難いことでした。
4か月の脳外科研修の後に私は市大の脳神経外科に入局しました。その後の大学での業務は研修医時代と変わらず忙しいものでしたが市大でしかみられないような症例を経験したり海外での発表の機会を与えていただいたりと充実した日々でした。脳神経外科に入局したことに対して後悔はなく、今後も脳神経外科として研鑽を積み自分のあこがれた医師像に少しでも近づきたいと思っています。
もしこの体験記を読んでくださる方の中に、少しくらいしんどい思いをしても研修医の時期にしかできないような経験をしておきたいという方や、医師として働くとはどういうことかと疑問を持っているような方がいればぜひ脳神経外科で研修を積んでいただきたいと思います。もちろん脳神経外科に興味のある方にも脳神経外科での研修を勧めます。みなさんと共に働ける日を楽しみにしています。