研究内容


 

「虚弱高齢者のための身体諸機能改善プログラムの開発」

−自立した日常生活復帰をめざして−

※詳しくは藤本教授のページをご覧ください

我が国の 65歳以上の高齢者は、2050年には現在の約2倍になると予測されています。この高齢者のQOL(生活の質)を維持向上させることは、社会経済上大変重要なことですが、そのためには高齢者のADL(日常生活動作能力)の維持が必要不可欠です。しかしながら、ADLを支える体力諸能力は加齢に伴い減少していくことが知られています。特に歩行などの移動能力の減少に伴う不活動はADL低下の大きな1要因にあげられます。また、高齢者においては転倒による骨折などの傷害もADLの急速な低下を招くことが知られています。

私どもの研究室においては、高齢者の体力について様々な研究を行い、加齢に伴う筋力や歩行能力、バランス能力などの身体諸機能の低下に加え、膝の伸展筋力の左右差が加齢に伴い拡大していくことを報告してきました。また、膝の伸展筋力の左右差が、転倒と密接な関係のあるバランス能力に関連していることや、転倒予防にはバランスや筋力だけでなく、下肢筋力の左右差を是正できるようなトレーニングが必要であることを突き止めました。

また、在宅で自立した生活を行っている高齢者と、老人保健施設などでデイケアサービスを利用している高齢者の体力を比較することで、高齢者が在宅にて介護の必要なく、自立した生活を送る上で必要な体力基準を設定してきました。

 そして現在、老人保健施設等で簡便に実施および評価が可能で、高齢者の ADLやQOLの改善につながるような新たなリハビリテーション・プログラムとして、下肢に重りを装着するという特別な機械を用いることなく、転倒予防につながるバランス能力および下肢筋力の左右差を同時に補正し、歩行能力を改善することが可能な簡便なリハビリテーション・プログラムの開発を目的としています。

 

「運動が摂食調節ホルモンおよび食事摂取量に及ぼす影響」

※詳しくは吉川准教授のページをご覧ください

生活習慣の予防として 望ましい運動習慣と同等に食習慣を確立することは重要です。しかし、運動が食欲を刺激し、過食を招くことも十分に考えられるため、 運動による摂食調節のシステムを解明することが重要であると考えられます。 Kingらは高強度運動により食欲が低下する現象、すなわち“exercise-induced anorexia”を提唱しました。しかし、運動刺激による食欲とエネルギー摂取量の抑制効果に対するメカニズムについては明らかにされていません。

そこで近年、摂食を促進させる作用をもつ グレリンや摂食を抑制する peptideYY(PYY)、glucagon-like peptide-1(GLP-1)など、 摂食調節に関わる消化管ホルモンが注目されています。これらは、胃、腸、膵臓などの末梢臓器から分泌されたホルモンで脳視床下部の弓状核や脳幹に達して作用することで空腹・満腹感や食行動に影響し、食事摂取量を調節する作用があると考えられています。したがって、 運動が消化管ホルモンの分泌に作用し、食事摂取量に影響を及ぼす可能性も十分に考えられます。運動が消化管ホルモンの分泌と食事摂取量に及ぼす影響について明らかにすることは、医療機関等における健康指導において運動指導と食事指導を併用する際の一助となり得ると考えました。

本研究では、運動が消化管ホルモンの分泌と食事摂取量に及ぼす影響について明らかにするとともに、両者の関連性について検討することを目的としています。

 

「腹部肥満女性に対する水中運動訓練が血液・体組成へ及ぼす影響」

※詳しくは藤本教授のページをご覧ください

近年、日本においては 40歳から74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人が、動脈硬化などの生活習慣病を引き起こすメタボリック症候群の予備群になると推定されています。その運動指導として、“健康づくりのための運動指針2006”(厚生労働省)の中では、日常生活内での「活発的な身体活動」が必要とされています。しかし、特に肥満者では、歩行・走行による従来の運動指導では、しばしば下肢関節の整形外科的な障害を引き起こしたり、過負荷による筋肉障害などの問題が挙げられています。

一方、最近では中・高齢者を対象にした水中運動が盛んに行われております。水中での運動では浮力が利用できること、肥満者や足腰に障害のある高齢者でも運動できること、水中での歩行時では水抵抗が利用できること、転倒の危険性が少ないこと、心肺への影響が運動効果として利用できることなどの特性があります。この水抵抗が利用できるトレーニング用具を用いた、減量のための水中運動は、効率よく体脂肪を燃焼させ、体重の減量や、体力の維持・改善に繋がることが期待されます。

本研究では、中高年女性を対象に、 2ヶ月間、減量のための水中運動訓練を実施し、体組成体重、BMI、体脂肪率、腹部周囲径などの体組成や、血圧、動脈脈波伝搬速度、血管老化偏差値、またグルコース、インスリン、コレステロール、中性脂肪などの血液検査を行い、水抵抗器具を用いた水中運動が、メタボリック症候群の諸量に及ぼす効果、さらに動脈硬化に及ぼす影響について検討します。

 

 

『種々の運動に対する生体ストレス応答:視床下部‐下垂体‐副腎皮質ホルモン系(HPA系)や交感神経系(SA系)と免疫系の関係』

※詳しくは吉川准教授のページをご覧ください

現代人の多くは、忙しくスケジュールに追われたり、苦手な仕事をたくさん背負ったりと、日々多くの精神的ストレス(ストレッサー)にさらされています。同様に、体を酷使するような身体運動も、一種の身体的ストレス(ストレッサー)として働きます。これらは、まるでシマウマがライオンの餌食(えじき)にならないように何とか逃げて走る(あるいは捕まりそうになって必死に抵抗する)ときのようです。生体はこれらのストレスに何とかうまく対処するために、視床下部‐下垂体‐副腎皮質ホルモン系(HPA系)や交感神経系(SA系)を作動させ、ストレス(に対応するための)ホルモンを血中に放出します。その結果、ホルモンや神経の働きを介して、血中に糖分を呼びだしたり、心拍数や血圧を上げたりして、全身に十分な酸素と栄養を補給・利用できるようになります。しかし、その結果、生体には思わぬ悪影響が出てきます。

なかでも、運動(なかでも激しい運動)に関しては、感染に対して身体の抵抗性が落ちること が報告されています(免疫系への影響)。その原因としては、免疫グロブリン A ( IgA )の減少など種々の免疫防御因子の変化が考えられていますが、 これ以外にも種々の免疫防御因子がストレスホルモンの影響を受ける可能性があります

本研究では、そういった視点から、免疫に関わる液性・細胞性因子とストレスホルモンの関係を調べ、ストレスに対する生体の応答と免疫の関係を調べ、感染症を初め、免疫・アレルギー疾患とストレスの関係を探ろうとしています。

 

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