大阪公立大学大学院医学研究科
整形外科学Dept. of Orthopedic Surgery, Osaka Metropolitan University Graduate School of Medicine

リウマチ外科グループ

研究紹介

関節リウマチ及び骨粗鬆症に関する臨床研究と基礎的研究を並行して進めています。臨床からはるかに遠い基礎研究は臨床講座で行う必要はないと考えており、ぐっと手を伸ばせば臨床応用も可能であろうテーマで基礎研究も行っています。メンバーは多くはありませんが、切磋琢磨してやっています。

基礎研究

現在取り組んでいるのが、「脂質と炎症」です。内容はまだ記載できませんが、臨床との結びつきも強く、息の長いテーマになりそうです。

ある物質を欠いて太ったネズミ

臨床研究

多くの臨床研究が走っています。面白い名前を付けるのが好きなので、かなり凝った名前が付いています。

ヒッププロテクター研究
これは現在、2つの企業及び北海道大学・新潟大学・名古屋大学・国立長寿科学研究センター・関西医科大学との共同研究で、いかにして骨粗鬆症に伴う大腿骨近位部骨折を予防するかを研究しています。最終的にはRCT(ランダム化比較試験)を行います。もっともマンパワーを要する研究で研究員のリクルート中です。

Tomorrow研究
関節リウマチ患者さんの死因で最大のものは心血管系イベントです。それが実際にどのような因子で生じるかを調べるコホート研究です。2009年に開始し、健常者を含めた400名を対象に10年間の追跡を行います。リウマチ患者の「明日」を見つめる研究です。途中で、研究者のバトンリレーが必要ですので、長生きの予定の方、やってみませんか。

cHAMLET研究
レミケードという生物製剤は日本でだけ少ない用量で承認され、最近増量が認められるようになりました。そのため、レミケードの効果が減弱した場合、増量するか他の生物製剤に変更するかを悩まないといけなくなりました。そこで、どちらが良いかをRCTで比較しています。悩むので「ハムレット」。最初のCが小文字なのは、iPodのパクリです。

CHAOS研究
健康食品が本当に効果があるのかを調べる研究で、膝痛の改善をエンドポイントにしたRCT(しかも二重盲検)です。実に「混沌」とした世界に一石を投じるつもりです。俗称は、「膝曲がるんです。Project」です。

Precept研究
エンブレルという生物製剤は、週2回投与が基本ですが、週1回でも効果がある可能性があります。そこで、どちらが関節破壊を抑制できるかをRCTで検討しています。「教訓」になればよいのですが。

業績紹介

その1

T. Koike , Y. Orito, H. Toyoda, M. Tada, R. Sugama, M. Hoshino, Y. Nakao, S. Kobayashi, K. Kondo, Y. Hirota, K. Takaoka: External hip protectors are effective for the elderly with higher-than-average risk factors for hip fractures. Osteoporos Int 20:1613, 2009
長い年月のかかったRCTがひとまず論文になり、来年改訂予定のコクランデータベースにも採用されることになり、2008年の骨粗鬆症の進歩に貢献した論文としても取り上げられました。

その2

Tada M., Okano T., Sugioka Y., Wakitani S., Shimazaki A., Inui K., Nakamura H., Koike T.:Comparison between resection and arthrodesis of the first MTP joint in the same patient (internal control) for rheumatoid deformity.
高い壁であったアメリカリウマチ会議を乗り越えました。

新規手術材料

診療紹介にも書いたサーフプレートは医療器具として認定され、開発費の回収も終了し、今後は売れる度に売り上げの一部が講座のベンチャー企業であるMEROSに入ります。人工肘関節も苦節3年を経て、もうすぐ認定されそうです。

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