アミノ酸代謝異常症、糖代謝異常症、リピドーシスやムコ多糖症のライソゾーム病など幅広く先天性代謝異常症の診断、治療と研究を行っています。
(1) フェニルケトン尿症に関する研究 (351KB)
フェニルケトン尿症の診断と治療中でも、フェニルアラニン水酸化酵素の遺伝子解析と安定同位体を用いたin vivo PAH活性を中心とした研究を行っています。遺伝子変異が酵素活性に及ぼす影響や補酵素であるテトラヒドロビオプテリンが酵素活性に及ぼす影響を研究しています。
(2) ビオプテリン代謝に関する研究
上記の補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)の合成に関わる代謝の異常でもフェニルケトン尿症と同様の症状を呈してきます。そのひとつのグアノシン三リン酸(GTP)シクロヒドロラーゼI(GTPCH; EC3.5.4.16)欠損症(OMIM 233910)について、瀬川病との関連から遺伝子解析を中心とした研究を行っています。また、瀬川病以外にセピアプテリン還元酵素(SR; EC 1.1.1.153)欠損症(OMIM 182125)という神経疾患が高フェニルアラニン血症を伴わないビオプテリン代謝異常症として報告されるようになり、この遺伝子異常の解析も行っています。このほか、BH4は一酸化窒素合成酵素(NOS)の補酵素として重要な役割を果たしていることに着目し、新生児虚血性低酸素脳症などの成因に関する研究から、高血圧症、妊娠中毒症などの研究も行っています。
(3)アンモニア代謝・糖代謝に関する研究(高インスリン高アンモニア血症) (613KB)
高インスリン高アンモニア血症という疾患についての病態解明を行っています。これは、グルタミン酸脱水素酵素の遺伝子異常によって起こることが明らかになりました。患者検体の遺伝子解析を始めとし、培養細胞を用いてどの様なメカニズムでインスリン分泌が刺激されるかを解明しました。さらに、患者と同じ遺伝子変異を持つトランスジェニックマウスを作成して、in vivoでのメカニズムを解明しようとしています。
(4)ライソゾーム病の脳障害の治療法に関する実験研究 (12KB)
ライソゾーム病は、全身臓器の細胞のライソゾーム内に非代謝産物が蓄積して症状を呈してきます。脳や骨以外の症状については、外来性の酵素を血管内に投与する、あるいは正常な酵素を産生する臓器(一般には骨髄細胞)の移植により症状を改善することができます。しかし、脳については、血液脳関門の存在からこれらの方法では症状を改善することができず、多くの研究者が研究を行っているところです。当教室では、動物モデル(ノックアウトマウス)を用いて、遺伝子治療や細胞移植の再生医療の技術を利用した治療研究を行っています。
(5)ムコ多糖症の酵素補充療法および造血幹細胞移植の効果に関する臨床研究 (68KB)
当科は、ムコ多糖症について日本一の症例数を有しています。1980年代末よりムコ多糖症の治療法として造血幹細胞移植が普及し、さらに最近は酵素補充療法が開発され、治療法は目覚しく進展しました。酵素補充療法の中核病院として、当科で経過観察中の症例について酵素補充療法および造血幹細胞移植の効果を比較しつつ臨床研究を行っています。
このような研究以外にも、先天性代謝異常症の患者会「PKU親の会」や「日本ムコ多糖症親の会」のサポートを行っています。
また、「近畿先天代謝異常症研究会」の事務局として知識の普及に努めています。
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