宇仁 茂彦 助教授 |
WHO(世界保健機構)は1996 年に「今や世界は感染症の危機に瀕している」という報告書を発表しました。現在、世界の人口の40% はマラリア感染の危険地域に住み、毎年、200 万人以上の人々が死亡しています。また、10 億人が回虫、鉤虫、住血吸虫、赤痢アメーバなど寄生虫病に感染しています。さらに、WHOは将来、地球の温暖化、自然環境の破壊、国際紛争の増加などによって、寄生虫病を含む熱帯病の拡大と増加を予測しています。わが国においても、交通運輸のグローバル化にともない熱帯からの輸入寄生虫病が増加しています。また、刺身やいろいろの生ものを喫食する習慣から、アニサキス症、条虫症が増加しています。イヌ、ネコ、ペット、野生動物から、私たちはいろいろの寄生虫に感染します。今まで、わが国では生息していなかった毒グモが身近に繁殖しています。本講座では3回にわたり、原虫、蠕虫、そして衛生動物による病害について考えていきたいと思います。 |
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