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#01. 正常ラット肝の透過型電子顕微鏡(TEM)画像。類洞内皮細胞(E)によって構成されている類洞腔(S)内にKupffer細胞(KC)が認められる。類洞壁の外側のDisse腔には肝星細胞(HSC=hepatic stellate cell;伊東細胞)が認められる。星細胞は細胞体内に多数の脂肪滴(*)を有する。これら、類洞壁を構成する類洞内皮細胞、Kupffer細胞、星細胞とその他数種の細胞を総称して類洞壁細胞とよぶ。H:肝細胞。

 

sosiki02.html #02. 正常ラット肝の肝星細胞(HSC)のTEM画像。星細胞は類洞内皮細胞(E)-肝細胞(H)間の空隙であるDisse腔に存在する、多数の脂肪滴(*)を持った細胞である。これは線維芽細胞系に属する細胞で、類洞壁の支持と微小循環調節といった周皮細胞(pericyte)としての役割も果たすと考えられている。細胞内に蓄えられている脂肪滴はビタミンAを多く含み、哺乳類では生体における主なビタミンA貯蔵細胞と考えられている。肝障害後の治癒過程では線維芽細胞としての性質が前面に出て筋線維芽細胞(myofibroblast)に形質転換する。KC:Kupffer細胞。

 

sosiki03.html #03. 正常ラット肝の肝星細胞のTEM画像。

 

sosiki04.html #04. 正常ラット肝の肝星細胞のTEM画像。

 

sosiki05.html #05. チオアセトアミド反復投与によるラット線維化肝の免疫組織化学染色(IHC)画像。反復障害部位に形成された線維化叢にα平滑筋アクチン(αSMA)陽性の筋線維芽細胞を多数認める。左の画像ではグリア線維性酸性蛋白(GFAP)を緑色に染色している。GFAPはラット肝星細胞のマーカー分子で筋線維芽細胞に形質転換(活性化)すると発現が低下する。線維化叢の筋線維芽細胞には多数の活性化星細胞が含まれると考えられるが、大部分のαSMA陽性細胞(赤色)にGFAPは共発現していない。右の画像では神経細胞接着分子(NCAM)を緑色に染色している。これは活性化した星細胞に発現する分子で、画像上も線維化叢においてαSMA陽性細胞と共発現し黄色に染色されている。用いた抗体はNCAMがSigma社、αSMAとGFAPはDAKO社のものである。蛍光標識の二次抗体はMolecular Probes社のものを使用。

 

sosiki06.html #06. 70%部分肝切除術施行1時間後のラット肝Kupffer細胞(KC)のTEM画像。Kupffer細胞は類洞腔内に存在する組織常在型のマクロファージである。細胞体内には多数の飲み込み小胞とライソゾームを持つ。H:肝細胞。矢印:類洞内皮細胞。

 

sosiki07.html #07. 正常ラット肝Kupffer細胞(KC)のTEM画像。死滅した細胞を処理するライソゾームと貪食した赤血球(*)が観察される。

 

sosiki08.html #08. 正常ラット肝のIHC画像。肝星細胞を緑色(GFAP)で染色し、Kupffer細胞を赤色(ED1:ラットのマクロファージマーカー)で染色している。#01や#02で見られるように星細胞とKupffer細胞は類洞内皮を挟んで近接して存在することが多く、通常のヘマトキシリン-エオジン染色による光学顕微鏡観察では同定が困難である。GFAPはDAKO社、ED1はPharmingen社の抗体を使用している。蛍光標識二次抗体はMolecular Probes社のものを使用。

 

sosik09.html #09. 70%部分肝切除術施行3日後のラット肝ピット細胞のTEM画像。ピット細胞は類洞腔内に存在する組織常在型のナチュラル・キラー(NK)細胞である。細胞体内にdense granule(矢じり)とよばれる顆粒とrod-cored vesicle(矢印)とよばれる小胞を持つことが特徴である。dense granuleの中にはパーフォリンやグランザイムを始めとする各種の酵素類を含む。ラットでは同じく顆粒を持つNKT細胞と組織切片上では同定が困難であり、活性化したT細胞も含めてlarge granular lymphocytes (LGL)と一括してよぶことがある。この画像では仮足(*)を伸ばしてDisse腔に移動しようとしている様子が観察されている。ちなみに「ピット」とはオランダ語で顆粒を意味する。ライデン大学(当時)のWisseが肝類洞腔内の内分泌細胞として初めて報告し、東京医科歯科大学(当時)の和氣健次郎、金田研司がNK細胞であることを同定した(敬称略)。Mt:ミトコンドリア。

 

sosik10.html #10. 70%部分肝切除術施行3日後のラット肝ピット細胞(PC)のTEM画像。E:類洞内皮細胞。KC:Kupffer細胞。

 

sosik11.html #11. 70%部分肝切除術施行1時間後のラット肝肥満細胞(mast cell)のTEM画像。肥満細胞は主に小葉間結合組織(グリソン鞘)に存在し、キマーゼなどのchemical mediatorsを含む多数の顆粒を持つ。この画像では一部の顆粒に脱顆粒(顆粒内容物の分泌)像(矢印)が認められる。

 

sosik12.html #12. ラット肝小葉におけるコネクシン32の発現を示すIHC画像。コネクシン32は肝細胞間の接着構造のひとつであるGap結合に含まれる分子である。画像は左上が開腹術のみの群(PHt Sham-operation)、右上が70%部分肝切除術施行2日後群(PHt 2day)、左下が部分肝切除術施行14日後群(PHt 14day)。Sham-operation群では肝細胞間にコネクシン32の発現、すなわちGap結合を多数認める。肝切除後の再生肝では肝細胞間のGap結合が消失して、多数の細胞は増殖期に入っている。70%部分肝切除後、肝重量は7〜10日でSham-operation群と同等になるが、肝切除14日後の再生が終了した肝小葉内でも肝細胞間のGap結合数は回復しきっていない。一次抗体はChemicon社、蛍光標識二次抗体はMolecular Probes社のものを使用。

 

sosik13.html #13. ラット胚体内肝芽組織における肝芽細胞マーカーと間葉細胞マーカーの発現を示すIHC画像。ラットでは胎生10.5日頃に心臓中胚葉からのFGFなどの刺激により前腸腹側内胚葉上皮が肝憩室を形成して肝芽細胞へと分化し、横中隔(septum transversum)に侵入して肝芽組織を形成して行く。この画像では、胎生11.5日胚(E11.5d)において横中隔内に多数のαフェト蛋白(AFP)陽性の肝芽細胞を認める。その周囲はビメンチン陽性の間葉細胞に囲われている。胎生12.5日胚(E12.5d)では索状の肝小葉類似の構造が認められ、すでに肝組織内での造血が開始されている。肝芽組織は比較的速やかに大きくなり、胎児期になると(胎生16.5日頃)肝芽細胞が肝細胞と胆管上皮細胞に分化していく。AFPはDAKO社、ビメンチンはSanta Cruz Biotechnology社の抗体を使用している。二次抗体はニチレイ社のHISTOFINE Simple Stain MAX-PO (Multi) を使用。