造血器悪性腫瘍、再生不良性貧血をはじめとする血液疾患は重篤な感染症を合併することが多く、主要な死亡原因の一つである。今回、我々は発熱性好中球減少症に対する抗菌薬の有効性をretrospectiveに検討した。1998年から2003年までの期間に当科に入院した患者で発熱性好中球減少症を併発、抗菌薬を投与された98例を対象とした。年齢、性別、G-CSF製剤の投与の有無、移植の有無、投与された抗菌薬の種類(セフェム系とカルバペネム系に分類)、抗菌薬投与中のCRPの最高値、抗真菌薬予防投与の有無、好中球減少期間、抗菌薬投与前と終了時の好中球数をretrospectiveに調査した。単変量解析にて、カルバペネム系抗菌薬使用群(P=0.009, Odds;4.58)および投与終了時の好中球数が500/μL以上の群で有意に有効であった(P<0.0001, Odds;14.1)。多変量解析ではカルバペネム系抗菌薬使用群は投与終了時の好中球数に関わらず、セフェム系薬剤使用群より有意に有効であった(P=0.02, Odds; 3.73)。発熱性好中球減少症において抗菌薬投与後の好中球数が更に減少することが予想された場合にはカルバペネム系抗菌薬が第一選択となりうるものと考えられた。 |