大阪市立大学 大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科学 腎臓病態内科学 (第二内科)ホームページのイメージ写真
研修医プログラム
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診療分野の紹介〜糖尿病
概要 
卒後2年間の初期臨床研修を終えられた卒後3年目以降の医師(研究医)を対象に,糖尿病・生活習慣病センターでは糖尿病専門医の取得に必要かつ十分な臨床経験と知識・技術が習得できるよう,下記のような研修体制をとっております.
研修体制
 
  • 当センターの外来糖尿病患者数は1ヶ月約1600名(そのうち1型糖尿病約120名、2型糖尿病約1400名)、年間の糖尿病入院患者数は約500名です.研修は糖尿病専門医、臨床研究医・大学院生、臨床研修医の3人医師グループの主治医制による病棟診療を中心に行われます.

  • 研究医は研修中,診療グループ主治医の第一主治医として常時4〜7名の入院患者診療を担当し、症例毎に糖尿病研修指導医や専門医の指導をうけ、実践的知識とそれらの臨床応用を習得します.

  • 毎週病棟診療カンファランスを行い,病棟の全糖尿病患者に対する症例提示,問題点に対する検討と治療方針の決定を通して,糖尿病診療の理論と実際を習得します.また,最近の主要な文献紹介や新しい薬剤や診療ガイドラインなどの勉強会も行います.

    カンファレンスの様子(1) 
  • 担当する糖尿病患者の入院診療の実際は多岐にわたりますが,研修期間を通して以下の様な症例を経験し、以下に述べるように専門医としての能力を養い日本糖尿病学会専門医を取得できることを目標としております.

    1. 研究医として経験する糖尿病症例
      1型糖尿病、境界型糖尿病、2型糖尿病、膵疾患や内分泌疾患などによる2次性糖尿病、遺伝子異常による糖尿病、妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠、ソフトドリンクケトーシスなど多彩な糖尿病を経験します。また、合併症症例として、脂質代謝異常、糖尿病性腎症、足壊疽、神経障害、閉塞性動脈硬化症、重症低血糖症、糖尿病ケトアシドーシス、非ケトン性高浸透圧昏睡症例などを経験します。

    2. 糖尿病とその合併症に関する基本的な知識・診断能力の習得
      糖尿病の診断や病型についての把握、血糖値、負荷試験、各種臨床検査所見の解釈を習熟します。
      合併症の診断・分類に必要な臨床検査の施行と解釈を習熟します。

    3. 治療技術の習得
      食事療法、運動療法、経口糖尿病薬、インスリン治療、インスリン持続皮下注療法(CSII)、人工膵臓などの治療手段を的確に用いてそれぞれの糖尿病に合った治療戦略を立てることができるよう研修を行ないます。また、脂質管理、血圧管理、合併症の管理能力も養います。

    4. 特殊な病態における糖尿病の診断・治療能力の習得
      妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠、外科手術時、高カロリー輸液時、心筋梗塞時、重篤な感染症、副腎皮質ホルモン投与時、シックディなどの特殊な病態時に他科と共観または連携し、的確に対応出来る能力を養います。
      また、小児や高齢者、肝疾患や悪性腫瘍、網膜症進行例、腎不全、神経障害が進行した際の糖尿病管理ができる能力を習得します。

    5. 糖尿病患者教育の一環として行われている「医師講義」を担当し,患者教育の意義を深め実践指導を行います。

    6.  患者教育やサポートについては、当院の糖尿病患者の会である『寿会』や日本糖尿病協会、大阪糖尿病協会の活動などにも積極的に参加し、専門医としての活動を行ないます.

    7. 最先端の研究活動
      臨床論文を読み,理解することにより最先端の医学情報を得て臨床応用できる能力を習得します。
      日本糖尿病学会やアメリカ糖尿病学会などの学会や各種研究会に積極的に参加することにより新しい知識の習得に努め、学会・研究会での症例発表も行えるように研修します.

以上のような糖尿病専門研修を終え,日本糖尿病学会専門医資格を取得された先生方は、その希望に応じて、大学病院における研究医としてさらにキャリアアップをめざすことや、当科での各関連病院での糖尿病診療チームのかなめとして活躍することもできます。
研修の途中で(多くは卒後4〜5年目),大学院に進学して臨床研究や基礎研究に従事することも可能です.その場合,大学院生でも卒業時には糖尿病専門医を取得することは可能な状況です。

生活習慣病・糖尿病センターの診療理念と実績
生活習慣病・糖尿病センターでは、糖尿病患者さまの糖尿病合併症の制圧をめざして、1)常に積極的な代謝異常への治療介入を行いつつ、2)腎合併症および 3)血管合併症の発症前、早期から末期にいたるまでの総合対策をおこなっています。定期的な外来通院患者約1000名、年間糖尿病関連入院患者約520名(2004年度実績)の外来・病棟診療に加えて、周術期や妊娠、合併症治療時など他診療科の診療時の糖尿病管理も積極的に担当しています。 また、生活習慣病・糖尿病センター(旧第二内科)は、日本糖尿病学会より日本糖尿病学会認定教育施設として認定されており、糖尿病研修指導医4名(常勤)、糖尿病専門医4名(常勤)(2004年3月31日現在)により、糖尿病専門医養成のための積極的な研修指導をおこない、当センターで研修を受けた内科医の糖尿病専門医が例年誕生しております。 当センターの糖尿病診療の中でも、以下の分野においては積極的かつ高度な専門診療をおこなっています。
糖尿病合併症制圧をめざす3つの診療ターゲット
代謝異常管理
■糖尿病病態診断と治療選択、積極的な早期・強化インスリン療法
糖尿病の高血糖は、膵臓からのインスリン分泌の低下(分泌不全)およびインスリン抵抗性(インスリンの作用不足)により生じます。 しかしながら、このインスリン分泌低下と抵抗性の程度は、個々の患者さま、また病状の時期において、まったく異なり一様ではありません。 特に日本人の90%近くを占める2型糖尿病の主な病態であるインスリン抵抗性の病状は、私たちのこれまでの成績からみても、千差万別です。 血糖管理不十分の患者さまに対して、個々のインスリン分泌能および抵抗性の病態診断を短期間で評価することにより、より良いbestな治療法を 選択しています。特に、インスリン抵抗性については、人工膵臓によるグルコースクランプ法を用いて約300症例の実績の成績から、より簡便 かつ正確なHOMA指数などを日常診療に応用し、経口薬選択の判断基準としています。 インスリン療法は、従来、長期間の経口薬治療にて困難な場合や妊娠時、周術期(手術治療時)に導入されてきました。当センターでは、 これらに加えて、糖尿病発症の比較的早期においても一時的な血糖コントロール不良状態やより生理的な状態(健常者により近い状態)をめざす 場合、インスリン強化療法(頻回注射療法および血糖自己測定)を積極的に導入しています。
病態評価に基づいた適切な治療法の選択
■運動療法
良好な血糖コントロールの維持や肥満の解消を図るため、2型糖尿病患者さんの日常生活に運動を積極的にとりいれていただくことを目的とし、次のようなことを行っています。
  1.  運動処方せんの発行
    心肺運動負荷試験を実施し、運動処方せんを発行します。
  2.  病棟運動療法
    主として糖尿病教育入院患者さんを対象とし、大阪市中心部の街並みが眼下に広がるすばらしい眺望を有する運動療法室にて、専属トレーナの指導のもと、実際の処方に基づいた運動メニューを実践していただけます。
    トレーニングメニュ−例
    ・ 自動車エルゴメータやトレッドミルなどの有酸素運動
    ・ フリーウェイトを用いた筋力トレーニング
    ・ バランストレーニング
    ・ スタティックストレッチ
  3.  運動施設との提携
    運動施設との提携大阪市内のトレーニングルーム・屋内プールをはじめ、ご利用いただきやすい最寄りの運動施設をご紹介いたします。各施設の健康運動指導士が運動処方に基づいたトレーニングプログラムを作成し、退院後も効果的な運動療法を継続していただけます。
    トレーニングメニュ−例
    ・ 自動車エルゴメータやトレッドミルなどの有酸素運動
    ・ フリーウェイトを用いた筋力トレーニング
    ・ バランストレーニング
    ・ スタティックストレッチ
  4. 運動療法外来
    運動療法外来では、糖尿病のコントロール状態や合併症を定期的に評価すると同時に、各運動施設からの運動実施状況報告をもとに運動が適正かどうかをチェックし、運動処方せんの再発行を行い、患者さんの運動の継続をサポートします。
合併症対策−腎症と動脈硬化症−
非侵襲的動脈硬化早期診断システム臨床応用
糖尿病合併症の中でも主要な死因は、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の動脈硬化性疾患です。私たちは、この動脈硬化性疾患が発症する前に、できるだけ患者さまに侵襲の少ない検査で、より早期にかつ正確に診断するために、動脈硬化検査外来において定期的な動脈硬化早期診断をおこなっております。さらに、糖尿病治療薬、降圧薬、抗高脂血症薬、抗血小板療法などによる早期動脈硬化病変への治療介入を積極的におこなうさいの、臨床効果の判定、モニターとして用いています。 動脈硬化検査外来では、以下の非侵襲的な検査を午前中の約1時間ですべて行い、主治医診察時に各検査結果とその総合診断の説明を、動脈硬化検査レポートとして患者さまに説明し、診療に役立てています。
動脈硬化検査外来における非侵襲的動脈硬化症の総合診断
検査の様子
  • 体表動脈の形態と機能診断:頚動脈および大腿動脈の内膜中膜複合体肥厚(IMT)とstiffness parameter β 動脈硬化(atherosclerosis)には壁肥厚atherosisと壁硬化sclerosisの2つの側面があります。私たちは、echotracking systemを搭載した高解像度超音波診断装置により1度の検査により、この両面を臨床評価しています。皮膚体表面より頚動脈および大腿動脈壁の内膜中膜複合体肥厚度(Intimal medial thickness, IMT:壁肥厚)およびstiffness parameter β(壁硬化)、さらにプラーク有無や狭窄率も精査します。
  • 脈波速度による大動脈脈波速度(PWV) 血圧脈波検査装置ATProfileを用いて、PWV(動脈脈波速度)およびABI(ankle brachial index)を同時に測定することができます 。検査方法としては四肢に血圧計をまき、センサーを頚部と鼠径部、胸にあて、頚動脈・大動脈・大腿動脈・両上腕・両足関節の脈波形、心音、心電図波形を同時に計測します。心―頚動脈、心―大腿動脈(大動脈)、心―上腕動脈(上腕動脈)、大腿―足関節動脈(下肢動脈)の4つの部位別に値を同時に求めることができます。
  • 血小板機能診断:血小板凝集能(PATI)
  • 下肢動脈血圧比と血管石灰化
  • リスクファクター
    (インスリン抵抗性、脂質代謝異常精密検査)
  • 心電図、胸部X線
下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する
高度先進医療
閉塞性動脈硬化症に対して、標準内科的治療に加えて高度先進医療である骨髄幹細胞移植をおこなっています。詳細は動脈硬化研究のページ血管新生療法のページをご覧ください。
患者教育プログラム:『糖尿病大学』
糖尿病大学の内容糖尿病患者さまの教育プログラムとして、1970年(昭和45年)より4週間の教育入院“糖尿病教室”を行い 、延べ約1200名の患者さまが受講しています。1998年度(平成10年)より、2週間の入院プログラムにリニューアルし、名称も“糖尿病大学”と改変しました。さらに、日本糖尿病学会編集の『糖尿病治療のてびき』に準拠した指導をおこなうために、内容を準拠したオリジナルスライド集による教育を導入、口頭とテキストブックによる教育に加えて、視覚的な教育アプローチを強化しました。さらに、患者さまのニーズにあわせて、2003年度(平成15年)より、 より短期間の1週間入院クリニカルパスとして“糖尿病大学”へ改変しています。2005年度(平成17年)2月より、患者さまの個々の食事生活により密着した食事療法指導をおこなうために、入院中の栄養指導は、すべて個人指導として行うようにと改変しました。今後も、患者さま個人の病状、ライフスタイルに応じた生活指導をよりよくおこなえることをめざしています。

2005年度2月現在の1週間の糖尿病教育入院プログラム
『糖尿病大学』
  • 医師講義
    糖尿病概論・治療 60分
    糖尿病合併症 60分
  •  看護師
    血糖測定・低血糖 60分
    フットケアー 30分
    シックデイ 30分
  • 管理栄養士
    個人栄養指導 30-60分 2回
    食品交換表指導 60分
  • 薬剤師
    服薬指導 60分1回
  • 運動療法指導 午後1時間/日(月〜金)
  • ビデオ学習 随時

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特記事項
  • 2010年10月7日更新