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教室について
合成生物学寄附講座
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合成生物学寄附講座紹介
合成生物学寄附講座  特任教授 吉里 勝利
 平成28年4月1日から3年間の予定で大阪市立大学大学院医学研究科に「合成生物学寄附講座」を開設することになりました。 この寄附講座は、大阪市立大学と(株)フェニックスバイオのご理解とご支持で、肝胆膵内科学講座の活動の一環として開設されましたので、 この場をお借りして開設に至るまでの経過とどのような研究教育活動を目指しているのかについて紹介させていただきます。
  私は広島大学に籍を得ていた頃、科学技術振興機構のERATO事業「吉里再生機構プロジェクト」を平成4年から9年まで5年間走らせました。 当時は、微量のタンパク質のペプチドシークエンスを質量分析器で決定する方法(プロテオーム)が実用化され、ポストゲノム時代の幕開けを感じる時代 でした。生命現象を直接担っているタンパク質を簡単に迅速に同定できるという興奮感です。肝臓の線維化には星細胞が深く関わっています。 この細胞の活性化が線維化の主要な原因です。私はプロテオームの技術を「星細胞の活性化現象」の解明に利用しようと考え、これが大阪市立大学の 河田先生との共同研究につながりました。この共同研究はサイトグロビンの発見という幸運を私達にもたらしました。
  これが縁となり、広島大学退職後も、私が顧問をしております(株)フェニックバイオの支援を得て、大阪市立大学の客員教授として河田先生と共同研究 を継続することになりました。この共同研究は今年で8年目になりますが、この間、成果も上がったので教育研究単位として独立したらどうかとの話が 持ち上がりました。この話しに対して大阪市立大学や(株)フェニックスバイオの方々が賛同下さり半年という短期間の準備で開設に漕ぎ着けることが できました。
  講座名についてですが、「有機合成化学」という言葉は化学分野の一つの研究領域を表す言葉として市民権を得ており馴染みがあると思いますが、 「合成生物学」という言葉は、未だ新しくどのような研究分野に対する言葉なのか具体的なイメージが湧かないのではないかと思います。 実際、研究者組織としての「合成生物学会」もありませんし、研究者が各人各様にイメージして研究教育活動をしているのが現状と思います。 “合成生物学的研究”は生物学の新しい方向を目指す動きで、これが大きな流れとなり、一つの学問研究分野として認知されるかどうか、“合成生物学的 研究手法”でどのような成果を上げることができるにかかっていると思います。
  自然現象を研究する方法に二通りあります。一つはある自然現象を観察してどの様な因子がその現象の現れに関係しているのかと問いかけ、その因子 (現象を生み出している単位物質)を探し出しその性質を明らかにするという方法です。この方法は研究者が意識するまでもなく日常的に使っている 方法で「分析的解析的方法」と呼べます。新しい因子の発見は研究者に大きな満足感を与えますが、当然のことながら、研究者には次なる疑問が生まれ ます。その因子がその現象の中で本当に重要な役割を果たしているのかという疑問です。この問題に答えを得る有力な方法が「loss of function法」と 「gain of function法」です。遺伝子を例にとれば、ノックアウト法とトランスジェニック法です。私はこの方法論を考えた研究者の考え方の中に既に 「合成生物学的」発想があると思います。私は、この考え方をもっと明確に意識して生命現象を理解しようとする生物学の学問分野として合成生物学を イメージしています。
  人間が作った物(製作物)の性質の理解は簡単です。設計図(製作手順)を作り、必要な部品を準備し、それを設計図に従って組み立てると目指す物 (製作物)が出来上がります。つまり、この製作物に関する情報は全てが既知ですから、その製作物の性質を理解するのに何の困難もありません。 例えば、飛行機がその機能を果たす仕組みは明確にかつ正確に述べることができますし、飛行している環境が変化すると飛行機どのような飛行をするか 予言することもできます。
  生命現象を生み出している単位は細胞です。この細胞を製作物と比較すると、細胞を理解することの困難が良く分かります。細胞は、自然が作った物です から、細胞に関する情報は未だ未知だらけです。現在では、部品に関してはかなり多くの情報を得るまでになりましたが、肝心の設計図が分っていません。 この設計図が不明であることが、細胞の完全理解を困難にしています。私は、合成生物学は「細胞の設計図を知ることを目指す学問研究分野」と考えてい ます。
  この講座は次の3人のスタッフでスタートしました:吉里勝利(特任教授)、松原三佐子(特任助教)、今井咲(博士研究員)。本講座の研究内容などを 紹介するためにホームページを開設したいと考えています。今後、このホームページを介して他の研究者による合成生物学的研究や話題も紹介する予定 です。
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特記事項
  • 2016年6月30日更新