PROSPECTS

The Immediate Objective

法医解剖の精度・客観性向上を図り,社会の理解を深めるためには,まず、各施設単位でルーチンワークを行うためのサブスペシャリティを充実・機能させる必要がある.さらに,その実績が“普通”の社会貢献として適正な評価を受けることができるように,言い換えると,余りにも“死因究明”を強調してきたがために植えつけられた法医解剖に対する誤解や偏見を排するために,私たちがファシリテーターとして積極的に社会に情報発信していく必要がある.

特に,鑑定人個々の個人的・経験則的な“裁量”を極力排するため,法医病理診断の基本的概念を基盤として死後画像検査,法医生化学・分子病理学や中毒学などの客観性の高い検査法を駆使して複雑な死の病態を“可視化”(visualize)し, 法医解剖所見を総合的・包括的に分析することは社会的に重要である.

なかでも死後画像診断と生化学・分子病理学の系統的・協調的発展は,形態学的・病態生理学的診断根拠の客観的な“可視化”に有用で,死因診断と死亡過程の評価を行うための“精密かつ精度の高い剖検”の実践における最小必要要件である.

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