非ホジキンリンパ腫

MALTリンパ腫(Extranodal marginal zone B-cell lymphoma of mucosa-assciated lymphoid tissue)(敷石状粘膜)


1. MALTリンパ腫とは粘膜や腺に付随して見られるリンパ組織を発生母地として生じるB細胞系の低悪性度リンパ腫を指す.
2. 胃や小腸、大腸、食道、甲状腺、唾液腺、肺、眼窩、胸腺、膀胱などにも見られる。
3. 胃MALTリンパ腫は1983年Isaacsonらが提唱、胃粘膜に存在するリンパ濾胞の濾胞辺縁帯にあるB細胞から発生したリンパ腫.
4. 1993年WotherspoonらによりHericobactor pyloriの除菌により低悪性度MALTリンパ腫が消退することが報告された。組織学的には低悪性度・高悪性度に分けられる。また胃MALTリンパ腫においては経過中により悪性度が強くなり、高悪性度リンパ腫に変化進展することがある.
5. 胃以外のMALTリンパ腫については唾液腺原発のものはSjogren症候群、甲状腺原発のものは橋本病が発生母地と考えられている(自己免疫性疾患による慢性炎症).

MALTリンパ腫(Extranodal marginal zone B-cell lymphoma of mucosa-assciated lymphoid tissue)


6. リンパ球の異型度からWotherspoonらによるGrade分類が用いられる事が多く、Grade3以上の場合をリンパ腫としての異型とみなす.小型〜中型でくびれを呈するリンパ球である腫瘍細胞(centracyte-like cell:CLL細胞)が粘膜〜粘膜下層内に浸潤し、粘膜上皮腺管を破壊性に浸潤するlymphoepithelial lesion(LEL)が認められる.
Grade    記載(組織学的記載は割愛)
0正常
1慢性活動性胃炎
2リンパ濾胞を伴った慢性活動性胃炎
3恐らく反応性と考えられるリンパ球浸潤浸潤
4リンパ腫が疑われる固有層内の リンパ球浸潤
5低悪性度MALTリンパ腫
7. 除菌抵抗例または除菌後増悪例には遺伝子異常が高率に見られる。代表的なものにt(11;18)(q21;q21)があり、これは18q21領域にあるMLT(MALT lymphoma associated translocation gene)/MALT1が11q21にあるアポトーシス抑制遺伝子であるAPI2(apotosis inhibitor protein gene)とキメラ融合し、形成されたものであり、この遺伝子により腫瘍性増殖がもたらされる.




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