ソリリス

新薬情報(総合製品情報概要より抜粋・改変
商品名 ソリリス点滴静注300mg1バイアル30ml
一般名 エクリズマブ
発売開始年月日 2010年6月
販売 アレクシオンファーマ
効能、用法
および用量
通常、成人には、エクリズマブ(遺伝子組換え)として、1回600mgから投与を開始する。初回投与後、週1回の間隔で初回投与を含め合計4回点滴静注し、その1週間後(初回投与から4週間後、投与5回目)から1回900mgを2週に1回の間隔で点滴静注する。
1. 本剤を投与する際には日局生理食塩液、日局ブドウ糖注射液(5%)又はリンゲル液を用いて5mg/mLに希釈すること。
2. 本剤は独立した点滴ラインより、希釈した液を25-45分かけて点滴静注すること。
3. 本剤の血中濃度の低下により急性の溶血発作の発現が懸念されるため、投与間隔を遵守すること。
4. 本剤投与開始2 週までに血清中尿酸脱水素酵素(LDH)活性の低下が認められない場合には、本剤の投与継続の要否を検討すること。
* 警告:ソリリスはその作用機序から莢膜を持つ髄膜炎菌に対する終末補体複合体による免疫機能が低下し、髄膜炎菌感染症の発症リスクが上昇することが推定される。髄膜炎菌感染症は適切かつ迅速に診断および治療が実施されれば対処可能な感染症であるが、急速に進行し重篤化して死に至る可能性があるので、患者さんに髄膜炎菌感染症のリスクおよび初期症状を周知徹底させ、髄膜炎菌感染症の診断および治療が可能な医療施設と連携をとるなど、緊急時に十分な措置できる体制下で本剤を投与する必要がある。
* 副作用(国内臨床試験成績):副作用は29例中27例(93.1%)に報告された。副作用の程度は軽度または中等度29例中26例(89.7%)、重度1例(3.4%)であった。その内訳は頭痛(51.7%)、鼻咽頭炎(37.9%)、悪心(20.7%)等であった。頭痛は投与開始4週までに45%報告され、5-12週目での報告は14%であった。
* 副作用(海外臨床試験成績):195例中193例(99.0%)に報告され、主なものは頭痛(51.3%)、鼻咽頭炎(42.1%)、上気道感染(30.8%)、悪心(25.1%)、下痢(22.1%)、背部痛(20.1%)等であった。またソリリスが投与された43例中40例(93%)、偽薬が投与された44例中36例(81.8%)に副作用が認められた。
臨床試験デザイン 1. 国内第II総臨床試験(AEGIS試験):対象症例は髄膜炎菌ワクチンの接種を受けた日本人PNH患者29例。
2. 国際多施設共同試験
(a)TRIUMPH試験:対象症例は髄膜炎菌ワクチンの接種を受けた輸血が必要なPNH患者87例。
(b)SHEPHERD試験:対象症例は髄膜炎菌ワクチンの接種を受けたPNH患者97例。
3.海外第III相継続投与試験(長期継続投与試験):対象症例は髄膜炎菌ワクチンの接種を受けたPNH患者195例。
*国内第II相臨床試験(AEGIS試験)
1.AEGIS試験に参加した29例において38%が再生不良性貧血、7%が骨髄異形成症候群を合併していた。
2.溶血の指標であるLDH値は87%が減少した。溶血(LDH値)はソリリスの初回投与後速やかに減少を始め、最初の1週間で有意に減少し、投与期間中持続した。国際他施設共同試験ではLDH値の平均低下率は86%でAEGIS試験と同等、5年以上投与を続けている症例は10名であり、現在もLDHは低値に維持されている。
3.慢性腎臓病を有する症例(66%)の97%で慢性腎臓病・病期が維持または改善した。38週間の継続投与を行ったすべての症例において慢性腎臓病・病期が維持または改善、この結果は国際他施設共同試験と同等であった。
4.ソリリス投与期間(12週)に血栓イベントの報告は認めなかった。ソリリス投与前、29 例中5例(17%)に血栓症の既往があった(13%(4例)に深部静脈血栓症、3.4%(1例)に脳血管発作の既往)。31%の症例が抗凝固療法を併用していた。国際多施設共同試験では血栓イベントが94%(40回→1回)減少(63%が抗凝固療法を併用)。
5.ソリリスはPNH赤血球の溶血を抑制し、ヘモグロビン値を安定化する。平均赤血球輸血単位数が71%減少した。輸血を必要としていた21症例中14例(67%)が、ソリリス投与中に輸血が不要となった。TRIUMPH試験ではソリリス投与症例群で平均赤血球輸血単位数が73%減少。輸血必要症例の51%で輸血が不要となった。ソリリス投与中に輸血が必要であった症例でも平均赤血球輸血単位数は44%低下した。ソリリス投与症例の49%が輸血なしで26週間以上にわたりヘモグロビン値安定化が維持された。
6.ソリリス投与例では投与後1週間で疲労感が改善、2週目以降も持続した。この疲労感は溶血に起因しており、ヘモグロビン値とはほとんど相関しない。国際多施設共同試験では78%の症例で有意な疲労感の改善が見られた。
7.ヘモグロビン値の変化と関係なく、呼吸困難間はソリリス投与1週間以内に速やかに改善し、その後もその効果は維持された。この効果はヘモグロビン値と相関は見られなかった。本試験では93%の症例が治療の継続を希望。国際多施設共同研究においても96%の症例が治療の継続を希望した。
8.海外データでは輸血歴のない症例においてもソリリス投与期間中、臨床症状の改善が得られた。
9.ソリリスは再生不良性貧血や骨髄異形成症候群の既往の有無にかかわらず有効性を示す。
ソリリス投与後の
治療経過
治療経過とともに次のような改善を示す。
1週目
・ (LDH値を指標とした)溶血の減少
・ 疲労感の軽減
・ 呼吸困難の改善
3週目
・ 生活の質(quality of life)の改善
2-6ヶ月目
・ 輸血頻度の減少
・ ヘモグロビン安定化
・ 慢性腎臓病の維持または改善
6ヶ月目以降
・ 生活の質改善が持続
・ 赤血球数が正常範囲に戻る
・ LDH値が正常範囲で維持
・ 疲労感の改善が持続
・ 輸血頻度の減少が持続
・ ヘモグロビン安定化が持続
* 全体を通じて血栓症イベントの発現率が低下する。


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