大阪市立大学大学院医学研究科 脳神経外科学教室
下垂体腺腫
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基本的な情報

概要

  脳下垂体は脳の深部に存在する1センチ前後の大きさの臓器であり、ホルモンの産生をつかさどる役割を持っています。この部位は脳腫瘍の好発部位であり、下垂体腺腫、ラトケ嚢胞、頭蓋咽頭腫などの脳腫瘍が発生します。下垂体腺腫の中には、ホルモン非産生下垂体腺腫(非機能性下垂体腺腫)、プロラクチン産生下垂体腺腫(プロラクチノーマ)、成長ホルモン産生下垂体腺腫(GHoma、先端巨大症)、ACTH産生下垂体腺腫(ACTHoma、クッシング病)などがあります。大阪市立大学附属病院で行っている下垂体腫瘍の治療について解説します。

診断・検査

  下垂体腫瘍を適切に診断するためには、詳細な病歴の把握と適切な画像検査が不可欠です。下垂体は、体全体のバランスをつかさどるホルモンの中枢であるため、ホルモンの過剰や欠乏による症状が出ることがあるからです。例えば、成長ホルモン産生腫瘍では、顔貌が変化してきたり、指が太くなったりすることが、病気がみつかるきっかけであったりすることがあります。同様に、プロラクチン産生腫瘍では、乳汁分泌、腋毛恥毛脱落、女性の場合には月経不順が、病気が見つかるきっかけである場合があります。その他、下垂体のすぐ上方には、視神経が走行しており、視力や視野の障害が先行して出現する場合もあります。これらの病歴を詳細に聴取することが、下垂体腫瘍を的確に把握する第一歩となります。必要に応じて、下垂体ホルモンの血中濃度の測定を行います。
  次に、画像検査では、3テスラのMRI、64列のCTを用いて、下垂体腫瘍の大きさと形状、進展範囲、性質の診断を行います。さらに、腫瘍の性質を知るための、PET(ペット)検査を行います。腫瘍の広がりや、悪性度を知るためには、アミノ酸を核種として用いたメチオニンPET (Methionine PET)が有用であり、我々も重視しています。
 これらの検査によって、おおよその診断がつくと、各々の疾患に対して、適切な治療方針を呈示いたします。腫瘍の性質や、大きさなどにより、手術が好ましい場合や、放射線療法、薬剤での治療との組み合わせが好ましい場合などがあります。

手術

 下垂体腫瘍の手術は大きく分けて、経蝶形骨洞到達法(Trans-sphenoidal surgery, TSS)と、開頭手術がありますが、これらは、腫瘍の大きさ、形状、進展具合、性質などを総合的に判断し、より適切と考えられる方法で行います。
 経蝶形骨洞到達法は、鼻や、口唇から、下垂体に到達する方法です。最近では、神経内視鏡を用いることにより、鼻の奥に数cmの切開を加えて手術を行う経鼻内視鏡的経蝶形骨洞到達法にも力を入れています。腫瘍の位置を正確に把握するためのナビゲーションシステムを用いて、安全、確実に腫瘍を摘出するように心がけています。
 手術では、腫瘍の完全摘出を目指しますが、完全摘出を行うと重要な脳機能が損なわれてしまう場合には、腫瘍を意図的に残存させる場合もあります。

化学療法、放射線療法

 手術の後、必要に応じて、薬剤治療 (内服、注射)、放射線療法をおこないます。放射線療法には、通常の全脳照射や、局所照射のほかに、最近注目されている、定位放射線療法があります。ガンマナイフ(γナイフ)が、一般的には有名ですが、当院では、放射線の線量分布をより腫瘍のみに絞る事に主眼をおいたマイクロマルチリーフという機器を用い、強度変調型の放射線治療が可能です。