item6
item6

大学院医学研究科

item6
item6

大阪市立大学

item6
item6
item6

核医学教室

item6
item6

Osaka City University

Department of Nuclear Medicine

item6
item6
item6

医学部附属病院

item6
item6

核医学科

item6
item6
item6

核医学教室 河邉讓治

核医学検査の原理と実際 臨床編 脳血流シンチ

先生、脳血流シンチという検査って

CTやMRI

まあ、あわてないで。その質問に答える前に『脳血流』ってなんだかわかりますか?

脳内に流れている血液の流れ

そうですね。これは、脳血流シンチのSPECT水平断像の1スライスですが、これは脳血流を示しており、

脳血流シンチを行うための放射性医薬品は下のごとく現在3種類用いられています。

I-123 IMPは、製剤のみで製薬会社から供給されるのを使うだけであり、緊急対応はできませんが、Tc-99m-ECD、Tc-99m-HMPAOはキット製剤があるので緊急対応が可能です。めったにありませんが。

各薬剤がどのような特徴があるかということについては、今回は言及しません。

では実際に脳血流シンチはどんな病気で使われているか説明します。脳梗塞や内頸動脈狭窄症などの脳血管障害、もやもや病など脳血管奇形、アルツハイマー痴呆など変性疾患です。

先生、分かりやすく説明してね。

まず、脳血管障害について説明します。脳血管といっても脳の動脈の障害です。脳の動脈は、体の他の部位の動脈と違う点があります。それは、一般の動脈は動脈間に交通があるのにたいし、脳の動脈や心臓の動脈は

上の図を見てください。一般の動脈において、図のように梗塞が発生しても、動脈間の交通を介して血流が存在するため梗塞よりも末梢側の血流はほとんど減少しません。しかし、終動脈である脳血管に血管障害が発生したとします。動脈に塞栓が詰まり梗塞が発生すると、梗塞の末梢では血流がほとんど無くなり、5分以内に血流の再開通が無ければ脳組織は壊死することになります。また、一番右の図のように梗塞が起きなくても動脈硬化が進行して動脈狭窄などの病態が発生すると末梢の脳血流は著明に減少します。

先生、でも脳血流が減少したら、脳に必要な酸素が来なくなって困るんじゃない?

確かに困ります。それで、そういう場合に脳の方にも自衛のための対応策があるんです。

酸素は、通常、血液中に供給されているうちの35%から40%を使用しているということを覚えておいてください。

血流が不足してくるとということは、そこを流れる血圧(潅流圧)が低下してくるということです。血管が拡張して、よりたくさんの血液を流すことで酸素消費量を保とうとします。

ある程度までは、

ところが、さらに潅流圧が低下すると、血管もそれ以上拡張できないので、血流量が減ってきます。そこで、さっき言っていた、

この左の写真は、68歳の右内頸動脈狭窄の患者さんのものです。赤い矢印は、狭窄した右内頸動脈を示しています。ピンクの小さい矢印は 正常の太さの左内頸動脈です。右の写真はMRIで、ピンクの大きな矢印のごとく白い点(脳梗塞病変)がたくさん出現しており多発脳梗塞の状態にあります。

左側の写真が脳血流SPECTの写真です。MRIで脳梗塞がみられる右前頭・側頭葉に一致して、色合いが黄色から赤になっています。マヒが発生する場合、そこは血流が殆ど無い状態なのでもっと青っぽい色になります。(白が一番血流が多く青が一番少ない状態を示す)

で、この患者さんの治療ですが、狭窄した右内頸動脈を拡張することにより、右内頸動脈の血流を増やすという治療法が最近確立しています。

この患者さんでその治療を行った場合、症状は改善するでしょうか?

先生、脳梗塞がおきたら脳の細胞が壊死するんですよね。
そして、二度と再生することは無いんですよね。
ということは、どれだけ梗塞部の脳細胞が生きているかによって症状改善が変わってきますね

確かにそうですが、上のSPECTでは、血流が低いといっても黄色から赤色の状態なので組織としてかなりの細胞ががんばっている状態です。それよりも、さっきの自動調節機能を考えてください。

俺には難しすぎるぜ。ゴルア!

私も難しいけど、自動調節機能がはたらいているかわかる方法ってあるんですか?

それが、あるんです。アセタゾラミド(商品名ダイアモックス)という薬剤を投与するんです。これは、血管を拡張させる薬剤で、

病変部以外はアセタゾラミド投与で何となく白い部分が広がっている(効果がある)のですが、右前頭側頭葉の病変部は、むしろ色が空色に近くなってしまいました。つまり、

ということで、この方は早期に血管拡張術をうけられました。

この症例も左内頚動脈狭窄でMRで左側脳室外側に梗塞が認められます。まず、脳血流シンチを施行するとあまり梗塞の影響も受けずびまん性に血流が存在しています。そこで、アセタゾラミドを投与すると、左側頭葉後部に著明な血流低下を示しておりこちらもやはり

脳血流シンチは、脳血管障害以外にも

アルツハイマー型痴呆(以下DAT)は、認知機能障害を主体とし、随伴症状として精神症状を示す老年性痴呆の1つです。認知機能とは簡単に言うと5W1Hである、

病気の変遷は左下図のごとくです。

記憶や認知機能に関与する情報伝達は、アセチルコリン作動性ニューロンというところで神経から神経に受け継がれていきます。今、情報が矢印のごとく神経終末に到達すると、アセチルコリンが分泌されアセチルコリンレセプターに結合して神経興奮が伝達されます。そして、アセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼにより分解されます。

DATになると神経終末からのアセチルコリンの分泌と、レセプターの数の減少が見られるようになります。そのため、神経の興奮の伝達がスムーズに行かなくなります。

何か対策はないんですか?

アセチルコリンの濃度が低下して神経興奮がうまく伝わらないので、何らかの方法でアセチルコリンの濃度を高めてやればいいとわかっていたんですけどうまく行かなかったんですが、日本の製薬会社で世界初のDAT治療薬

塩酸ドネペジルは、アセチルコリン濃度を高める方法として、

アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼという酵素の働きを阻害してアセチルコリンの濃度を高めるコンセプトで作られた薬剤です。全世界で広く使われています。

ただし、ドネペジルは

DATは通常

画像的には、軽度、中等度、高度の3つの重症度に分類できます。軽度は、赤矢印のごとく頭頂葉の血流低下が認められ、中等度は緑矢印のように側頭葉後部の血流低下が追加され、さらに高度になるとピンクの矢印のように前頭葉の血流低下が追加して認められます。

この画像は典型的な画像であり実際の診断では微妙な判定を求められます。

64歳男性。HDSR 19点、ADAS J-cog 13.7点。抑うつ傾向。同じことを何度も聞く。電話の内容を忘れる。道に迷うというアルツハイマーの症例です。

たしかに、頭頂葉の血流低下や側頭葉の血流低下はこれをみただけでは、はっきりしないわ。

そこで、最近では統計学的画像処理による診断が行われるようになっています。最も一般的なのは3DSSPというもので原理は省略しますが、これにより、DAT患者で最も早期に血流が低下すると言われている後部帯状回・楔前部の血流低下を発見できるようになりました。これによりDATの早期発見・早期治療が一般臨床レベルで可能となりました。

上段は、ドネペジル投与前で赤い矢印の部分ですが左楔前部に有意な血流低下が認められます。

下段はドネペジル投与後でドネペジルの効果を示しているのか赤矢印に見られた血流低下は消失しています。

 

この方法は、DATの早期発見以外にも治療効果判定にも役立つ可能性を示しています。

皆さん.お疲れ様です。さあ、がんばって!

item6a