学域名 | 分子生体医学講座 システム神経科学 (英語表記)Physiology |
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代表者 |
特任教授 渡邊 恭良
- Yasuyoshi Watanabe
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場所 | 学舎 15階 |
連絡先 |
TEL:06-6645-3711 MAIL:physiol@med.osaka-cu.ac.jp |
ホームページ | http://www.med.osaka-cu.ac.jp/physiol/ |
概要 |
疲労は、私たちに休息の必要性を知らしめ、過剰活動により疲弊してしまうのを防御するための重要な生体警報(アラーム)の一つです。痛み、発熱、疲労といった三大生体アラーム機構の中では、痛み、および発熱の分子神経メカニズムがかなり解明されているのに対し、疲労の分子神経メカニズムに関しては、我々が本格的な研究に取り組む以前は、ほとんど断片的な研究しかありませんでした。 倉恒・木谷らにより、1990年に日本で初めての慢性疲労症候群(CFS)患者が大阪大学医学部微生物病研究所附属病院で発見、診断を受けました。その後、1992年から、我々は、CFS患者の脳内異常を検討するために、当時、スウエーデンと国際共同研究を進めることに決定していたポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)研究の枠組みの中で疲労の脳科学研究を開始しました。CFSのような病的疲労の研究を進めていくと、私たちの生理的疲労のメカニズムについても、当時は何もわかっていないことに気づきました。そこで、疲労の研究、とくに、疲労の脳科学、および神経-免疫-内分泌相関研究に歩を進め、1999年から6年間の文部科学省科学技術振興調整費による「疲労および疲労感の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究」(平成11-16年度)、21世紀COEプログラム「疲労克服研究教育拠点の形成」(平成16-20年度)、科学技術振興機構『脳科学と教育』「非侵襲的脳機能計測を用いた意欲の脳内機序と学習効率に関するコホート研究」(平成16-21年度)において、渡邊を研究代表者として、主に健常者の急性疲労とCFS患者等の疾患関連疲労に関する脳分子・機能・形態イメージング、バイオマーカー、コホート研究より疲労倦怠・意欲低下の分子・脳病態解明につながる多くの成果を挙げてきました。特に、「疲労の脳科学」は特徴的で、脳内炎症・疲労関連神経伝達物質・エネルギー代謝動態、および疲労・疲労感・疲労の条件付け・疲労による意欲低下の神経回路といった疲労の脳内分子動態・神経基盤がみえてきました。 しかしながら、これらは健常者の急性疲労とCFS等の疾患関連疲労の分子神経メカニズム理解に資する研究成果であり、国民の実に約4割が有している慢性疲労の分子神経メカニズム研究については殆ど手つかずの状態です。今後は、脳分子イメージング研究と脳機能・形態イメージング研究、およびこれら脳イメージング研究の成果と酸化ストレス・自律神経機能・遺伝子多型などとの連関解析による統合的研究を、理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センターなどと共同で推進し、慢性疲労の分子神経メカニズム解明と、平成25 年度に新しく設立した大阪市立大学健康科学イノベーションセンターを中心とした介入試験による慢性疲労の予防・治療法の開発・克服を目指して研究を進めて行きます。 |
概要 | 脳磁図で得られる周波数情報と高い時間分解能、磁気共鳴画像(M R I)で得られる高い空間分解能を生かし、慢性疲労者を対象に、疲労、疲労感、疲労の条件付け、疲労による意欲低下のコアメカニズム解明などの基礎となる研究を行うとともに、急性~亜急性~慢性疲労に至る時系列研究、酸化ストレス・自律神経機能・遺伝子多型との連関解析による統合的研究へと進めています。 |
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概要 | 我々は、CFS 患者の前帯状回の前尖部でのセロトニントランスポーター密度の低下を明らかにし、グルタミン酸遊離プールにグルタミン酸を供給するアセチルカルニチンの取り込みの前帯状回、前頭前野、小脳核、側頭葉での低下を発見しました。 また、CFS患者において、脳内炎症マーカーである活性型ミクログリアに発現するTranslocator proteinに特異的に結合するリガンド[11C ](R )-PK11195を用いたPETイメージングを実施し、前帯状回、扁桃体や視床に神経炎症が引き起こされていることを発見しました。今後、[11C ]DASBを用いたセロトニン神経終末、[2-11C]acetyl-L-carnitineを用いたグルタミン酸遊離プールサイズ、[11C](R)-PK 11195を用いたミクログリア活性化、および[18F]FDGによるエネルギー代謝の研究を、慢性疲労者や関連疾患患者を対象として実施します。 疲労度スケールの導入後は、ヒト特有の疲労度の個人差を考慮し、慢性疲労の重症度とセロトニン・グルタミン酸系低調、脳内炎症、エネルギー代謝低調の程度との相関解析を行い、酸化ストレス・自律神経機能・遺伝子多型の連関解析による統合的研究、急性~亜急性~慢性疲労に至る時系列研究、および介入研究につなげる研究を進めます。 |
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概要 | 平成25 年度に新しく設立した大阪市立大学健康科学イノベーションセンターなどと共同で、介入試験による慢性疲労の予防・治療法の開発・克服を目指して研究を進めています。 |
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概要 | 我々が開発してきた疲労動物モデル研究を通して、疲労メカニズムの全体像を解明します。特に、 (1)脳内のサイトカイン調節機構やセロトニン・グルタミン酸神経機構がどのように機能破綻に陥り、慢性疲労状態となるのかを明らかにします。 (2)慢性疲労病態を特徴付ける神経活動パターンや代謝様式を抽出し、慢性疲労によるパフォーマンスの低下、意欲低下、副交感神経機能低下の神経機構を解明します。 (3)慢性疲労病態において、どのようなヒトへの介入が効果的な予防・治療を実現するか、動物モデルによるシミュレーションをとおして効果を予測し、介入条件を最適化する研究を進めています。 |
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特任教授 | 渡邊恭良 |
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講師 | 田中雅彰 |
病院講師 | 石井聡 |
特任助教 | 山野恵美、小川登紀子 |