抗がん剤オリエンテーション

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抗がん剤オリエンテーション

☆病棟での治療の流れ
入院

治療開始日の決定  
入院後、主治医から治療内容・日程についてご説明させていただきます。
治療日の決定後、中心静脈カテーテルを挿入する場合もあります。
 
検査   
採血・レントゲン・CT・MRIなどの検査を行います。
体重測定・尿量測定をするために蓄尿を毎日していただくこともあります。
必要時、ご説明させていただきます。

治療       
予定時間より点滴治療を開始いたします。
事前にトイレを済ませておいて下さい。
治療中、必要に応じて血圧測定をさせていただきます。 

☆点滴中に注意していただくこと
*点滴中ベッドサイドを離れる際、点滴棒を忘れて点滴の管を引っ張ったり、
点滴棒につまづいたりすると危険です。充分に注意して下さい。
 
*末梢血管からの薬剤投与(腕からの点滴をする)の場合、点滴の針が関節
などの動きやすいところに入っていると、針が動いて薬が血管の外に漏れる場合があり
ます。
 患者様自身も、針の入っている近くの関節を曲げたり、点滴の管を引っ張らないように
ご協力お願いします。
また、針の入っている血管に、痛み・灼熱感(痛みを伴った熱い感じ)・違和感がある場
合や、針の入っている部分周囲の皮膚が腫れたり赤くなっている場合は、すぐに医師・
看護師に知らせて下さい。
   
☆副作用と対処法
血球の減少  
血液をつくる骨髄は化学療法の影響を受けやすく、それにより血液の成分が一時的に
少なくなります。
 
*白血球 : 細菌などの病原菌をやっつける働きがあります。
少なくなると・・・
菌への抵抗力が下がり、感染を起こしやすくなります。
治療後7〜28日目が白血球の数が減りやすい時期です。
白血球の造血を刺激して、白血球の数を増やすお薬を使うことがあります。
 
<感染症予防のために気をつけること>
マスク 病室を出る場合、必ずマスクをしましょう!
マスクは病室の前に設置されています。
また、こどもや風邪をひいている人には近づかないで下さい。
※ もう一度確認!7階病棟は、小学生以下のお子様の面会は禁止です。
うがい 菌の入り口のひとつは「口」です。
朝起きたとき・毎食後・病室に戻られたとき・寝る前など、まめに
うがいをしましょう。
 
手洗い 病室に戻った後・毎食前・トイレの後は必ず石鹸で手洗いしましょう。
 
清潔  体調が悪くなければ、できるだけお風呂に入りましょう。
    (体調が悪い場合、あたたかいタオルで体を拭かせていただきます。)
    おしりや陰部は、特にウォシュレットやシャワーできれいにして
おきましょう。
 
食事  お刺身や生肉・生卵などの生ものを控えましょう。
    新鮮なものを火を通して調理し、すぐ食べるようにしましょう。
 
排便の調節  便秘や下痢があると肛門やその周囲の皮膚が傷つきます。
       普段からスムーズに排便があるように調節しましょう。
しかし、普段スムーズに排便がある方でも、治療で使う薬に
より、便秘・下痢になりやすい場合があります。
       排便の調節の方法については、医師や看護師にご相談ください。
 
感染症を引き起こしたら・・・
 抗生物質(内服または点滴)による治療を開始する場合があります。
次のような症状があれば、医師や看護師に知らせて下さい。
 
発熱(38度以上)  息苦しさ       痛みを伴う湿疹
悪寒・寒気      排尿時の違和感
頭痛         肛門の痛み
咳・鼻水や鼻づまり  下痢(1日3回以上)
のどの痛み      腹痛
 
※ただし、熱を下げる作用のある痛み止め(ロキソニンなど)やステロイド
(プレドニンなど)を内服している場合、熱が出ないことがありますので、
体調に異変を感じたら、すぐに知らせてください。 

*赤血球 : 全身に酸素を運んでいます。
酸素は、赤血球の成分である「ヘモグロビン」と結合することで
全身に運ばれます。
少なくなると・・・
赤血球・ヘモグロビンが減少した状態を「貧血」といいます。
身体中に酸素が充分に運べなくなっているため、めまい・立ちくらみ・だるさを感じたりし
ます。
また、酸素をできるだけ身体中に運ぼうと心臓が頑張って血液を送り出すため、脈拍が
速なり動悸を感じることがあります
赤血球やヘモグロビンの数を増やすため、輸血を行うことがあります。
 
<赤血球・ヘモグロビンが少ないときに気をつけること>
*立ち上がるときは急に動かず、ゆっくり立ち上がりましょう。
*めまい・ふらつきや動悸などの症状があるときは、できるだけ体を休めましょう。また、
ベッドを離れる際、看護師が付き添いますので、ナースコールを押して下さい。
*もし、歩行中に、めまいやふらつきを感じたらその場に座るなど身を守る
姿勢をとり、人を呼びましょう。
                        
*血小板  出血したときに血液を固まらせる働きがあります。
少なくなると・・・
血が止まりにくくなったり、出血や内出血しやすくなったりします。
血小板の数を増やすために、輸血を行うことがあります。
 
<血小板が少ないときに気をつけること>
*打撲したり、怪我をしないようにしましょう。特に頭を打たないようにしましょう。
*鼻を強くかんだり、排便時に強く気張ったりしないようにしましょう。
*歯ブラシはブラシを柔らかいものを使い、強くこすらないようにしましょう。
*皮膚を強くかいたり、こすったりしないようにしましょう。
 皮膚を傷つけないように、電気カミソリを使うようにしましょう。
                        
吐き気・嘔吐  
吐き気・嘔吐・食欲不振は、化学療法を受けられる方に現れる症状です。
しかし、かならずしも起こるわけではなく、また症状や程度にも個人差があります。通常
は、化学療法剤を点滴する前には、吐き気を減少させるようなお薬を点滴しています。
それでも、症状が強い場合、吐き気止めの点滴を追加することができますので、医師や
看護師にご相談下さい。
また、嘔吐が続くと、脱水や体重減少などを引き起こし体力を低下させてしまうことにな
るので、水分を補う点滴や高カロリー成分の点滴を行うことがあります。
 
<吐き気・嘔吐・食欲不振への対処法>
 
*吐き気や食欲不振で食べれないときは、無理に食べなくてもかまいません。脱水にな
らないように、水分を摂るようにしましょう。
 ※ただし、アルコール・カフェイン・炭酸飲料は避けてください。
*食事の前に、番茶やレモン水でうがいをすると、口の中がスッキリして吐き気の予防
になることがあります。
* 食後は頭を高くしてひざを曲げて横になると、おなかの緊張がとれ、楽になります。そ
の際、衣服のおなか周りを緩めるようにしましょう。
また、右を下にして休まれると、食物の逆流を予防でき、楽になることがあります。
*食べ物のにおいで吐き気や嘔吐を誘発することもあります。
配膳が不要な場合は事前に看護師に知らせて下さい。
*突然嘔吐することもあるときは、ガーグルベースをベッドサイドに用意させていただき
ます。また、吐物のにおいにより嘔吐を誘発することがありますので、できるだけ早く片
付けさせていただきます。嘔吐後はナースコールで知らせて下さい。
*今まで食べられたものが食べられなくなるなどの嗜好の変化が起こる可能性
 があります。食べやすいものから食べるようにしましょう。
*食べ物の工夫(※個人差があります。)
○口当たりのよい食べ物×避けた方がよい食べ物
・水分を多く含む果物(スイカ、なしなど)
・スープや味噌汁
・アイス・ゼリー・プリン
・・ スポーツ飲料
・・ 酸味のもの(酢の物など)
・・ 冷水や氷片・脂っこいものや揚げ物
・硬いもの
・香辛料の強いもの
・においの強いもの
 ※冷たいものの方が口当たりはよくなります。
 ※量が取れない時は、少量でカロリーの高いアイス・プリン・カロリーメイトなどを
試してみましょう。
 
しびれ・神経症状
 化学療法剤の種類によっては手足の指先や裏などにしびれやさすような痛み、焼ける
ような感覚が出現する場合があります。
治療が進むにつれて症状が進むにつれて症状が出てきます。
時期としては、治療開始2〜3週間後から出現し、完全に症状がなくなるまでには
1〜2年かかることもあります。
しびれなどの症状が表れた時は、医師・看護師に知らせて下さい。
 
<しびれ・神経症状の出たときに気をつけること>
*感覚が鈍くなっていることもあるので、火傷や凍傷にならないよう、熱いものや冷たい
ものを体の1部分に当て続けないように気をつけて下さい。
(ホットパックやクーリング使用時)
* 手指の運動を積極的におこなったり、温かくすることで軽減されることがあります。
 
口内炎   
 薬剤により唾液の分泌が抑えられ、口の中が乾燥することがあります。
また、白血球の減少に伴い口腔内の局所感染なども起こりやすくなります。
※虫歯があれば、治療前に歯科受診していただきます。
 
<口内炎予防のために気をつけること>
* 予防として、うがい・歯磨きをまめに行いましょう。
*1日1度は口の中を観察するようにして、口の中の変化に注意しましょう。
*治療中、口の中を冷やすことでお薬が口腔粘膜に到達する量を減少させ、口内炎を
予防することができます。
*唇の乾燥を防ぐために無香料のリップスティックなどをぬりましょう。
 
脱毛
毛根は人間の細胞の中でも生まれ変わりが激しいため、化学療法剤の影響を受けやす
く、その結果、毛が抜けるという状態になります。
脱毛は一時的なもので治療が終れば、必ず回復します。
脱毛が起こってくる時期は個人差もありますが、治療を開始して2〜3週間頃から、
体毛(頭髪・眉毛・まつげ・鼻毛・陰毛・わき毛などの全身の毛)が、抜け始めます。
抜け始めると、1〜2週間位でかなりの量が抜けてしまいます。
治療が終わると、1〜2ヶ月で再生が始まり、3〜6ヶ月でほとんど回復します。

<頭髪が脱毛した時の手入れ方法>
*脱毛は髪を洗ったり、ブラシをかけたときに起こりやすく、朝起きると抜けた毛が
枕の周りについているのが目立ちます。
衣類や枕についた髪の毛は、ガムテープやころころクリーナーなどを使用すると
簡単にとることができます。

*抜ける時期は、短い髪の方が始末も簡単なようなので、治療を受ける前には、髪の毛
をあらかじめショートヘアーにしてしまうのもよいでしょう。
*キャップをかぶって寝ると回りに髪の毛が落ちることも少なく、脱毛の不快感を 多少
軽減できるようです。
*髪をとかすと抜けるのが早いからといってとかさない方がいらっしゃいますが、  整
髪しないと髪がもつれて余計に手入れが難しくなるので、頭皮を傷つけない程度に注意
してブラッシングしましょう。
*脱毛の最中は、布製のキャップやバンダナ・かつらなどを用いる方が多いようです。か
つらについては外来パンフレットをご用意しましたので、興味のある方は参考に
して下さい。
また、布製キャップの作成方法についても、病棟にパンフレットをご用意していますの
で、参考にして下さい。
*シャンプーもなるべく刺激の少ないものを使い、保湿に留意しましょう。
 シャンプーのし過ぎは頭皮の乾燥を進めてしまうので、特に冬場は2〜3日に1度が好
ましいようです。
*パーマや毛染めは頭皮の刺激になるので控えておき、皮膚の状態を見て主治医に相
談してみて下さい。
*眉毛が抜けて眼が乾燥したり、ごみが入りやすくなります。眼鏡をかけることで症状が
軽減することがあるようです。
また、乾燥予防のために、目薬を使用することができます。医師・看護師にご相談下さ
い。

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