

肩・肘グループ紹介
「肩・肘グループ」は、肩関節疾患を中心に臨床、研究、教育に積極的に取り組んでいるグループです。肩関節疾患と聞いて、皆さんは何を思いつきますか?「五十肩」「肩関節周囲炎」「腱板断裂」「反復性肩関節脱臼」などなど様々な疾患がありますが、皆さんはそれらを正確に診断できていますか?私は、約20年前、外来診察で肩痛の患者さんを前にして、診断的根拠が非常に乏しい状況で、「五十肩です。」とか「肩関節周囲炎です。」なんて曖昧に言いながら、本当にいいのだろうか?と不安に思う自分がありました。肩関節を専門にしてみよう!と思った経緯です。
- 肩関節は”forgotten joint”から”focused joint”に
- 肩関節は、1950年代には、”forgotten joint”と呼ばれていたことからしても、整形外科医にとっても肩関節疾患があまり重篤な疾患ではないと認識されてきた様です。しかし、高齢化社会へと進んでいく現代においては、他の運動器疾患と同様に肩関節疾患もQOLの維持のために治療の対象となってきており、健康志向を含めたスポーツ人口の増加、特にオーバーハンドアスリートの増加により、投球障害肩を中心として整形外科的治療の対象となる肩関節疾患患者は明らかに増加してきています。つまり現代においては、肩関節は”forgotten joint”ではなく、”focused joint”になりつつあります。このような経緯から、大阪市立大学整形外科学教室において、肩・肘グループを充実させることは時代に即したものであり、他大学の教室よりも先駆的な活動を心がけております。
- 肩関節鏡視下手術の可能性と手技修得
- 肩関節領域における手術は、腱板断裂に対する腱板修復術と反復性肩関節脱臼に対する制動化術が直視下手術での中心でした。臨床成績は概して悪いものではありませんが、前者では腱板へのアプローチ上、肩関節の重要な外転筋である三角筋への侵襲が危惧されますし、後者では再脱臼率の低下には術後外旋制限の残存が当然のごとく考えられています。これらの現状を鑑みると、直視下法の現状を打破できる大きな可能性を秘めている方法が肩関節鏡視下手術であります。肩関節鏡の意義は、
- 周囲健常組織への低侵襲
- 病変部位である肩甲上腕関節内と肩峰下滑液包内への到達が容易
- 広い視野での正確な診断と正確な修復術が可能の3点にあると思われます。
肩・肘グループでは、肩関節鏡視下手術を制する事が肩関節外科を会得する近道であると判断し、積極的に肩関節鏡視下手術に取り組んでおります。我々の場合、肩疾患手術数の95%が関節鏡視下手術で、残りの5%が人工関節置換術とミニオープン法と言われる小切開手術であります。米国での肩関節外科の現状も、手術治療の約90%以上が関節鏡視下手術になってきていると報告されており、世界的にも切開手術不要の時代に変遷しつつあるようで、いかに我々が先駆的に行っているかをご理解頂けると思います。実際の肩関節鏡視下手術件数は、平成15年97件、平成16年110件、平成17年144件、平成18年212件、平成19年293件、平成20年292件、平成21年は314件に増加しております。のべ手術症例数は1567例に達しており(平成21年12月 末現在)、臨床成績評価だけでなく、画一化した画像評価を行い症例情報一括管理しており、多くの臨床研究が可能な状態です。
- しかし、関節鏡視下手術手技は決して容易ではなく、その熟練度が重要となります。手技修得は個人レベルでは困難ですが、肩・肘グループでは模型を用いたトレーニングと、実践手術時に上級者が個別指導する教育システムを採用しており、グループ全体としてスキルアップ出来る様にしております。
このページの先頭へ
- 肩の情報発信を!
- 肩・肘グループとしての活動が、臨床、教育、研究の3本柱であることは言うまでも無い事ですが、最終目標は世界への肩の情報発信基地になることです。週に一回のグループミーティングを通じてグループ全体としての知識レベルと研究レベルの向上を統括し、積極的な学会発表にて肩の情報発信を行っております。平成20年には、日本肩関節学会7演題、日本関節鏡学会(JOSKAS)6演題、日本整形外科学会学術集会5演題といった国内学会発表を行い、第21回ヨーロッパ肩肘学会5演題といった国際学会発表も行っております。また多数の和文論文及び英文論文をpublishできるように学術業績を上げる努力も行い、「市大整形外科に肩・肘グループあり!」ということを対外的に発信するべく切磋琢磨しております。肩関節に興味をお持ちの先生は奮って肩・肘グループに御参加頂ければ幸いです。
このページの先頭へ