芽胞形成と非形成に分類する。芽胞形成菌は、好気性(ないしは通性嫌気性)のBacillus属と嫌気性のClostridium属である。両者の特徴として、芽胞を形成するため、アルコールや煮沸などに抵抗性を示す。また、感染自体よりは強力な毒素による障害が主な発症メカニズムとなっている。中でも、日常的に最もよく遭遇する菌種はClostridioides difficileで、感染症の治療中に発症する偽膜性腸炎の原因菌である。抗菌薬の投与により、常在細菌叢が障害され、抗菌薬耐性のC. difficileが異常に増殖することによって起こる。CDトキシンが発症に関与している。
 芽胞非形成菌としては、Corynebacterium diphteriaeListeria monocytogenesが重要である。前者はジフテリア、後者は食中毒や髄膜炎の原因菌である。


もっと詳しく
主なグラム陽性桿菌
大分類 別称 主な特徴
芽胞形成菌 Clostridium
クロストリディウム
Clostridium
クロストリディウム
perfringens
パーフリンジェンス
ウェルシュ菌 食中毒
botulinum
ボツリヌム
ボツリヌス菌 ボツリヌス
tetani
テタニ
破傷風菌 破傷風
butyricum
ブチリカム
善玉菌。宮入菌。ただし一部にE型ボツリヌス毒素産生菌がある
Clostridioides
クロストリディオイデス
difficile
ディフィシル
偽膜性大腸炎
Bacillus
バチルス
cereus
セレウス
セレウス菌 食中毒。毒素型
anthracis
アントラチス
炭疽菌 炭疽。毒素型
subtilis
サチリス
枯草菌 納豆菌
芽胞非形成菌 Corynebacterium
コリネバクテリウム
diphtheriae
ジフテリエ
ジフテリア菌 ジフテリア
Listeria
リステリア
monocytogenes
モノサイトジェネス
髄膜炎。ペニシリン有効、セフェム無効。

2020年3月26日開設 2020年8月14日更新