最新文献紹介(抄読会)
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2015年

Memory B-cell reconstitution following allogeneic hematopoietic stem cell transplantation is an EBV-associated transformation event.

同種造血幹細胞移植後のメモリーB細胞の再構築はEBVによるtransformationにより引き起こされる

Allo-SCTは、B細胞系免疫再構築におけるEBV感染症を追跡できるまたとない場合である。大半のallo-SCT患者は移植後EBV DNA量が低いもしくは検出感度以下であるが、EBV量が急速に増加し、治療しなければPTLDに至る患者は一定数存在する。興味深いことに、典型的な高レベルEBV再活性化は移植後3ヶ月間に起こるが、この時期末梢血にはEBVが持続感染している免疫正常なドナーのCD27(+)メモリー細胞は少ない。この明らかな逆説を検証するため、我々は前向きに移植後12ヶ月間EBV量とB細胞系免疫再構築をモニターした。EBV量が低いもしくは検出感度以下の患者では、末梢血のB細胞循環プールでは、CD27(+)メモリー細胞が存在せず、移行細胞もしくはナイーブ細胞が優位であった。しかし、EBV量が高い患者では、CD27(+)メモリー細胞が量と率でともに増加していた。これらの患者のCD27(+)メモリー細胞を取り出し解析すると、この分画の細胞は選択的にEBVに感染し、B細胞の成長と形質転換に関連するEBV潜伏感染の転写産物を発現し、表現型は形質芽球(plasmablastic)であり、増殖マーカーであるKi-67を発現していた。allo-SCTによって引き起こされる高レベルのEBV再活性化は、潜伏感染したCD27(+)Bリンパ芽球のexpansionを末梢血に引き起こすかもしれないことが、これらの発見から示唆される。

平成27年12月28日
吉村卓朗

 

Ruxolitinib in corticosteroid-refractory graft-versus-host disease after allogeneic stem cell transplantation:a multicenter survey

同種移植後のステロイド抵抗性GVHDに対するルキソリチニブ

同種移植の進歩にも関わらず、ステロイド治療抵抗性(corticosteroid-refractory :SR)の急性および慢性GVHDの死亡率は高い。前臨床データによると、JAK1/2阻害剤であるruxolitinibには強い抗炎症作用があることがわかっている。今回の後方視的検討では、SR-GVHDに対する救援療法としてruxolitinib投与を受けた、欧米の19移植施設、計95例の患者データを解析した。
SR-aGVHD群 (n = 54, all grades III or IV)、SR-cGVHD (n = 41, all moderate or severe)であった。前治療レジメ数は中央値で3 (aGVHD (1–7) , cGVHD (1–10))。全奏功率ORRは、aGVHDで81.5%
(44/54)で、そのうちCRは25例(46.3%)であった。cGVHDではORRは85.4% (35/41)であった。奏功を得た患者でみると、GVHDの再燃率は、aGVHD群で6.8% (3/44)、cGVHD群で5.7% (2/35)であった。6ヶ月生存率は、それぞれ79% (67.3–90.7%, 95% confidence interval (CI))、97.4% (92.3–100%, 95% CI)であった。治療中には血球減少およびCMV再活性がみられ、順に、aGVHD群で30/54(55.6%)、18/54(33.3%)、cGVHD群で7/41(17.1%)、6/41(14.6%)であった。

Ruxolitinibはステロイド治療抵抗性の急性及び慢性GVHDに対して有望な新規治療となるかもしれないが、前向き試験での検証が必要である。
平成27年12月21日
林 良樹

 

Busulfan plus cyclophosphamide versus busulfan plus fludarabine as a preparative regimen for allogeneic haemopoietic stem-cell transplantation in patients with acute myeloid leukaemia: an open-label, multicentre, randomised, phase 3 trial

AMLに対する同種造血幹細胞移植前処置としてBuFluとBuCyの多施設ランダム化比較試験

Background
標準的busulfan-cyclophosphamide(BuCy)骨髄破壊的前処置レジメンは、同種造血幹細胞移植を受ける、40歳より高齢の急性骨髄性白血病(AML)患者では、かなり多くの非再発死亡(NRM)を関連している。Busulfan plus fludarabine(BuFlu)の組み合わせがNRMを減少させることが示されているので、我々は、これら患者における前処置レジメンとして、BuFluとBuCyを比較することを目的とした。
Methods
我々は、AML患者に対して、オープンラベル、多施設、ランダム化、phase 3試験を、イタリアの25とイスラエルの1つの移植施設で行った。適格患者は、40−65歳、ECOG PS 3未満、寛解(CR)症例とした。患者は、1:1で静注BuCy or BuFlu群にランダムに割付された。治療割付は研究者と患者の両方ともマスクされなかった。ランダム化は、遠隔データ登録を用いた専用webシステムにより、ドナータイプとCR状態で層別化され、中央で行われた。BuCy群に割付された患者は、ivBu 0.8 mg/kg×4回/ dayを2時間かけて4日間連続で静注(16回投与、day -9 to -6; 計12.8 mg/kg) 、Cy 60mg/kg/dayを2日間連続(day -4, -3; 計120 mg/kg) で投与を受けた。BuFlu群に割付された患者は、同量のivBu(day -6 to -3) 、Flu 40 mg/m2/dayを4日間連続(day -6 to -3; 計160 mg/m2) で投与を受けた。Primary endpointは、intention-to treatによる評価に基づいた1年NRMとし、安全性アウトカムはper-protocol populationで評価した。本試験は完遂し、ClinicalTrials.gov, NCT01191957で登録されている。
Findings
2008/1/3から2012/12/20の間で、我々は252名の患者を、 BuCy(n=125) or BuFlu
(n=127)に登録し、ランダムに割付した。フォローアップの中央値は27.5ヶ月(IQR 9.8-44.3)。1年NRMは、BuCy群で17.2% (95% CI 11.6-25.4)、BuFlu群で7.9%(4.3-14.3) (Gray’s test p=0.026)。Grade 3以上の最も多く報告された有害事象(AE)は消化管障害(BuCy群 121人中28 [23%] 、BuFlu群124人中26 [21%])と感染症(BuCy群 21人 [17%] 、BuFlu群13人 [10%] は少なくとも1つ以上のイベントを発症)であった。
Interpretation
AML高齢患者では、骨髄破壊的BuFlu前処置レジメンはBuCyと比べて移植関連死亡の低下と関連し、強力な抗白血病効果を保持している。以上のことから、本レジメンはこのような患者に対する同種移植を計画する際に、標準治療として考慮されるべきである。

平成27年12月14日
康 秀男

 

Targeted sequencing identifies patients with preclinical MDS at high risk of disease progression

疾患進行のハイリスクのpreclinical MDS患者をtarget sequenceで同定する

骨髄異形成症候群(MDS)の診断は形態観察による主観のため、まだ問題が残っている。高頻度の 体細胞変異やarray-based cytogeneticsでの構造異常の増加は疾患の客観的なマーカーになる可能性があるが、健常人の集 団においても同様の異常が報告されており、話が複雑になっている。我々は早期のMDSと、健常 人を区別する徴候を同定するために、初診時は診断に至らなかったが後にMDSや急性骨髄性白血 病(AML)になった患者69人の骨髄を調査した。Targeted sequenceとarray-based cytogeneticsで、driver変異と構造異常をMDS集団の診断前サンプルの91%(63/69)で認めた。 以前に報告された健常人集団と比較して、変異アリルの割合(VAF)が有意に大きく(40% vs 9-10%)、付加的な変異がより一般的に認められた(2つ以上の変異が64% vs 8%)。さらに、疾患進行までの時間が短くより生存の短い予後不良な高リスク患者を、変異解析 で同定した。我々のcohortの変異の特徴は、健常人集団でみられるものとは異なっており、確定 的な疾患がない場合でさえ、生存を予測できる。早期の検出によって、高リスク患者の介入を考 慮できるようになるかもしれない。

平成27年12月7日
康 史朗

 

Biomarkers for Diagnosis and Prognosis of Sinusoidal Obstruction Syndrome after Hematopoietic Cell Transplantation.

造血幹細胞移植後のSOSの診断と予後に関するバイオマーカー

移植後早期においてSOSの信頼できる非侵襲的な診断及び発症予測法が必要とされている。我々 はプロテオミクスに基づいた定量的質量分析計を用いて、SOS20名と非SOS20名の血漿を比較する ことでSOSのバイオマーカー候補を選び出した。494の蛋白質を定量化し、少なくとも2倍以上の 同位体比、既報告からの情報、immunoasssayの可否に基づいて、6つの蛋白質(L-Ficolin, VCAM1 , TIMP-1, vWF, ICAM1, CD97)を選んだ。次に我々は、80名の患者サンプルにおいて、これら6つ の蛋白質と既報告から選んだ5つ(ST2, ANG2, ヒアルロン酸, TM, PAI-1)の診断価値を評価し た。その結果、ST2, ANG2, L-Ficolin, ヒアルロン酸, VCAM1はSOS診断のバイオマーカーパネル となることが判明した。L-Ficolin, ヒアルロン酸, VCAM1はまた移植日の地点でSOSリスクの高 い患者を層別化した。予後ベイズモデルでは、移植日のL-Ficolin, ヒアルロン酸, VCAM1値と臨 床情報を合わせると、SOS発症に対して80%以上正しい予後を判定した。これらのバイオマーカー はSOS発症や重症化を最小化するためのpreemptiveな治療介入の機会を生む可能性がある

平成27年11月30日
岡村浩史

 

Biomarker profiling of steroid-resistant acute GVHD in patients after infusion of mesenchymal stromal cells

ステロイド抵抗性急性GVHD患者における間葉系幹細胞投与後のバイオマーカープロファイル

我々はGrade II-IVのステロイド抵抗性GVHD48症例に対してmesenchymal stromal cells(MSCs)で治療する前向きPhaseII試験を行った。臨床結果は包括的な可溶性・細胞性バイオマーカーと関連があった。Day28でのCR(CR-28)は12例(25%)、1ヶ月間CRが続くBest response CR(CR-B)は24例(50%)であった。1年OSはCR-28、CR-Bでそれぞれ有意に良好であった(75%-33%、P=0.02)、(79%-8%、P<0.001)。MSC投与前の6つの可溶性バイオマーカーPanelが死亡率を予測できた(HR2.924)。MSC投与後2週間の(MSC投与前ではなく)ST2値が唯一の死亡予測マーカーであった(HR2.389)。さらにImmature myeloid dendritic cells(immamture mDCs)の増加が死亡率低下に関連していた(HR0.554)。患者においてウイルスや腫瘍に対するT細胞反応性は維持されていた。

平成27年11月16日
西本光孝

 

Cell of origin of transformed follicular lymphoma

形質転換した濾胞性リンパ腫の細胞起源

濾胞性リンパ腫(FL)はindolentであるが、年に2−3%はaggressive lymphomaへ形質転換し、致死的な経過を辿る。FL診断時には早期に形質転換するか否かは予測できず、transformed FL(TFL)の過程もよく分かっていない。我々は5年以内に形質転換したFLの患者の検体と少なくとも5年間は形質転換しなかった86人のFLの患者検体を比較検討した。加えて、一部重複する155人のTFL患者を調査した。そのうち114人は形質転換前後の検体があり、バイオマーカーや分子形態を検討した。その結果、我々はIRF4の発現が早期形質転換の独立した予後因子であることを突き止めた。また、形質転換時に「混合組織型」であれば予後は良いことも分かった。110人のDLBCL-like THL患者の検体にデジタル遺伝子発現Lymph2Cxアッセイを用いてcell of oliginを検討したところい、GCBが80%、ABCが16%であった。後者はBCL2の転座が陰性であり、同様の性質を示すFLより発生する。我々の研究によってTFLが分子学的に多様であり、それが先行するFLと関連していることが示された。

平成27年11月9日
高桑輝人

 

Quantitative characterization of T-cell repertoire in allogeneic hematopoietic stem cell trasplant recipient.

同種移植患者におけるT細胞レパトアの量的特性

造血幹細胞移植(HSCT)は、血液悪性疾患に対して治癒を望みうる治療選択肢の一 つである。ドナー由来T細胞によって引き起こされるGVHDは、依然allo-HSCTの最 大の合併症だが、白血病 細胞を攻撃するGVL効果は、AML患者の最終的な予後を 規定す るのに非常に重要である。今回筆者らは、HLA一致移植またはハプロ+臍 帯血移植を受けた患者の、T細胞受容体(TCR)の種類の多様性(T細胞レパトア)を 次世代シークエンスを用い て解析した。つまり様々なTCRα鎖およびTCRβ鎖の体 内動態、T細胞の多様性(CDR3領域のシークエンス)、そしてある特定のT細胞集団 のクローナルな増殖 を測定した。この結果、移植後day30で臍帯血由来の細胞割 合が高 い患者では、より高いT細胞レパトアを認め、臍帯血 キメラ状態の免疫 再構築における重要さが示唆された。驚いたことに、GVHDと再発は、それぞれ独 立してT細胞レパトアの低下を引き起 こし、ある特定のT細胞集団の増殖を認め た。以 上の結果、移植後早期のレパトアの多様性はGVHDと再発の両方のリスク を低下 させる可能性が考えられ、GVHDとGVL効果に関する新規の知見を明 らか とした。

平成27年11月2日
中嶋康博

 

Prediction of Allogeneic Hematopoietic Stem-Cell Transplantation Mortality 100 Days After Transplantation Using a Machine Learning Algorithm: A European Group for Blood and Marrow Transplantation Acute Leukemia Working Party Retrospective Data Mining Study.

機械学習アルゴリズムによる同種造血幹細胞移植後100日死亡予測:後方視的データマイニング研究

目的:同種造血細胞移植は急性白血病を治癒させる可能性のある治療であるが、相当のリスクがある。データマイニングアプローチのひとつである機械学習アルゴリズムは移植関連死亡予測に役立つ可能性がある。
患者背景:EBMTに登録された28236名の急性白血病成人患者に対する後方視的データマイニング研究である。主要目的は移植後100日の死亡率予測、副次的目的は移植後2年での非再発死亡、非白血病生存、生存率を予測することである。ドナー、患者、移植手順に関する因子が解析された。Alternating decision tree機械学習アルゴリズムで、データセットの70%をモデル作成に使用し、残り30%がデータのバリデーションに使用。
結果:day100の死亡率は13.9%(3936名)。20個の因子のうち10個が死亡率予測モデルに選択され、幾つかの相互関係が分かった。ロジスティック変換で、生のスコアが個々のday100死亡率の数値に転換された(範囲:3〜68%)。モデルの主要目的 (day100死亡率)の識別能はEBMTスコアの識別能よりも良かった(ROCカーブのAUC:0. 701 vs. 0.646; P <.001.)。キャリブレーションは極めて良かった。スコアは副次的目的(2年後予後予測)に対しても適用できた。
結論:alternating decision tree modelは急性白血病患者の移植前リスク評価の頑健なツールを提供する。オンラインで利用可能である (http://bioinfo.lnx.biu.ac.il/_bondi/web1.html)。Day100予測死亡率を連続数のスコアで表示し、2年後の予後予測にも広げることができる。データマイニング法は同種移植の予測にも有用であることが示された。

平成27年10月26日
中前美佳

 

Plasma biomarkers of acute GVHD and nonrelapse mortality: predictive value of measurements before GVHD onset and treatment.

急性GVHDと非再発死亡の血漿バイオマーカー:GVHD発症および治療前予後予測

我々は、治療開始前に23種類のバイオマーカーを測定することで、腸管GVHD患者の予後を予測するバイオマーカーを同定した。最初の74例のコホートでグレードIII-IVの腸管GVHDを正確に予測する6つのマーカーを同定して、2つ目の76例のコホートでテストを行った。さらに、の6つのマーカーを検体採取時にGVHDがなかった167例で、day 14±3に採血して評価した。それぞれの因子をロジスティック解析、ROC解析を用いて予後との関係を解析した。GVHDの発症時の解析とlandmark解析では、ベストモデルをforward selectionで同定した。2つ目のコホートでは、検体は治療前の中央値4日前に採取され、TIM3、IL-6とsTNFR1がグレードIII−IVのGVHD予測に有用であった(area under ROC curve 0.88)。ST2とsTNFR1の血漿レベルは、1年以内のNRMの予測に有用であった (area under ROC curve 0.90)。landmark解析では、血漿TIM3がグレードIII-IVの腸管GVHDの発症予測に有効であった。TIM3、sTNFR1、ST2および、IL-6の血漿レベルは重症GVHDやNRMの予測に有用な情報を与えると結論できる。

平成27年10月19日
中前博久

 

Establishment of Definitions and Review Process for Consistent Adjudication of Cause-specific Mortality after Allogeneic Unrelated-donor Hematopoietic Cell Transplantation.

同種非血縁ドナー造血細胞移植後の原因特異的死亡の一貫した判定のための定義とレビュープロセスの確立

臨床試験では、一般的にエンドポイントを絞り込むために判定委員会を開くが、観察研究やゲノムワイド関連研究ではほとんど行われない。我々の目標は、非血縁ドナー同種造血細胞移植(URD-HCT)後の死因の定義を確立すること、報告された死因と判定された死因の不一致を推定し、死因の決定における矛盾に寄与する因子を同定することであった。コンセンサス委員会はHCT後1年以内に死亡した1484人の患者(米国151移植施設からIBMTRに報告された2000〜2011年のURD-HCT後の急性白血病、MDS患者3532人に由来)の死因を判定した。死亡は、疾患関連または移植関連として分類された。委員会は、施設から疾患関連と報告された死亡の>99%、移植関連と報告された死亡の80%と一致した。移植の年(コホート効果)と疾患病期は有意に委員会と施設間の一致に影響した。移植後100日未満の死亡の感度分析では、MDS患者における委員会と施設間の一致は最低だった。死因判定のための標準的な定義された分類により、類似した臨床シナリオに対して一貫性のある適用とcause-specific death (原因特異的死亡)分類がより明確になった。他の研究における癌特異的vs治療関連死亡率のような競合イベントでは、我々の結果から利益を得るであろう。我々の詳細なアルゴリズムによって、施設から原因特異的死亡のより一貫性のある報告がなされるべきである。

平成27年10月5日
廣瀬朝生

 

Efficacy of immune suppression tapering in treating relapse after reduced intensity allogeneic stem transplantation

RIST後の再発に対する免疫抑制剤減量の有効性

免疫抑制剤使用中の同種移植後の再発患者にとって、免疫抑制剤の減量はGVT効果をもたらすという逸話的なエビデンスがある。我々は自施設において免疫抑制剤使用中で同種移植後1年以内に病理学的あるいは画像検査において再発を報告された全患者の診療録をreviewした。再発の中央値は移植後110日(range 18-311日)であった。化学療法、放射線治療、DLIなしに免疫抑制剤の減量だけで治療された患者は123人で、34人が治療に反応した(RICでは101人中33人が、MACでは22人中1人が反応した、32.7%vs4.5%、p=0.007)。免疫抑制剤減量開始後の反応までの中央値は82日(range 18-311日)であった。33人(971%)が免疫抑制剤の減量効果として急性あるいは慢性GVHDを発症し、その中央値は39日(range 16-98日)であった。6人の患者が免疫抑制剤減量によって治療に反応した後、約2年の中央値(range 0.9-3.8年)で再発した。免疫抑制剤減量に反応した患者のOSの中央値は5.1年(range 1.9-not estimable)であった。臨床的に実行可能な場合には、同種移植後にRICで再発した患者において免疫抑制剤の急速減量が持続的な寛解となることがあるが、ほとんどGVHDを発症する。

平成27年9月28日
南野 智

 

Nilotinib combined with multiagent chemotherapy for newly diagnosed Philadelphia-positive acute lymphoblastic leukemia.

新規発症フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対するニロチニブ併用多剤抗がん剤治療

我々は、新規発症の成人Philadelphia陽性急性リンパ性白血病(PhALL)に対して、多剤併用抗がん剤にnilotinibを併用した効果を、地固め維持療法や同種幹細胞移植(allo)を含めて評価した。対象患者は寛解導入療法(VCR、DNR、PSL、Nilotinib)を行った。血液学的完全寛解(HCR)を達成後、地固め療法5コース+nilotinib維持療法2年間またはalloを行った。微小残存病変(MRD)はHCR達成時から3ヶ月毎に評価した。分子遺伝学的効果(MR)はBCR-ABL1/G6PDH比で評価され、≦10-3をMR3、≦10−5をMR5とした。対象患者は17施設から17-71歳の90人、HCR達成率が91%、57人がalloを行った。累積MR5達成率は94%、2年血液学的無再発生存(HRFS)は72%、2年全生存(OS)は72%、血液学的再発は、MR3またはMR5を達成した場合に比べて、未達成の場合のMR3で9.1倍、MR5で6.3倍多かった。allo前とallo後3ヶ月のMRDが2年HRFSの予測因子であった。治療副作用(AE)は主に寛解導入時に生じ、ほとんどがnilotinibの減量や一時休薬で可逆的であった。nilotinibと大量抗がん剤の併用は耐容可能で、高い分子遺伝学的完全寛解(MCR)率・HRFSを示した。寛解後早期のMRDがHRFSの予測因子であった。

平成27年9月14日
久野雅智

 

Hematologic Recovery after Pretransplant Chemotherapy Does Not Influence Survival after Allogeneic Hematopoietic Cell Transplantation in Acute Myeloid Leukemia Patients.

AMLにおいて移植前化学療法後の血液学的回復の有無は同種移植後の生存には影響しない

AMLにおける同種移植前の寛解状態は、移植後の予後を規定する重要な因子の1つである。多くの患者は、完全に造血が回復した状態での完全寛解(CR)で同種移植を受けるが、血小板の回復に達していないCR(CRp)や、CRの基準を満たすが、好中球と血小板の回復に達していない状態であるMorphologic Leukemia free state(MLFS)で同種移植を受ける患者もいる。しかし、AMLで移植前直前の化学療法後MLFSの状態で移植した結果はあまり報告されていない。そのため今回、2006年から2013年の間に単施設で6/6HLA一致同胞間移植か10/10HLA一致非血縁者間移植を受けたAML患者260人を対象に移植後の評価を行った。結果、270人中206人はCRで、45人がCRp、19人がMLFSであり、3年全生存率(OS)は同等(49%、46%、47% P=0.88)であり、3年無再発生存率も同等であった(45%、36%、40% P=0.53)。しかし、累積再発率はMLFS群がCR群より少なかった(11% vs 36% p=0.03)にも関わらず累積非再発死亡率はMLFS群の方がCR群よりも多かった(58% vs 22% p=0.004)。結論として、AML患者について移植後のOSは移植前の造血回復に影響されないことが示唆された。

平成27年9月7日
幕内陽介

 

Somatic Mutations and Clonal Hematopoiesis in Aplastic Anemia.

再生不良性貧血における体細胞変異とクローン造血

BACKGROUND 後天性再生不良性貧血(AA, aplastic anemia)の患者では、免疫システムによる造 血細胞の破壊が汎血球減少につながる。患者は免疫抑制治療に反応するが、骨髄異形 成症候群や急性骨髄性白血病が患者の約15%に発症し、それには通常、AA診断後多く の年月を必要とする。 METHODS 我々は、AA患者439人から得られた668の血液サンプルを用いて、next-generation se quencing と array-based karyotyping を行った。我々は、82人から得られた連続サ ンプルを解析した。 RESULTS 骨髄系腫瘍候補遺伝子の体細胞変異が患者の3分の1で見つかり、それは限られた数の 遺伝子において、低い初期変異アリル頻度であった。クローン性造血は患者の47%で 見つかり、そのほとんどは後天性変異であった。変異の保有は年齢とともに増加し、 変異は年齢に関連した特徴を有してした。DNMT3A変異とASXL1変異クローンは時間を かけてサイズが拡大する傾向があり、BCOR変異、BCORL1変異、PIGA変異クローンのサ イズは縮小または不変のままであった。PIGA、BCOR、BCORL1の変異は免疫抑制治療に 対する良好な反応性、長期の高い全生存率、無増悪生存率と関連していた。DNMT3Aと ASXL1を含む遺伝子のサブグループの変異は予後不良と関連していた。しかしながら、 クローンの動態は、高度に変動しており、必ずしも個々の患者の治療反応性と長期生 存を予測しなかったかもしれない。 CONCLUSIONS クローン性造血はAAにおいては高頻度であった。いくつかの変異は臨床アウトカムと 関連していた。変異の高度に偏向した集団は機能不全の骨髄環境におけるダーウィン 淘汰の証拠である。個々の患者において長い時間を経た体細胞変異パターンは変動が あり、しばしば予測不可能であった。

平成27年8月31日
康 秀男

 

Comparable outcomes post allogeneic hematopoietic cell transplant for patients with de novo or secondary acute myeloid leukemia in first remission

de novo AMLと2次性AMLの初回寛解での移植成績は同等

二次性のAML(sAML)は通常の化学療法のみでは予後不良である。同種造血幹細胞移植はハイリスクAMLにとって有益である。de novo AMLとsAMLに対する移植の成績を比較しているデータは限定されている。我々はCR1におけるde novo AMLとsAMLの移植成績を比較し、年齢・HCT comorbidity index(HCT-CI)・染色体異常の影響を調べた。1999〜2013年に移植を受けた180人のde novo AML、84人のsAML、合計264人を対象とした。移植時の平均年齢は51歳(18-71歳)、フォローアップの平均期間は77ヶ月である。両グループの全生存率:OS(p=0.18)、無白血病生存率:LFS(p=0.17)、累積再発割合:CIR(p=0.51)、非再発死亡率:NRM(p=0.42)で差はなかった。多変量解析、傾向スコアによる解析でde novo AMLとsAMLの移植後の成績は同等であると示された。sAMLの予後は化学療法のみではde novo AMLに劣るが、移植後では差がない。

平成27年8月24日
児玉咲恵

 

Final results of prospective evaluation of the predictive value of interim positron emission tomography in patients with diffuse large B cell lymphoma treated with R-CHOP-14 (SAKK38/07)

R-CHOP14で治療をうけたDLBCL患者における予後予測因子としてのinterim PETの意義は?

Purpose
主目的は前方視的にR-CHOP14終了後のPET/CTの結果が、予後因子となり得るかを評価することと、PET評価基準を作成することである。
Patients and Methods
R-CHOP14を6サイクル終了後2サイクルのRを投与された全てのステージにあるDLBCL患者。PET/CTは2サイクル後、(2サイクル後陽性であれば4サイクル後)、終了後に撮影された。PET/CTの検査結果は各施設基準とcentral reviewで評価された。主要評価項目は2年のEFS。
Results
138人が登録され年齢中央値が58.5歳、PS1が36%、PS2が8%、2サイクル終了後のPET/CT陽性が83人(60%)、陰性が55人(40%)、各施設基準での2年EFSは2サイクル後PET/CT陽性と陰性でそれぞれ48%と74%(p=0.004)であり有意に陽性率が低かった。2年OSは88%と91%(p=0.46)で有意差はなかった。Central reviewでDeauville criteriaを用いたR-CHOP14 2サイクル終了後、interim PET/CTで陽性群と陰性群の2年EFSはそれぞれ41%と76%(p<0.001)、治療終了後PET/CT陽性群と陰性群の2年EFSはそれぞれ24%と72%(p<0.001)。
Conclusion
我々の大規模前向き臨床試験の結果、interim PET/CTはR-CHOP14で治療されたDLBCL患者において、限られた予後予測因子でしかなく、今の段階ではPET/CTは治療決定の手段として臨床的に有用であるとは言えない。

平成27年8月17日
吉村卓朗

 

High graft CD8 cell dose predicts improved survival and enables better donor selection in allogeneic stem-cell transplantation with reduced-intensity conditioning.

骨髄非破壊的前処置による同種造血幹細胞移植においてCD8細胞が多い方が生存率がよい

Purpose:血液悪性疾患を有する成人におけるRIC alloHSCTのoutcomeに対するgraftのT細胞組成の影響を明らかにするため、
Patient&Methods:PBSC graftでRIC alloHSCTを受けた200人の患者でgraftのT細胞量とoutcomeの関係を評価した。その後最適なgraft T細胞の内容の予測因子を同定するために21人のalloHSCTドナーで検討した。
Result:高容量CD8はGVHDやNRMの有意な増加なしに再発を低下させ(調整HR:0.43、P=0.009 )、RFSとOSを改善した(aHR:0.50、p=0.006、aHR:0.57、p=0.04)、0.72x10^8 CD8細胞数/kgをカットオフとし、CD8hiとCD8loに分けた場合に最適なOSの予後分離能を認めた(p=0.007)。ドナーの年齢はgraft CD8 doseに負の相関があり、その結果高齢者ではCD8hiのgraftを得ることができなかったが、若年者では約半数で得ることができた。CD8loの高齢sibling donorよりもCD8hiの若年非血縁donorの方がOSが良かった(p=0.03)。一方でCD8loの若年非血縁ドナーでは有意差はなかった(p=0.28)。加えて、幹細胞ドナーからの末梢血におけるCD8細胞の比を測定することでgraftに含まれるCD8量を予測することができた。
Conclusion:若年ドナーに制限されるもの、graft中の高容量CD8はRIC alloHSCTの良好な予後を予測する。

平成27年8月10日
中根孝彦

 

Allogeneic HY antibodies detected 3 months after female-to-male HCT predict chronic GVHD and nonrelapse mortality in humans

女性から男性への同種造血幹細胞移植後3ヶ月目に検出されるHY抗体は慢性GVHDおよび非再発死亡の予測因子となる

Y染色体上のコードされるマイナー組織適合抗原に対する同種反応性抗体(HY抗体)は女性ドナーから男性患者への移植(F->M)後に形成される。しかし、HY抗体形成と慢性GVHDの経時的関連性についてはよくわかっていない。

今回、136例のF->M同種移植患者を対象に、移植後3年まで前向きに血漿検体を採取し、6種類のHY抗原に対するIgG抗体を測定した。HY抗体は移植後の最初の3ヶ月時点で高頻度に検出された。78例(57%)で少なくとも1種類のHY抗体が陽性を示し、3ヶ月時点で陽性であることは、移植後の全経過を通じた抗体持続陽性と関連していた(p<0.001 in each)。3ヶ月時点でのHY抗体陽性と移植前の因子には関連は見られなかった。

3ヶ月時点で複数のHY抗体が陽性であることは(represented by HY score)、cGVHD(p<0.0001)およびNRM(p<0.001) のリスク増加と有意な相関を示した。臨床因子のみの場合と比較して、HYスコアを加味した場合、慢性GVHD予測能が向上した(p<0.01)。

F->M移植患者において、HY抗体形成をモニタリングすることは、慢性GVHDリスクを層別化し、慢性GVHDに対して移植後3ヶ月以後に開始する先制的予防治療に寄与するかもしれない。

平成27年8月3日
林 良樹

 

Early detection of anthracycline cardiotoxicity and improvement with heart failure therapy

アントラサイクリン誘発心毒性の早期発見と心不全治療による改善

Background:3種類のアントラサイクリン誘発心毒性つまり急性、早期発症慢性、晩期発症慢性が知られている。しかし、この分類を支持するデータは十分でなく、我々は発症率、発症時期、臨床症状と治療への反応性を前向きに評価した。
Method and Result:治療前、治療中と治療後の1年間は3ヶ月ごと、その後は4年間は半年ごと、その後は1年ごとに心エコー図にてLVEFをアントラサイクリン治療をうける2625人のコホート試験を行うために評価した。
心毒性(LVEFの10%以上の低下かつ50%以下)を認めたものは治療を開始した。心毒性からの回復は5%以上回復してかつ50%以上のものを部分的回復、ベースラインに回復したものを完全回復と定義した。追跡中央期間は5.2年、心毒性は9%(226人)で認めた。化学療法の終了時から心毒性発症までの中央期間は3.5ヶ月で98%(221人)は1年以内に発症していた。25人(11%)は完全寛解、160人(71%)は部分回復した。多変量解析では化学療法終了時のLVEFとドキソルビシンの総投与量が独立した危険因子であった。
Conclusion:アントラサイクリン治療後のほとんどの心毒性は1年以内に発症し治療後のLVEFとアントラサイクリン投与量に関係していた。早期発見と適切な治療が心機能の回復には重要である。

平成27年7月27日
古賀裕規

 

CMV reactivation drives posttransplant T-cell reconstitution and results in defects in the underlying TCRb repertoire

CMV再活性化は移植後のT細胞再構築を誘導し、潜在的TCRβレパトワを欠損させる

サイトメガロウイルス(CMV)の再活性化は移植後の免疫不全によっておこることが長らく示唆されてきたが、この現象を引き起こす分子メカニズムはいまだわかっていない。この点を明らかにするために、我々はマルチフローサイトメトリーとT細胞分画ソーティングをくみあわせ、非血縁造血幹細胞移植後のT細胞再構築に対するCMV再活性化の影響をくわしく評価した。我々はCMV再活性化がGranzymeBhigh/CD28low/CD57high/CD8+エフェクターメモリーT細胞(Tem)の50倍の特異的増幅を促し、胸腺由来が推定されるCD31+/CD4+細胞を含むナイーブT細胞の減少をもたらすことを見出した。T cellレセプター(TCRβ)のdeep sequenceによって、CMV再活性化の患者では、CMV特異的T細胞のclonal expansionによるCD8+ Temの多様性の大きな減少が明らかになった。CMV特異的T細胞クローンの拡大のtopographyに加えて、deep sequeceを行うことではじめて、潜在的なTCRレパトワを徹底的に調査した。我々の結果で、CMV再活性化の患者においてCD8 Temレパトワの重要な欠失が新たに明らかになった。このことで、CMV再活性化が、ウイルス特異的T細胞の拡大にくわえ、他のT細胞のレパトワの状態や多様性に大きな影響を与えることが分かった。

平成27年7月13日
康 史朗

 

Effectiveness and safety of lower dose prednisone for initial treatment of acute graft-versus-host disease: a randomized controlled trial.

急性GVHDの初期治療としての低用量プレドニゾンの効果と安全性

我々は新たに診断したaGVHDへの初期治療として「低用量」 のプレドニゾンが有効かつ安全である、という仮説を検証するため、phase IIIの臨床試験を行った。我々は、aGVHD治療のプレドニゾンの初期量は50%減量しても、二次治療の増加なしにGVHDをコントロールするに当たって十分であると仮説を立てた。Grade IIa(上部消化管症状、下痢量<1.0L/day、皮疹<50%、肝障害なし、n=102)の患者がプレドニゾン初期用量0.5mg/dayの群と1.0mg/dayの群に無作為割付された。Grade IIb以上(皮疹≧50%、下痢量≧1.0L/day、または肝障害あり、n=62)の患者は、プレドニゾン初期用量2.0mg/dayの群と1.0mg/dayの群に無作為割付された。低用量プレドニゾン群において初期治療後42日目までに平均累積投与量33%以上減少、という第一評価項目は達成しなかった。フォローアップ中央値36ヶ月(7-53ヶ月で)、低用量での初期治療はgrade IIaの患者において、二次治療を増加させることなく効果的であることが明らかになった。さらなる解析では、grade IIb以上で皮疹が優位な患者においては、初期治療を低用量プレドニゾンで開始した場合に二次治療を要するリスク増加と関連した(41%vs7%;P=0.001)。aGVHDの低用量プレドニゾンによる初期治療は効果的であり、統計的な制約はあるものの、生存に明らかな悪影響は及ぼさない。

平成27年7月6日
岡村浩史

 

Outcomes of acute leukemia patients transplanted with naive T cell-depleted stem cell grafts

急性白血病に対するナイーブT細胞除去造血幹細胞移植の成績

背景
GVHDは移植後の主な致死的合併症である。マウスにおいてはメモリーT細胞よりもナイーブT細胞がより重症なGVHDを発症する。我々はヒトの末梢血幹細胞よりナイーブT細胞を選択的に除去することでGVHDを減少させ、十分量の幹細胞およびメモリーT細胞が血球の生着や病原特異的なT細胞への分化を促進するのではないかとの仮説を立てた。
方法
Single-arm clinical trialで35例のhighリスク白血病患者に対してチオテパ、フルダラビン、TBIの前処置でナイーブT細胞除去移植を行った。GVHD予防はタクロリムス単独とした。患者はCD34陽性選択されたPBSCとCD45RA+ナイーブT細胞を除去された、目標量のメモリーT細胞を輸注された。Primary、Secondary endpointsは生着、急性・慢性GVHD、免疫再構築であった。
結果
すべての患者で生着を認めた。急性GVHDの頻度は減らなかった。しかしながら、これらの患者は全例ステロイド反応性があった。慢性GVHDはヒストリカルデータに比較して著明に減少した。(9%、フォローアップ中央値は932日)。Graftに含まれるメモリーT細胞はT細胞を早期に回復させ、ウイルス特異的な免疫細胞へ分化した。感染症や再発の極端な増加は認めず、2年でのOSは78%であった。
結論
ナイーブT細胞除去移植は機能的なメモリーT細胞への分化を温存しつつ、慢性GVHDの発症を減少させる。

平成27年6月29日
西本光孝

 

Survival of patients with mixed phenotype acute leukemia: A large population-based study

混合表現型急性白血病の予後

混合表現型急性白血病(MPAL)の罹患率や治療効果はあまり知られていない。WHOは2001年にacute leukemia of ambigous lineageという分類を設立したが、2008年に修正され、mixed phenotype acute leukemiaとなった。監視疫学遠隔成績(SEER)の登録データを用いて、我々は2001〜2011年に診断された313人のMPAL患者を14,739人のALL、34,326人のAML患者と比較した。また、そのいずれにも分類されない1,777人の白血病患者はOAL(other acute leukemia)として扱った。MPALの罹患率は100万人年あたり0.35。多変量解析で予後に大きく影響したものは年齢で、MPALは4つの白血病の中で最も予後が悪かった。しかし、2001〜2005年に比べ、2006〜2011年では予後の改善がみられた。我々はWHO分類に基づいたMPALの包括的な最初の集団研究を示す。特に高齢患者では予後が悪く、新規治療の確立が望まれる。

平成27年6月22日
高桑輝人

 

Circulating tumour DNA and CT monitoring in patients with untreated diffuse large B-cell lymphoma: a correlative biomarker study

未治療びまん性大細胞B細胞リンパ腫患者における末梢血中に循環する腫瘍DNAとCTによるモニタリング

<Background>びまん性大細胞B細胞リンパ腫(DLBCL)は治癒しうる疾患であるが。治療抵抗性の場合致死的となる。現在、画像検査によって治療効果の判定がなされているが、時に不明瞭で、なおかつ放射線暴露の長期的影響は無視できない。著者らはDLBCL患者の末梢血中に、腫瘍由来のclonalな免疫グロブリン遺伝子配列を検出できないか、さらに臨床的な疾患再燃を予測できないかを検討した。
<Methods>1993年〜2013年の間に3種類の治療プロトコールのいずれかにエントリーされた患者の、末梢血中に存在する無細胞性腫瘍DNAを、次世代DNAシークエンスを用い解析した。対象患者は初発のDLBCL患者で、定期の効果判定の画像検査時に血清サンプルを最長5年フォローした。再構成された免疫グロブリン受容体もVDJ遺伝子断片を、診断時の標本より作製・増幅させ、VDJ再構成をコードする末梢血中の腫瘍由来DNAを定量化した。
<Findings>治療前の標本検索により126人の患者が適格となり、フォローアップ中央値は11年(6.8-14.2年)だった・治療2コース後の腫瘍由来DNAの中間解析による5年無病生存率は、検出群は80.2%(95%CI 69.6-87.3)に対し、未検出群は41.7%(22.2-60.1)であった(p<0.0001)。循環する腫瘍DNA検出の陽性的中率は62.5%(40.6-81.2)、陰性的中率は79.8%(69.9-87.8)だった。完全寛解後の107人の患者において監視モニターが行われ、Cox比例ハザードモデルでは、未検出者と比較し検出患者のハザード比は228(51-1022)であった(p<0.0001)。循環する腫瘍DNAの監視モニターの陽性的中率は88.2%(63.6-98.5)、陰性的中率は97.8%(92.2-99.7)であり、監視モニターにより臨床的な再発検出より中央値3.5ヶ月(range 0-200)早く再発リスクを同定できた。
<Interpretation>末梢血中の腫瘍DNA監視モニターにより、多くの場合、臨床的な再発よりも早く、リスクのある患者の同定が可能となり、再発時の腫瘍量を低下させる。腫瘍DNAの中間解析は、治療抵抗性となるハイリスク患者選定の有用なバイオマーカーである。

平成27年6月15日
中嶋康博

 

Efficiency of high-dose cytarabine added to CY/TBI in cord blood transplantation for myeloid malignancy

骨髄系腫瘍の臍帯血移植でのCY/TBIレジメンに高容量シタラビン追加する有効性

成人AML(急性骨髄性白血病)/MDS(骨髄異形成症候群))に対する、CY(シクロフォスファミ ド)/TBI(全身放射線照射)を用いた前処置レジメンのCBT(臍帯血移植)において、そのレジ メン強化に用いられるHDCA(高容量シタラビン)を追加した効果の検討。 日本造血細胞移植学会の移植データベースを用いたコホート研究。 AML/MDSに対するHDCA/CY/TBI (N = 617) と CY/TBI (N =312)前処置のCBTを比較している。 対象者の年齢中央値は40歳、86.2%がAMLで 56.2%はハイリスク患者であった。フォローアップ期 間中央値は3.5年。 HDCA/CY/TBI群はOS(生存期間)が有意に優れており (調整HR, 0.56; 95% CI, 0.45 ? 0.69; p < 0.01) 、腫瘍関連死亡率は低かった (HR, 0.50,p < 0.01) 。 グレードII ? IV 急性GVHD発症と慢性GVHD発症 はHDCA/CY/TBI群のほうが有意に高率であったが、 (HR, 1.33&2.30)、 グレードIII? IV 急性GVHD発症では両群に有意な差は見られなかった。 感染症発症率に有意な差はなかった。NRM(非再発死亡)はHDCA追加で増えなかった。 HDCAの容量比較では、ハイリスクの患者でにおいて8g/m2 よりも12g/m2が効果的だった。 この研究は AML/MDS に対するCBTにおける、CY/TBI と比較してのHDCA/CY/TBI の優位性を初め て示している。 大規模な前向き研究が新しいレジメンを確立するのには必要である。

平成27年6月8日
中前美佳

 

Rituximab after lymphoma-directed conditioning and allogeneic stem-cell transplantation for relapsed and refractory aggressive non-Hodgkin lymphoma (DSHNHL R3): an open-label, randomised, phase 2 trial

再発および難治性アグレッシブ非ホジキンリンパ腫に対するリンパ腫を標的とした前処置による同種造血幹細胞移植後のリツキシマブの効果

同種移植において再発、治療抵抗性のB細胞性あるいはT細胞性リンパ腫の成績は芳しくなかった。我々は、標準的なGVHD予防にリツキシマブを加えることの効果と、リンパ腫を標的とした骨髄破壊的前処置を使用した時に生存率が改善するかを調べた。
7つのドイツの移植施設で非盲検無作為第2相臨床試験を行った。初回治療抵抗性、治療から12ヶ月未満の早期再発あるいは、自家移植後再発のB細胞性あるいはT細胞性リンパ腫を対象とした。前処置は、フルダラビン(Flu)125mg/m2、ブスルファン(Bu)oral 12mg/kgまたはiv 9.5mg/kgとシクロフォスファミド(Cy)120mg/kgを用いた。患者はリツキシマブ 375mg/m2(day21, 28, 35, 42, 175, 182, 189, 196に投与)と投与なし群に振り分けた。層別化因子は、B細胞性あるいはT細胞性リンパ腫、ドナーHLA一致vs不一致とした。主要評価項目は、それぞれの群のグレード2−4,aGVHD発症率と、全体での1年全生存率とした。解析はITT解析を行った・
2004年6月16日から、2009年5月24日に86例の患者をスクリーニングして、84例を登録した。42例を無作為にそれぞれの群に振り分けた。グレード2-4 aGVHD発症率は、リツキシマブ群46%(95%CI:32-62)とリツキシマブ非投与群42%(95%CI: 29-59)で有意差はなかった。全体での1年生存率は、52%(95%CI:41-62)であった。グレード4の血液学的毒性とグレード3の脱毛は全例で生じた。最も高頻度のグレード5の非血液学的毒性は肺炎(リツキシマブ非投与群9例vsリツキシマブ群10例)、他の感染(7例vs4例)であった。
リンパ腫を標的とした骨髄破壊的前処置は、治療抵抗性、再発B細胞性あるいはT細胞性リンパ腫に対して有望な結果であった。しかしながら、リツキシマブを加えることのGVHD発症率への抑制効果や生存への効果は認めなかった。

平成27年6月1日
中前博久

 

Role of allogeneic stem cell transplantation in adult patients with Ph-negative acute lymphoblastic leukemia.

成人Ph陰性ALLにおける同種幹細胞移植の役割

Group for Research on Adult Acute Lymphoblastic Leukemia(GRAALL)の小児型レジメンを用いたプロトコルにより、成人Ph陰性ALLのアウトカムが著しく改善されたため、我々はGRAALL-2003とGRAALL-2005試験で治療された患者で同種幹細胞移植(SCT)の役割を再評価することにした。全522人の患者は年齢15~55才で、初回CR時に少なくとも1つの従来の高リスク因子を持つことがSCTの候補となった。このうち282人(54%)がCR1で移植を受けた。3年の再発、非再発死亡、無再発生存(RFS)の移植後累積発生率は、19.5%、15.5%、64.7%と推定された。時間依存性解析では、SCTと非SCT群でRFSの有意な差は認められなかった。しかし、SCTは寛解導入後のMRD≥10-3の患者ではRFS延長に関与した(HR 0.40)。一方、MRD反応良好者では関与しなかった。B前駆細胞性ALLでは、SCTはまた、部分的IKZF1遺伝子欠失患者に利益をもたらした(HR 0.42)。本稿は強化された成人ALL治療を受けるなかでallo SCTの恩恵を受ける患者を同定するのに、従来のALLリスク因子と対照的に、早期のMRD反応不良が優れたツールであることを示した。GRAALL-2003試験は www.clinicaltrials.gov に#NCT00222027として登録; GRAALL-2005は#NCT00327678として登録されている。

平成27年5月25日
廣瀬朝生

 

Marked hyperferritinemia dose not predict for HLH in the adult population.

成人のHLHでは著明な高フェリチン血症は診断予測にはならない

HLHはここ数年で注目をあつめているコントロール不能な活性化をきたす稀な症候群である。HLHの診断には、血清フェリチン値の上昇を含む臨床的な異常や検査的な異常に基づく。小児例では著明なフェリチン値以上がHLHに特異的とされている。どのような状態が成人例における著明なフェリチン値上昇と関連するかを確認するために、大規模な大学のヘルスケアシステムを用いた後方視的な解析を行った。113人がフェリチン50000/μL以上であった。原因としては腎不全、肝障害、感染、血液腫瘍などが主なものであった。我々の結果が示すことは、高フェリチン血症は様々な状態でみられ、成人のHLHに特異的ではない。

平成27年5月18日
南野 智

 

Treatment strategies in patients with AML or high-risk myelodysplastic syndrome relapsed after allo-SCT

同種移植後再発AML/高リスクMDSの治療戦略

同種移植後の非再発死亡(NRM)はここ数年で有意に減少している。しかし、再発は依然としてAMLや高リスクMDS患者で移植後の主な死因である。本後ろ向き単施設研究では、移植後再発のAMLまたはMDS患者108人の治療予後を解析した。70人(65%)は化学療法単独、同種免疫治療、その組み合わせのいずれかの救援治療を受け、38人(35%)は緩和治療をうけた。再発と診断された後の全生存期間(OS)中央値は130日であった。救援治療の奏功率は、化学療法+同種免疫治療群が、化学療法単独群と比べて有意に良好であった(CR率57%vs13%)。治療前の患者背景、初回治療前の疾患状態、移植の詳細に関するリスク因子のうち、初回移植から再発までの期間のみが救援治療の奏功率とOSの独立した予測因子であった。このデータは移植後再発までの期間が重要な予後予測因子であることを裏付けた。現時点では、同種免疫治療を含む救援治療が可能な患者だけが、妥当な治療効果が得られることが分かった。

平成27年5月11日
久野雅智

 

Treatment of acute myeloid leukemia or myelodysplastic syndrome relapse after allogeneic stem cell transplantation with azacitidine and donor lymphocyte infusions-a retrospective multicenter analysis from the german cooperative transplant study group

AML及びMDSの同種移植後再発例に対するアザシチジンとドナーリンパ球輸注療法 : ドイツ移植学会グループにおける多施設後ろ向き研究

同種造血幹細胞移植後再発に対する救援療法としてのアザシチジン(AZA)とドナーリ ンパ球輸注(DLI)の併用療法について、その効果及び奏功率や生存率の予測因子を同 定するために、AML患者124人、MDS患者28人、骨髄増殖性疾患の患者2人について、後 ろ向きに検討した。全ての患者は平均4コースのAZAを施行され、105人は平均2回のD LIを施行された。CRとPRの割合はそれぞれ27%、6%であり、奏功率は33%であった。多 変量解析の結果、分子生物学的再発とMDSであることがCRの予測因子であり、それぞ れHR9.4 95%CI2.0-43.5 p=0.004、HR4.1 95%CI1.4-12.2 p=0.011であった。2年OS は29%±4%であり、分子生物学的再発とMDSであること、骨髄中の芽球が13%未満であ ることが良好なOSと関係しており、それぞれHR0.14 95%CI0.03-0.59 p=0.007、HR0. 33 95%CI0.16-0.67 p=0.002、HR0.54 95%CI0.32-0.91 p=0.021 であった。2年OSは MDSの患者で66%±10%(p=0.001)と高く、AMLの患者では腫瘍量に関連していた。AZAと DLIは同種移植後再発における有用な治療法と捉えることができ、特にMDSやAMLでも 腫瘍量が少ない患者において有効である。

平成27年4月27日
幕内陽介

 

The effects of intestinal tract bacterial diversity on mortality following allogeneic hematopoietic stem cell transplantation

消化管細菌叢の多様性の同種移植後死亡率への影響

非常に多様な細菌群が消化管に存在し、宿主の炎症を調節し、免疫寛容を促進する。 同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)では、消化管粘膜は障害され、細菌のコロニー形 成も影響を受け、腸内微生物叢の障害、多様性の低下につながる。われわれは、腸管 の多様性がその後の致死的移植後アウトカムへ与える影響を検討した。便検体は、幹 細胞生着時にallo-HSCTレシピエント80名から収集された。細菌の16S rRNA遺伝子配 列が同定され、微生物の多様性はinverse Simpson indexを用いて推定された。被験 者は、高多様性群、中間多様性群、低多様性群に分類され、アウトカムにおける違い を評価された。死亡アウトカムは、より低い腸管多様性を有する患者で有意に悪く; 3年全生存は低、中、高多様性群でそれぞれ36%、60%、67%であった(P=.019, log-ra nk test)。低多様性は他の臨床予測因子で多変量調整を行った後も強い影響を示し た(移植関連死亡:調整ハザード比5.25; P=.014)結論として、生着時の腸管微生物 叢の多様性はallo-HSCTレシピエントの独立した死亡の予測因子である。本研究結果 は、腸管微生物叢がallo-HSCTの成功または失敗における重要な因子である可能性を 示唆している。

平成27年4月20日
康 秀男

 

Role of naïve-derived T memory stem cells in T cell reconstitution following allogeneic transplantation

同種移植後のT細胞再構築におけるナイーブ由来Tメモリー幹細胞の役割

同種移植後早期のT細胞再構築は移植片から輸注されるT細胞の持続性及び機能に依存する。移植後エンドキサン投与(pt-Cy)は未処理の移植片による同種反応を効果的に防ぐが、その後の免疫再構築に与える影響は明らかにはなっていない。我々はこの研究で、preclinicalモデルにおいて優れた再構築能力を示したT memory幹細胞(TSCM)がpt-Cyを用いた同種移植後早期に、effector細胞の増加に先立って、末梢血中に最も豊富に存在していることを示している。輸注されたTSCMやconventional memoryではないナイーブT細胞は、エンドキサンに対して選択的に生き残り、そこからTSCMが産生されることが示唆される。更に、非自己および自己/腫瘍抗原に特異的なドナーナイーブT細胞はhostに残存し、effectorに分化することによって末梢での再構築に寄与している。同様に、病原体特異的なmemory T細胞も検出可能な反応を回復するが、それは同種抗原の存在下のみであった。我々は本研究で、抗原特異的なレベルでのpt-Cy後のT細胞再構築を、細胞を基盤として明らかにし、免疫不全を乗り越えるための臨床設定におけるナイーブ由来TSCMを探求することを提唱している。

平成27年4月13日
中根孝彦

 

Impact of conditioning regimen on outcomes for patients with lymphoma undergoing hig-dose therapy with autologous hematopoietic cell transplantation

悪性リンパ腫に対する自家移植成績における前処置レジメンの重要性

HLとNHL患者における自家移植前の大量化学療法のレジメン選択について、データは限られている。我々は1995年から2008年に自家移植を受けた4917人の患者(NHL 3905人、HL 1012人)について解析を行った。大量化学療法レジメンの種類はBEAM(carmustine(BCNU)、etoposide、cytarabine、melpharan)が1730人、CBV(cyclophosphamide、BCNU、etoposide)が1853人、BuCy(Busulfan、cyclophosphamide)が789人、TBIレジメンが545人、CBVはCBV hihgとCBV lowに分かれ、BCNUの量で分けた。IPS、TRM、PFS、OSに関するレジメンの影響を解析した。IPSの1年後発症率はCBV highで6%、BEAMで3%、HR 1.9であった。1年TRMはCBV highで8%、BEAMで4%、その他レジメン間で差はなかった。NHLの患者では、病理所見、レジメン、臨床成績の間に重要な関連性が見られた。BEAMと比較すると、CBV lowはFL患者において死亡率が有意に低かった(HR 0.63、p<0.001)、またCBV highはDLBCL患者において有意に死亡率が高かった(p<0.001)。HL患者では、BEAMと比較するとCBV highでHR 1.54、CBV lowで1.53、BuCyでHR 1.77、TBIレジメンでHR 3.39と有意に死亡率が高かった(p<0.001)。各レジメンにおける自家移植後の成績は疾患毎にそれぞれ異なっているため、今後疾患ごとにレジメンを定義していく必要がある。

平成27年4月6日
吉村卓朗

 

Allogeneic stem-cell transplantation in patients with NPM1-mutated acute myeloid leukemia: result from a prospective donor versus no-donor analysis of patients after upfront HLA typinig within the SAL-AML 2003 trial.

NPM1変異AML患者に対する同種造血幹細胞移植

<目的>AMLにおけるnucleophosmin-1遺伝子(NPM1mut)の存在は、良好な予後との関連が示されている。同種移植におけるpredictive valueを評価するために、同種移植適応のNPM1mut AML患者の臨床経過をdonor versus no-donor analysisで比較した。

<患者および方法>AML2003試験で治療をうけた1179例のAML(18-60歳)のうち、中間リスクの染色体異常に属するNPM1mut患者を全例同定した。治療プロトコールにより、HLA適合同胞ドナーが利用可能な場合、患者は同種移植を受けることになっていた。適格ドナーがいない場合は、地固め療法もしくは自家移植を受けた。RFS、OSの比較を行った。

<結果>304例の適格患者のうち、77例が同胞ドナーを有し、227例が適格ドナーがいなかった。3年RFSは、donor群、no-donor群でそれぞれ、71%、47%(p=0.005)、OSは70%、60%(p=0.114)であった。正常核型でFLT-ITD陰性患者(n=148)では、3年RFSは、donor群、no-donor群でそれぞれ、83%、53%(p=0.004)、3年OSは81%、75%であった(p=0.300)。

<結論>同種移植は、NPM1mut AML患者において、RFSの有意な延長につながっていた。両群でOSには有意差を認めなかったが、その理由としては、再発後のNPM1mut 患者が救援療法にもよく反応することが考えられる。同胞ドナーを有するNPM1mut 患者において、第一寛解期での同種移植は強い抗白血病作用を有し、有益な治療オプションとなる。

平成27年3月30日
林 良樹

 

Comparison of non-myeloablative conditioning regimens for lymphoproliferative disorders

リンパ増殖疾患に対する骨髄非破壊的前処置の比較

リンパ増殖性疾患(LD)に対する造血幹細胞移植(HCT)の骨髄非破壊的前処置(NMA)ではフルダラ ビンや低線量の全身放射線照射(TBI)が用いられる。40歳以上のLDの患者のうち、TBIを用いた NMA(N=382)とTBIを用いないNMA(N=515)で2001年から2011年までの移植成績を比較した。2群はド ナー、移植ソース、GVHD予防、病期、移植した年代を除いては同等であった。移植後100日でのg radeU−Wの急性GVHDの累積発症率はTBI群29%とno-TBI群20%(P=0.001)で、移植後1年での慢 性GVHDの累積発症率はTBI群54%とno-TBI群44%であった(P=0.004)。疾患の進行・再発、治療失 敗や死亡については2群で有意差はなかった。移植後100日の完全ドナーキメリズムの割合はTBI 群82%、no-TBI群64%であった(P=0.006)。4つの最も一般的な前処置とGVHD予防の組み合わせで は、TBIとMMFの組み合わせが他と比べてgrade2-4の急性GVHD(P<0.001)と慢性GVHD(P<0.001)の発 症率が高かった。TBIを用いたNMAではより早い完全ドナーキメリズムが得られるが、全生存率は no-TBIと同等であった。LDの患者において、TBIとMMFは生存には影響はないがGVHDの高い発症率 と関連していた。

平成27年3月23日
康 史朗

 

An exploratory analysis of mitochondrial haplotypes and allogeneic hematopoietic cell transplantation outcomes

移植予後に対するミトコンドリアハプロタイプの探索的解析

ミトコンドリアのハプロタイプ(mthaps)は、おそらく酸化的リン酸化反応や免疫 学的な違いにより、疾患と関連している。我々はmthapsが移植後の予後に影響するか どうか、を探索した。レシピエント(n=437)、ドナー(n=327)のDNAが欧州共通の mthaps(H,J,U,T,Z,K,V,X,I,W,K2)に沿ってタイピングされた。mthaps一致の同胞 (n=198)、全レシピエント、全ドナーにおける移植予後を、最も頻度の多いmthapであ るH群を基準として比較した。同胞間におけるI群とV群は有意に5年以内の死亡リスク が高かった。(RR=3.0 ; 95%CI 1.2-7.9、RR=4.6; 95%CI 1.8-12.3)W群の同胞は grade2-4のaGVHDが有意に多く(RR=2.1 ; 95%CI 1.1-2.4)、K,K2群の同胞に有意な イベントはなかった。全レシピエントにおいては、J群のレシピエントが低いGVHD発 症率と高い再発率を認めたが、その他は同様の結果であった。Iのドナーを持った患 者は5年以内の死亡率が2.7倍(1.2-6.2)と高く、K2、Wのドナーを持った患者はほと んど死亡しなかった。K2のドナーを持った患者には再発がなく、Uのドナーを持った 患者もほとんど再発しなかった。この結果を検証し、機能を調べる研究が必要ではあ るが、有益または有害な移植予後に対してmthapに基づいたドナー選択が望ましいか もしれない。

平成27年3月16日
岡村浩史

 

Effect of Total Nucleated and CD34+ Cell Dose on Outcome after Allogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplantation

細胞数およびCD34数が同種造血幹細胞移植成績に及ぼす影響

同種移植においてTNCやCD34数が及ぼす影響について調べた研究はほとんどない。単施設における544例、血縁227例・非血縁317例について分析した。292例が骨髄破壊的前処置で、残り252例が非骨髄破壊的前処置であった。骨髄(BM)121例、末梢血(PB)423例は別々に解析した。細胞数の中央値はBM−PBでそれぞれTNCが3.2-11.6×108/kg、CD34が3.9-8.1×106/kgであった。BMグループでTNCおよびCD34数とより早期の生着に関連があった(P<0.001、P=0.02)。PBグループでは超高用量CD34数(≧11×106/kg)が生存率を低下させ(P=0.001)、再発を増加させた(P=0.02)。CD34数と早期の血小板生着とに関連がみられた。PBを用いる際にはCD34数は11×106/kg未満、2.5×106/kgより多く使用すべきである。

平成27年3月9日
西本光孝

 

Rapid memory T-cell reconstitution recapitulating CD45RA-depleted haploidentical transplant graft content in patients with hematologic malignancies

造血器悪性疾患患者においてCD45RA細胞除去ハプロ移植は早期のメモリーT細胞の再構築をきたす

ハプロ移植においてGVHD予防のために、しばしばT細胞除去が用いられるが、免疫回復の遅れに よって、生着不全、再発、感染を増加させる可能性がある。我々はCD45RA陽性サブセットを選択 的に除去すれば、ナイーブT細胞が除去され、効果的にGVHDを減少させることができるのではな いか、また、CD45RA陰性メモリーT細胞を輸注することでドナーの免疫再構築を改善させるので はないかという仮説を立てた。ここで、TBIや血清療法を用いない新規RICレジメンで前処置を行 い、CD45RA除去ハプロ移植を受けた最初の17人の予後不良血液悪性腫瘍患者の例を示す。17人の ドナー全員にCD45RA陽性T細胞およびB細胞の除去と、豊富なメモリーT細胞の温存が行われた。 好中球の生着は中央値でday+10、full donor chimerismは中央値でday+11と移植後早期に達成さ れた。T細胞の早期再構築とCD45RA除去とは直接因果関係がみられた。T細胞の機能は広範囲のTC R Vβ鎖で速やかに回復した。本研究で感染による死亡はなく、また、移植T細胞数は中央値で1 ×108/kgであったが、急性GVHD発症患者はいなかった

平成27年3月2日
高桑輝人

 

PD-1 blockade with nivolumab in relapsed or refractory Hodgkin's lymphoma

再発または難治性ホジキンリンパ腫に対するNivolumabによるPD-1阻害

<背景>これまでの研究により、Reed-Sternberg細胞がprogrammed death 1(PD-1)経路を通じて、免疫監視から回避している事が知られている。古典的ホジキンリンパ腫において、PD-1のリガンドであるPD-L1やPD-L2の発現が9q24.1転座により亢進し、JAKシグナルやSTAT経路が誘導される。著者らはPD-1ブロッキング抗体であるnivolumabが、再発または難治性ホジキンリンパ腫患者における腫瘍の免疫回避を阻害できるのではないかと仮説を立てた。

<方法>様々な前治療がなされた、再発または難治性ホジキンリンパ腫患者23人が、初期量3mg/kgのnivolumabを2週間毎に投薬された。投薬期間はCR達成またはPDもしくは重症副作用が認められるまでとされた。研究目的は安全性・有効性の評価と、PD-L1・PD-L2遺伝子座およびタンパク発現の確認である。

<結果>23人の対象患者の内、78%は自家移植後の再発であり、さらに78%はbrentuximab vedotin投薬後の再発であった。薬剤の有害事象は計78%で発症し、grade 3以上は22%だった。有効反応は20人(87%)で認められ、17%はCR,70%がPR、残りの3人(13%)はSDだった。24週目でのprogression-free survival(PFS)は86%で、登録終了時11人が投薬継続中であった。投薬中止の原因として、6人が幹細胞移植、4人がPD、,2人が有害事象によるものだった。10人の患者の治療前腫瘍切片の解析により、PD-L1・PD-L2遺伝子のコピー数増加およびタンパク発現の亢進が認められた。Reed-Sternberg細胞では核内STAT3の陽性化が確認され、JAK-STATシグナルの活性化が示唆された。

<結論>前治療を有する再発または難治性ホジキンリンパ腫患者に対し、nivolumabは安全に投与可能であり、有効な治療効果を認めた。

平成27年2月23日
中嶋康博

 

Minimal morphological criteria for defining bone marrow dysplasia: a basis for clinical implementation of WHO classification of myelodysplastic syndromes

骨髄異形成の形態学的最小基準:WHO分類実施の基盤

WHO分類のMDSは骨髄異形成の形態評価に基づいているが、異形成はMDS以外の理由での血球減少患者にも、血球減少のない健常者にも見られるため、 形態によるMDS診断は時に難しく、また観察者間の異形成判断の再現性も問題である。この研究は1150名分の骨髄検査が対象で、(健常コントロール74名以外は)末梢血血球減少の患者データである。まず形態異常各々についての頻度と鑑別について分析し た。最小基準の形態クライテリアを定義するためのスコアを構築し、MDS診断において90%を超える感度と特異度と、許容範囲の観察者間再現性を証明し、独立してvalidation もされた。 顆粒球と巨核球の異形成の程度は有意に生存に影響した。環状鉄芽球とSF3B1変異、 顆粒球異形成の程度とASXL1, RUNX1, TP53, SRSF2遺伝子変異に密接な関連が見られた。 低形成MDSや線維化のあるMDSでは骨髄スメアでは評価できる細胞数が少なくなるので より難しいが、組織像と併せて検討した。 線維化を伴う骨髄腫瘍ではMDSと骨髄線維症との鑑別が問題となるが、多系統の異形成、低分葉/多核巨核球、JAK2やMPLやCALR遺伝子変異のないCD34+progenitors増加はMDSのphenotypeと有意に関連していた。骨髄の低形成を伴う顆粒球の疾患では再生不良性貧血との鑑別が問題となるが、顆粒球and/or巨核球の異形成、CD34+progenitorsの増加、染色体異常がMDSの診断と一致 していた。 今回提案した形態スコアは、明らかなMDS phenotypeがないケースでも、異形成の存在を評価できるかもしれない。 また、細胞形態や組織のパラメータを統合すると、線維化や骨髄低形成を示す他の骨髄性疾患からのMDS同定(鑑別)を改善できる。

平成27年2月16日
中前美佳

 

Sensitivity of hematological malignancies to graft-versus-host effects: an EBMT megafile analysis

造血器悪性腫瘍のGVT効果の感受性

同種造血幹細胞移植後、GVHDはドナーT細胞による主要組織適合抗原の不一致の認識を通して生じる。同様の機序が悪性細胞の除去でも起こっている。我々はGVHDと再発の関係をみることが、疾患に対する同種免疫反応の生じやすさのsurrogate markerになるという仮説を立てた。我々は1998年から2007年に初回移植を行った48、111例を対象に研究を行った。CMLでは急性、慢性GVHDの重症度に比例して再発リスクは明らかに減少した。ALLやBCR-ABL陰性のMPNは、CMLのようにかなりGVHD感受性があった。一方、MDSやリンパ増殖性疾患は中等度の感受性を示した。GVHDはAMLや形質細胞腫瘍(PCD)では、再発リスクへの影響はわずかであった。PCDを除いて、HRはGVHDと関係があり、GVHD/GVTの強度は疾患によって有意な違いがあった。疾患によってGVHD/GVT ratioに違いがあるにもかかわらず、異なる疾患の間で再発率が平行に減少したことは、特にAMLにおいてGVT効果はおそらく、GVHDが少ない状態でも作用することを示している。

平成27年2月9日
中前博久

 

Biological significance of HLA locus matching in unrelated donor bone marrow transplantation.

非血縁骨髄移植におけるHLA一致の重要性

我々は、ドナーと患者間の各HLA遺伝子座の適合性が多岐にわたる移植関連免疫反応を誘発し、個々の臨床アウトカムの兆候に起因すると仮定した。今回、完全なHLAアリルタイピングデータのある非血縁ドナーからT細胞非除去骨髄移植をうけた7898の日本人ペアを解析した。移植後の臨床アウトカムの相対危険度(RR)を評価するため、多変量競合リスク回帰分析を行った。HLA一致と比較してHLAアリル不一致はgradeV-Wの急性GVHDのRRがHLA-A、-B、-C、-DPB1で有意であり、慢性GVHDではHLA-Cで有意だった。注目すべきは、HLA-CとHLA-DPB1不一致のみが白血病再発を減らしたことである。そして、HLA-DPB1のこのGVL効果は慢性GVHDと独立していた。HLA-DRB1とHLA-DQB1の二重不一致(DRB1_DQB1)は急性GVHDと死亡のRRが有意であり、一つの不一致のみでは有意でなかった。このように、HLA-A、-B、-C、-DPB1、DRB1_DQB1不一致の数は、急性GVHDの明確なリスクの違いを示した。死亡に関してはHLA-A、-B、-C、DRB1_DQB1不一致の数によった。結論として、我々は移植関連免疫学的イベントにおけるHLA遺伝子座不一致の組合せの生物学的反応を特定し、非血縁ドナー選択のための理論的根拠を個別化されたアルゴリズムの使用に与える。

平成27年2月2日
廣瀬朝生

 

Randomized, double-blind, placebo-controlled trial of soluble tumor necrosis factor receptor: enbrel (etanercept) for the treatment of idiopathic pneumonia syndrome after allogeneic stem cell transplantation: blood and marrow transplant clinical trials network protocol

同種造血幹細胞移植後の特発性肺炎症候群治療に対する可溶性TNF受容体(エタネルセプト)の無作為プラセボ対照ランダム化二重盲検試験

IPS(特発性肺炎症候群) は移植後の肺合併症で、同種移植後の非感染性合併症である。IPS関連の致死率はステロイドや支持療法にもかかわらず50%以上である。我々はTNFα阻害薬のIPSにおける役割をはっきりさせるために、ステロイド+エタネルセプト vs ステロイド+プラセボでランダム化割り付け2重盲検第3相試験を行った。HCT後にIPSを発症した34人の患者が対象となった。ステロイド(mPSL 2mg/kg)+エタネルセプト(0.4mg/kg twice weekly ≧ 4 weeks) vs ステロイド+プラセボの治療をランダム化して受けた。活動性の感染症がないこと、気管支鏡での病原菌の否定が必要であった。反応率(生存、酸素支持療法の完全な中止)とOSが調べられた。この研究では最初120人の患者が計画されたものの、症例が十分あつまらず途中で中止になった。限られた症例での研究であるが、28日間の反応率に有意差は認めなかった。エタネルセプト群の16人中10人(62.5%(95%CI 35.4-84.8%))、プラセボ群の18人中12人(66.7%(95%CI 41.0-86.7%))が治療に反応した(P=1.00)。生存の中央値は、エタネルセプト群が170日(95%CI 11-362日)で、プラセボ群が64日(95%CI 11-362日)であった(P=.51)。治療反応群においては酸素投与中止できる中央値は9日(エタネルセプト群) vs 7日(プラセボ群)であった。治療は十分に忍容性があり、治療関連死亡はプラセボ群における感染性の肺炎の1名のみであった。成人の同種移植患者におけるステロイド治療はヒストリカルコントロールと比較して高い反応率(60%)を示しものの予後は不良であった。限られたサンプルサイズのために、確定した結論を得ることは難しいが、エタネルセプトの追加はさらなる反応率の増加にはつながらなかった。

平成27年1月26日
南野 智

 

Clonal hematopoiesis and blood-cancer risk inferred from blood DNA sequence

血液DNAシークエンスによりクローン性造血と血液腫瘍発症リスクを推測する

背景:癌は複数の後天的な変異によって生じ、おそらく長い年月を経て発症する。癌が臨床的に発症する何年も前に、癌の初期段階は存在しているかもしれない。

方法:12380人の末梢血細胞を用いてDNAのwhole-exome sequencing (WES)のデータを解析した。そして、稀なアレル頻度の分画をもとに体細胞変異を同定した。我々はスウェーデンの患者登録データから、DNAサンプリング後、2〜7年の疾患発症状況を追跡した。

結果:体細胞変異を伴うクローン性造血は、65歳以上で10%にみられたが、50歳未満では1%にしかみられなかった。検出されたクローン拡大において、血液腫瘍との関連が報告されている3つの遺伝子(DNMT3A、ASXL1、TET2)における体細胞変異が最も高頻度でみられた。クローン性造血はその後に血液腫瘍を発症する強いリスク因子であった(HR 12.9)。本集団で血液腫瘍を発症した人の約42%が、診断より6ヶ月以上前のDNAサンプルを採取時にクロナリティを認めた。AMLと診断された2名の骨髄生検標本を解析し、AMLが初期クローンから生じたことを示した。

結論:体細胞変異を伴うクローン性造血は、DNAシークエンスによって検出され、加齢に伴い頻度が増加し、血液腫瘍と死亡のリスクを増加させる。骨髄系腫瘍の患者で変異がみられる遺伝子には、健常人でもしばしば変異がみられるものがあるが、これらの変異は血液腫瘍の進展において初期に起こる特徴かもしれない。

平成27年1月19日
久野雅智

 

A phase II study of bortezomib plus prednisone for initial therapy of chronic graft-versus-host disease

ボルテゾミブ+プレドニゾンによる慢性GVHDの初期治療

慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)は移植後に死亡率を上げる合併症として重要である。ステロイドは標準的な初期治療薬だが、効果は限定的で長期投与による毒性も多い。今回、プロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブが急性GVHDに効果的であるという報告から、ステロイドとの併用で免疫調整効果を補い合い慢性GVHDの予後改善に寄与するとの仮説を立てた上で、ボルテゾミブとプレドニゾンの併用療法を慢性GVHDの初期治療に用いるというsingle armのphase II試験を組んだ。ボルテゾミブは1.3mg/m2の点滴静注をday 1, 8, 15, 22に施行し、これを35日を1クールとし3コース(15週間)行った。プレドニゾンは0.5-1.0mg/kg/dayで開始し、1コース後以降に減量を検討した。参加した22名全員が評価可能であり、20名は効果を認めた。併用療法はステロイドへの耐用性も高く、有害事象はGrade 3の末梢神経障害が1例認められたのみであった。15週後の全奏功率は80%で完全寛解は2名(100%)、部分寛解は14名(70%)であった。臓器別に見ると、皮膚では73%が完全寛解であり、肝臓は53%、消化管は75%、筋肉/筋膜・関節では33%であった。平均のプレドニゾン量は15週の時点で20mg/dayであった。以上より、ボルテゾミブとプレドニゾンの併用療法は耐用性の面でも効果の面でも有効である可能性が示唆される。しかし、single armの試験であり、ボルテゾミブの効果を明確に明らかにできているわけではないので、今後さらに検討をする必要がある。

平成27年1月5日
幕内陽介

 

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