教授ご挨拶

ご挨拶

中村博亮 教授毎年感じることですが、特に昨年の秋はことのほかドタバタし、夏が終わると瞬く間にクリスマスがやってきました。昨年を振り返ってみたいと思います。

昨年1年を私なりに振り返ってみて、キーワードを“世界激震”“日本激震” “テロ”“文春砲”“オリンピック”に絞ってみました。

“世界激震”についてですが、6月にはイギリスでEU離脱の国民投票が行われ、大方の予想を覆して、EU離脱が“決断”されました。10月には米国の大統領選挙でドナルドトランプ氏が選出されたことにも驚きました。ビジネスマンとしての実績は十分でも、政治経験のない方を自国のリーダーに選出するのは、かなり思い切った“決断”がいることだと思うのですが、これが現実になるのがアメリカらしさなのでしょうか?その後にはフィリピンのトランプ氏といわれるドテルテ氏が大統領になりましたが、すぐお隣の韓国では、大統領は弾劾決議を受けてその交代は必定でしょう。

“日本激震”ですが、こちらは文字通り地面が揺れています。4月の熊本地震をはじめ、11月の福島沖地震では、津波警報も発令されました。熊本地震では本震の前に大きな余震があるという前代未聞のことが起こり、前震という言葉を初めて耳にしました。被災された方々には心からお見舞いを申し上げたいと思います。いわゆる南海トラフ地震、東海大地震の発生時期が近づいているのか、その予想は極めて難しそうですが、その一瞬にどのように“決断”をするのかで、運命が左右されるかもしれません。一方、政府機能が東京一地域に集中している日本では、東京が大災害に見舞われた場合、政府機能がマヒするように思えます。ただ、東京都は別の意味ですでに大揺れ状態のようです。

“テロ”も例年になく多かったように思えるのは悲しいことです。3月のベルギー多発テロやフランスニース、バングラデイシュ、ドイツミュンヘンなど、多様なテロが繰り返されてきました。特にバングラデイシュでは日本人の方々も犠牲になられ、彼らの攻撃対象から日本人が例外ではないのだということが明確になりました。今後、日本が政府対応として大きな“決断”を迫られるような事件がおこらなければ良いのですがーー。もちろん人命は地球より重いことはいうまでもありません。

“文春砲”も昨年の大きな話題の一つでしょう。1月に甘利大臣を辞任に追い込んだのをはじめとして、芸能人や政界人のゲス不倫報道、それに舛添氏の金銭疑惑問題など枚挙にいとまがありません。舛添氏の唯一の業績はsekoiという言葉を、internationalにしたことでしょうか?それにしても政務活動費の不正使用を指摘されて辞任する地方議員の多かったことにもあきれました。有権者は、選挙の時だけきれいごとを並べる候補者をよく見極めて、投票を“決断”する時期になったといえそうです。

リオで開催された“オリンピック”にも様々なドラマがありました。時差の関係で寝不足になられた方も数多いと推察します。水泳、卓球、柔道、バトミントン、体操などなど、多くの方がメダルを取られました。しかし、女子レスリングは強かった。伊調薫さんの4連覇は見事というしかありませんが、翌日には霊長類最強といわれた吉田沙保里さんが惜しくも金メダルを逃しました。泣きじゃくっていた顔が印象的でしたが、私のような凡人には理解のできない少しの“決断”の狂いがあったのかも知れません。しかし、立派な銀メダルで、日本人の心にいつまでも残ることは間違いなさそうです。ちなみにラグビー7人制もメダルには届かなかったのですが、大健闘であったのですが、ワールドカップほどは取り上げられなかった感があるのは残念でした。

余談ですが、昨年の大河ドラマは真田丸で、私の大好きな真田幸村が主人公として取り上げられました。脚本がどこまで史実に忠実かはわかりませんが、物語をみるかぎり、豊臣家勝利の道筋は少なからずあったように思えました。豊臣秀頼にもう少し勇気ある“決断”ができていたら良かったのですがーー。

以上のことから2016年の漢字は、個人的に“断”がいいのではないかと思っていました。発表された漢字は “金”でしたが、”きん”とも読め、同時に”かね”とも読めるこの言葉は、昨年の世相を表すのにピッタリかもしれません。一方、流行語大賞には【神ってる】が選ばれました、広島東洋カープの25年ぶりのリーグ優勝は、たしかに神っていました。わが阪神タイガースも2017年は神ってほしいものです。もともとチーム名に神という字が入っているのですから?

さて、本邦では65歳以上のいわゆる高齢者の方の人口比率はすでに25%を超えたといわれており、これに伴って要介護、要支援の方は増加の一途をたどっています。高齢になっても元気な方の人口比率を増すためには、運動器疾患に対する対策が重要で、今後はこれら疾患への予防が必要になってくるでしょう。健康寿命増進のためには、整形外科医の活躍が不可欠で、その果たすべき役割がクローズアップされます。整形外科は、外科という名前が付いているものの一般外科とは異なり、一人の患者さんを発症から診断、保存的治療と手術的治療を必要に応じて使い分ける治療、またその後のケアーに至るまで単科で行うのが特徴で、内科的治療の限界に伴う外科への患者の流れはなく、おのずと一人の患者さんと付き合う期間は長くなります。

また科の中に関節外科、脊椎外科、骨軟部腫瘍外科、上肢外科、小児整形外科、リウマチ外科、スポーツ整形外科、外傷外科、リハビリテーションなどの各専門分野があり、これらをひととおり研修した後に、自分に適合した領域を専門分野として選択することも可能です。また、2017年度からは専門医制度自体が第三者機関である日本専門医機構によって認定されることになり、大きな変革の時期を迎えていますが、 我々の教室では、従来からのクリニカルフェローシップ制度をさらに発展させて、新制度に対応するべく委員会を立ち上げて検討を重ねています。これから整形外科を目指す若い先生方の専門医取得に、われわれの力が少しでもお役に立てばと考えています。

大阪市立大学整形外科 第6代教授 中村博亮

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