• サイトマップ
  • リンク
  • お問い合わせ
お問い合わせ

HOME > 診断と治療 > グリオーマ疾患について 目次 > グリオーマ疾患について2

グリオーマ疾患について

2) 神経膠腫に対する手術の役割

脳腫瘍は詳細に分類すると150種を超えるほど種類が多いため、確定診断を行うためには手術をして腫瘍組織を取り出し、病理検査を行うことが必須と言えます。
脳腫瘍の最良の治療法は、腫瘍組織を綺麗に取り去ることなのですが、神経膠腫(グリオーマ)は多くの場合正常な脳の中に浸潤していく(染み込んでいく)ため、腫瘍組織と正常組織の境界がはっきりしません。
2011年にSanaiらが、神経膠芽腫において、MRI検査で使う造影剤であるガドリニウムによって造影される部位を78%以上摘出すると生存期間の延長が得られたという論文を発表しました。(J Neurosurg. 2011 Jul;115(1):3-8. An extent of resection threshold for newly diagnosed glioblastomas.)
このように神経膠腫の手術は、なるべく高い摘出度を得る事が重要であることが証明されているのですが、同時に神経膠腫の周囲に存在している正常な脳機能は守らなくてはなりません。
当院では、可及的広範に腫瘍の摘出を目指し、かつ、失語や運動麻痺などの後遺症を来さないよう、手術中に、電気や音、光などといった刺激を与え、神経を伝わる電気信号を確認しながら、周囲の脳機能を見分ける「術中モニタリング」や、手術中に患者さんを麻酔から覚醒させて、脳の一部を刺激すると同時に、患者さんの反応を確認しながら手術を続ける「覚醒下手術」などを施行しています。
開頭手術中に意識を取り戻すなど、とても怖いと感じる方も多いと思いますが、既に数多くの手術実績があります。覚醒下手術の選択の際は、担当医が十分に説明をさせていただきますので、安心してください。

figure
摘出割合と生存期間の関係