大阪市立大学医学部 神経生理学教室(第2生理学)

last updated on: 2017.4.10

 脳の情報処理は、巨大なネットワークの中でさまざまな解剖学的・時間的スケールにまたがる神経活動によって営まれています。局所回路を構成する個々の細胞が相互作用し、各脳領域が協調して働き、さらに神経修飾系が時々刻々と脳状態を制御することで、脳全体として巧妙に機能しています。

 私達は、記憶のメカニズムをネットワークレベルで解明したいと考えています。そのために、行動中のマウスやラットの海馬とその関連領域からシリコンプローブ等を用いた大規模細胞外記録を行うことにより、百個程度の神経細胞の活動とフィールド電位を同時観察し、細胞間・領域間の相互作用や細胞集団の活動が記憶の基盤となるメカニズムを調べています。

 さらに、大規模細胞外記録法に光遺伝学を組み合わせて回路解析を行っています。具体的には、神経細胞種・経路特異的にオプシンを発現させることにより、細胞外記録している細胞の種類の同定を行い、さらにそれらの神経細胞の活動を人為的に操作しつつ同時に近傍のその他の細胞やネットワークの振る舞いを大規模細胞外記録法で観察することにより、局所回路における細胞種・経路特異的な役割を明らかにします。


<光遺伝学を用いた私達の実験道具例>
 慢性記録用のシリコンプローブに光ファイバーを取り付け、シリコンプローブの記録部位の近傍のみに光を当てることにより、局所的に神経活動を操作しつつ、その近傍の神経細胞の活動とフィールド電位を観察できます。

参考文献
Stark et al., 2012, Journal of Neurophysiology 108, 349-363