大阪公立大学大学院医学研究科
整形外科学Dept. of Orthopedic Surgery, Osaka Metropolitan University Graduate School of Medicine

肩肘外来

肩関節・肘関節専門外来のご案内

肩関節疾患の多くは、以前は「五十肩」と診断されてきましたが、MRI等の検査機器の発達に伴い、腱板断裂、インピンジメント症候群、拘縮肩といった様々な病態があることが分かってきました。また、技術の進歩により手術法も従来の切開手術から関節鏡を用いた低侵襲な治療(肩関節鏡視下手術)が行われるようになってきており、注目されてきています。
肘関節についても、離断性骨軟骨炎変形性肘関節症といった疾患に関節鏡を用いた低侵襲な治療(肘関節鏡視下手術)が行われるようになってきております。

① 腱板断裂
腕を挙げる動作には肩甲骨と上腕骨をつないでいる腱板が重要な役割を担っています。腱板断裂とは、この重要な腱が断裂してしまったもの(図1)で、中高年に多く、腕を挙げる動作がしにくくなったり、挙げ降ろしの時にひっかかり感や痛みを認めたりします。注射やリハビリ等の治療を約3ヶ月間行っても治らない場合は、関節鏡を用いて断裂した腱板を修復する手術(図2,3)が必要となる場合があります。

腱板断裂

② インピンジメント症候群
腱板断裂を引き起こす予備軍の症候群で、インピンジメントとは衝突を意味します。腕を挙げる動作や捻じる動作で、肩甲骨と上腕骨の骨同士の衝突と痛みを認め、骨の棘ができてしまいます(図4)。この場合も、注射やリハビリ等の治療が無効な場合、肩関節鏡視下手術で衝突する余分な骨の棘を切除したり(図5,6)、炎症性の膜を取り除いたりすることが有効です。

インピンジメント症候群

③ 拘縮肩
拘縮肩とは狭い意味での五十肩であり、肩の痛みと肩の動きの制限を主な症状とします。一般的には明らかな誘因なく徐々に疼痛(特に夜間痛)が出現し、その後に動きの制限が起こってきます。注射やリハビリ等の治療で改善する場合が多いですが、約3ヶ月間行っても治らない場合は、肩関節鏡視下手術で関節の動きを制限している関節の袋を広げることが有効です。関節の袋が広がると、肩の動きの改善とともに夜間痛を中心とした肩の痛みからも解放されます。

④ 反復性肩関節脱臼
転倒やスポーツ中の外傷などを契機として肩関節の脱臼(図7)が起こり、それが癖になって何度も肩が外れるようになってしまった状態を言います。肩関節の安定性に関わっている靭帯が骨から剥がれたり裂けたりしている場合が多く(図8)、自然には治りにくいために反復性になりやすく、肩関節の完全な安定化には肩関節鏡視下手術でこの靭帯の修復を行うことが必要です(図9)。

反復性肩関節脱臼

⑤ 変形性肩関節症
肩関節の軟骨がすり減ってしまい、骨同士がこすれる状態になっています。程度が軽い場合は、傷んだ軟骨や炎症部分を取り除いたりする関節鏡視下手術が有用ですが、程度が高度な場合は、人工関節置換術が必要になり、切開手術が必要です(図10,図11)。

変形性肩関節症

以上、代表的な肩関節疾患と治療方針を紹介させていただきましたが、肩・肘の症状でお悩みの方は遠慮せず、お気軽に受診してください。

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