学域名 | 臓器器官病態外科学講座 肝胆膵外科学 (英語表記)Department of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery |
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代表者 |
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病院教授 久保 正二
- Shoji Kubo
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場所 | 学舎 9階 |
連絡先 |
TEL:06-6645-3841 MAIL:m7696493@msic.med.osaka-cu.ac.jp |
ホームページ |
http://osaka-cu-surg2.jp/ ![]() |
概要 |
現在、肝胆膵外科学講座には、附属病院における肝胆膵外科および小児外科のスタッフが所属しています。 肝胆膵外科の歴史は旧第2外科であった昭和44年に始まり、平成12年、大阪市立大学大学院の改組により大学院としての肝胆膵外科学が発足、同時に大阪市立大学医学部附属病院肝胆膵外科として教育、研究および臨床に取り組んでいます。一方、小児外科は昭和32年の鎖肛手術以来、近畿の小児外科の草分けとして発足し、附属病院小児外科として教育、研究および臨床に取り組んでいます。 肝胆膵外科学講座では肝胆膵領域の解剖と生理機能の理解の上で、肝臓、胆嚢、膵臓領域における悪性腫瘍(肝細胞癌、胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌、膵癌)や良性疾患(胆石症、膵・胆管合流異常)の病因、病態の解明とそれに基づいた適切な外科治療や集学的治療について研究と臨床を進めてきました。小児外科領域では、小児外科疾患全般、特に小児胆道外科疾患(先天性胆道拡張症、膵・胆管合流異常、先天性胆道閉鎖症)に関する研究を継続しています。また、末期肝疾患や先天性胆道閉鎖症に対しては生体肝移植を導入し、その病態と成績向上策についての研究を行っています。 各種肝胆膵疾患や小児外科疾患の病因、病態の解明には学内の各講座とも連携し、基礎的研究を含めた幅広い視野から取り組んでいます。さらに肝胆膵領域の悪性腫瘍の外科治療成績向上を目指して、内科的治療や放射線科的治療を組み合わせた集学的治療を開発し、国内外をリードしてきました。特に、原発性肝癌に対しては、原発性肝癌取扱い規約や肝癌診療ガイドラインの策定に関わり、本邦における肝癌治療の中心的役割を担っています。一方、小児外科では、膵・胆管合流異常診断基準および診療ガイドライン、先天性胆道拡張症診断基準、鼠径部ヘルニア診療ガイドラインの策定に関わっています。 さらに、手術部位感染などの外科感染症を含めた周術期管理の改良、開発など、外科的治療の安全管理対策にも取り組んでいます。手術手技に関しては、従来より経皮経肝門脈枝塞栓術の開発し、また、当初より高度先進医療として腹腔鏡下肝切除術を開始し、その適応決定法と安定した手術手技を確立してきました。 これらを基にして学部学生、大学院生の教育にあたっています。 近年、特筆すべきことは、印刷事業場でみられた塩素系有機溶剤による胆管癌多発事例に対して、「職業性胆管癌臨床・解析センター」を創設し、全国の職業性胆管癌症例の情報を収集、解析し、その要因や病態、さらに正確な診断法や適切な治療法の開発に携わっています。これらの研究成果は、厚生労働省のみならずWHOの施策にも貢献しています。 以上のような研究成果などの情報は、学会・研究会や医学論文として世界的に発信しています。 |
概要 | 肝細胞癌の基礎疾患による臨床像や発癌リスクの評価、基礎疾患に応じた手術術式の選択や抗ウィルス療法併用による再発予防策、術前門脈枝塞栓術を併用した拡大肝切除術、ソラフェニブなどの化学療法を併用した治療、ラジオ波熱凝固療法の応用と外科治療との比較、系統的肝切除の意義、進行肝細胞癌に対する集学的治療などについて研究を進めてきました。 これらの結果、原発性肝癌取扱い規約や肝癌診療ガイドラインの策定作業に、以前より参画しています。 |
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概要 | 当科では腹腔鏡下肝切除を2004年度に高度先進医療の認定を受けてから開始し、症例数の増加とともにその適応を拡大してきたが、現在、安全性の証明は社会的使命になってきています。当科では、手技の定型化を2012年度より行い、2015年度には200例を越えたが、術後在院死は現在までありません。その結果を踏まえ、安全性に関する研究を行ってきました。保険適応外の術式における安全性に関しては、臨床試験として検討しています。さらに従来の開腹下肝切除ではリスクが高い肝線維化が高度な(肝硬変)症例での安全な術式と周術期管理の開発を行っています。 |
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概要 | 肝癌患者の多くは肝硬変などの慢性肝疾患をしばしば合併しています。この肝硬変の進行が生命予後に影響するが、肝硬変の進行抑制および治療法は確立されていません。当講座では動物実験を通して新規の肝硬変の進行抑制および治療法を確立しており、臨床応用すべく研究を進めています。また、胆道癌・膵癌は悪性度の高い癌腫であるため早期発見、外科治療が重要です。当講座では外科手術を通して採取した臓器組織や胆汁、血液などを用いて新規バイオマーカー(miRNA、糖鎖マーカーなど)の確立を目指しています。 |
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概要 | 先天性胆道閉鎖症の病因としての母児間マイクロキメリズムの関与を解明し、これに基づいた術後管理の方法を検討しています。また、葛西手術による術後予後の向上と問題点、生体肝移植の適応について研究を進めています。 |
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概要 | 印刷労働者に多発した職業性胆管癌症例の臨床病理学的所見や治療成績の解析から、胆管癌患者が高濃度、長期間暴露を受けた1,2-ジクロロプロパンやジクロロメタンが要因となった可能性が高く、それによって惹起された胆管上皮のDNA障害から前癌病変、早期病変が誘導され、さらに進行癌に進展することが判明しました。また、その臨床像から職業性胆管癌のスクリーニング法や診断法を開発しました。これらの結果は、厚生労働省での職業性胆管癌の認定と健康管理手帳の交付、WHOにおける1,2-ジクロロプロパンやジクロロメタンの発癌リスク改訂につながりました。 |
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病院教授 | 久保正二 |
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講師 | 諸冨嘉樹、竹村茂一、田中肖吾 |