大阪公立大学大学院医学研究科
整形外科学Dept. of Orthopedic Surgery, Osaka Metropolitan University Graduate School of Medicine

足の外科

足の外科手術の紹介

前足部変形および関節障害

1. 外反母趾矯正術
写真にあるように、外反母趾による著明な前足部変形があり、見た目も悪く、はける靴が制限されるなどの問題があります。また、足底部に胼胝(たこ)を形成しており、疼痛のため歩行障害も来しています。手術をすることによって、変形は矯正され、胼胝も消失し、疼痛がなくなり、歩行が楽になります。

術前の足部写真(外反母趾変形及び足底に有痛性胼胝を認めます)
術前レントゲン(外反母趾変形)術直後レントゲン(骨切りによる矯正)
術後レントゲン抜釘後レントゲン(外反母趾矯正は良好)
現在の足部写真(外反母趾が矯正され、足底の胼胝も消失しています)

2. 母趾MTP関節固定術
母趾MTP関節の破壊・変形が強い場合は、母趾MTP関節の変形を矯正して、固定します。固定することによって、安定した変形の矯正と除痛効果が得られ、歩行障害が改善します。

術前レントゲン
(母趾MTP関節の破壊が著明に認められます)
術後レントゲン
(良好な矯正が得られます)

3. 母趾MTP関節人工関節置換術
母趾MTP関節の障害に対しては、固定のみではなく、人工関節置換術をして、変形および機能障害の改善をさせることも可能です。人工関節置換術の場合は、母趾MTP関節の可動域の温存が期待できます。

術前レントゲン
(母趾MTP関節の軟骨はほぼ消失)
術後レントゲン
(人工関節置換により矯正は良好)

4. 外反母趾矯正術及び2-5趾関節形成術
RAやRA以外でも、前足部変形が強い場合は、外反母趾矯正術に2-5趾のMTP関節形成術を合わせて行い、変形の矯正を行います。この手術によって、前足部変形が劇的に改善され、非常にきれいな足にもどります。また、変形・胼胝の消失により歩行障害も改善されます。最近では、2-5趾MTP関節の変形に関しては、関節の破壊がすでにあったとしても、中足骨短縮させることで関節を温存しながら、変形を矯正することも可能です。

術前レントゲン
(著明な前足部変形があり、足底には有痛性胼胝もあります。)

術後レントゲン
(前足部の矯正は良好で、足底の有痛性胼胝も消失し、歩行障害が改善しています。)

後足部変形及び関節障害

1. 距腿関節固定術
RAや変形性関節症(OA)による距腿関節の障害は関節可動域制限や疼痛のため歩行障害を来してしまいます。こういった障害に対し、距腿関節固定術をすることで変形が矯正されるだけでなく、疼痛も改善することから、歩行が劇的に楽になります。また、距腿関節を固定しても、距骨下関節以遠の関節があるため、足関節の可動域が全く消失することはありません。

術前レントゲン(距腿関節の関節裂隙の狭小化及び変形が認められ、歩行障害があります)

術後レントゲン(変形は矯正され、固定することで疼痛は改善し、歩行が楽になります)

2. 全人工足関節置換術
距腿関節の変形が著明でなければ、全人工足関節置換術をすることで、変形や疼痛を改善させ、距腿関節固定術よりもさらに足関節の可動域を温存することが可能です。

術前レントゲン
(変形は強くありませんが、距腿関節の関節裂隙はほぼ消失しており疼痛が強い状態です)

術後レントゲン
(人工関節に置換することで、疼痛は改善し、歩行が楽になります。足関節の可動域も温存されます)

3. 距骨下関節固定術
RAやOAによって距骨下関節の変形が生じ、歩行障害を来した場合には、変形を矯正し距骨下関節を固定することによって、歩行障害を改善させることが可能です。この写真の症例は、RAによって、距骨及び踵骨の圧潰を伴う著明な距骨下関節の破壊を認めたため、腸骨移植を併用して、変形の矯正を行い、固定することで疼痛と歩行障害が改善されました。

術前レントゲン及びCT
(距骨・踵骨の圧潰と、著明な距骨下関節の変形がみられ、歩行障害が強い状態です)

術後レントゲン
(腸骨移植を併用することで、距骨・踵骨が圧潰した距骨下関節の変形も良好に矯正することが可能であり、その状態で固定することで歩行障害を改善させることができました)

4. 全人工足関節置換術及び距骨下関節固定術の併用
距腿関節のみではなく、距骨下関節にも問題がある場合には、全人工足関節置換術に距骨下関節固定術を併用する手術方法もあり、これによって疼痛・歩行障害の改善が可能となります。

術前レントゲン及びCT
(距腿関節及び距骨下関節の関節裂隙は狭小化しており、疼痛のため歩行障害を認めます)

術後レントゲン
(距腿関節は人工関節に置換し、距骨下関節は固定することで、疼痛・歩行障害を改善することができます)

5. 全人工足関節置換術及び人工距骨置換術の併用
距腿関節の障害及び距骨壊死などによる距骨自体にも問題がある場合には、全人工足関節置換術に人工距骨置換術を併用する手術方法もあり、これによって形態的・機能的により正常な足関節に近づけることが可能であり、疼痛・歩行障害の改善が可能となります。

術前レントゲン
(距腿関節の関節裂隙狭小化及び変形を認め、また距骨自体に軽度の圧潰を認め、MRIでは距骨内全体に異常信号を認め、距骨壊死を来している状態でした。この場合、人工足関節置換術のみ、もしくはそれに距骨下関節固定を併用しても、今後距骨の圧潰が進行してしまう可能性が高くなります)

術後レントゲン
(人工足関節置換術に術前にオーダーメイドで作製したセラミック製の人工距骨置換を併用することで、足関節の疼痛・歩行障害を改善させ、今後距骨自体の圧潰の進行を防止することが可能です)

6. 足関節固定術
距腿関節及び距骨下関節の変形が著明であれば、髄内釘による足関節固定術によって、変形を矯正し、疼痛・歩行障害を改善させる方法もあります。

術前レントゲン
(距腿関節及び距骨下関節の関節裂隙はほぼ消失しており、著明な変形をきたしています)

術後レントゲン
(足関節の変形を矯正し、髄内釘によって固定することで、疼痛・歩行障害を改善させることが可能です)

7. 人工距骨関節置換術
距骨壊死などによる距骨圧潰など距骨のみの変形で、関節は比較的温存されている場合には、事前にオーダーメイドで正常な形の距骨をセラミックで作製し(反対側の正常な距骨をベースに、個々に合わせた人工距骨を作製します)、人工距骨に入れ替える手術方法もあります。
これによって、距骨の変形および疼痛を改善させるのみではなく、今後生じるであろう足関節の破壊・変形の進行を防止することが可能となります。

術前レントゲン及びMRI
(距骨に軽度の圧潰を認め、MRIで距骨内に限局する異常信号を認め、距骨壊死をきたしていることが分かります)

術後レントゲン
(セラミック製の正常な形の人工距骨に置換しています。距腿関節及び距骨下関節の関節は変形することなく温存されています)

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