大阪公立大学大学院医学研究科
整形外科学Dept. of Orthopedic Surgery, Osaka Metropolitan University Graduate School of Medicine

中村教授ご挨拶

中村博亮 教授北京オリンピックが終わった直後のロシアからのウクライナへの侵攻で、尊い命を失われた方々には心からお悔やみを申し上げます。また、現在療養中の方々に一刻も早い回復をお祈り申し上げます。われわれの世代は母親や父親から大阪大空襲の時の話を毎日のように聞かされましたが、時々映像に移るウクライナの様子はこれが令和の時代に起こったことかと、目を疑わずにはいられません。

一方、ほぼ2年前から始まったコロナ禍は断続的に感染者数の増減を繰り返し、現在は第6波が収束したかに見えますが、今後送別会、歓迎会、お花見、プロ野球開幕などと重なって、第7波は目の前に迫っているようにも思えます。少なくとも第6波までの政府あるいは地方自治体の対応はそれほど変わったとは思えませんが、2年ともなるとその対応の変化も求められているように思えます。

【整形外科研修について】
さて、本邦では65歳以上のいわゆる高齢者の方の人口比率はすでに28%を超えたといわれており、これに伴って要介護、要支援の方は増加の一途をたどっています。この要支援、要介護の原因の第1位は運動器疾患で、健康寿命延伸のためには、整形外科医の活躍が不可欠です。整形外科は、外科という名前が付いているものの一般外科とは異なり、一人の患者さんを発症から診断、保存的治療と手術的治療を必要に応じて使い分ける判断、またその後のケアーに至るまで単科で行うのが特徴です。「内科的治療の限界を見極めて内科から外科へ」、あるいは「外科的治療で一定の区切りがついたため内科へ」といった患者の流れはなく、おのずと一人の患者さんと付き合う期間は長くなります。

また、整形外科は扱う疾患が非常に多く、科の中に関節外科、脊椎外科、骨軟部腫瘍外科、上肢外科、小児整形外科、リウマチ外科、スポーツ整形外科、外傷外科、リハビリテーションなどの各専門分野があり、これらをひととおり研修した後に、自分に適合した領域を専門分野として選択することも可能です。

【当教室の後期研修について】
2018年度からは専門医制度自体が第三者機関である日本専門医機構によって認定されることになり、大きな変革の時期を迎えました。我々大阪公立大学では、従来から関連施設をローテーションするクリニカルフェローシップシステムを導入していました。新専門医制度に対応したわれわれの後期研修制度では、連携施設は37施設あり、指導医は166名在籍しています。総新患数は約9万3000人、総手術数3万1000件と豊富な症例により十分な研修が行えます。後期研修の初期段階では、骨折外傷治療を含めた整形外科の基本を中心に研修する目的で、希望される連携病院をまずローテーションすることを原則としています。一定の手術経験を積んだのちにアカデミックワークを補うために大学病院を6か月から1年、ローテーションしていただきます。これは大学病院から研修を始めるプログラムが多い中で、我々のプログラムの一つの特色でもあります。また、先述したごとく外傷治療の造詣の深い指導医が多いこと、公立病院と私立病院の割合が拮抗しており待遇面でも安心できること、規模の異なる病院をローテーションすることによりcommon diseaseから難治症例まで幅広く体験できること、連携病院は大阪市内を中心に大阪府下にほとんどが存在していること、も我々のプログラムの特徴です。後期研修入会時にテストなどによる制限は一切設けておらず、これまで志望者全員を受け入れています。また、女性医師に対しても出産、育児の間は十分にそれを考慮し、かつ適切な研修を受けられえるように配慮しています。随時見学を受け付けていますので、ご希望の方は気軽にa-suzuki@omu.ac.jp(担当:鈴木医師)までご連絡をいただければ幸いです。

大阪公立大学整形外科 第6代教授 中村博亮

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