教室の歴史

 1948年4月に大阪市立医科大学が創設され、同年7月に澤田平十郎教授が外科学講座を開設されたのが当教室の始まりで、1955年4月からは大阪市立大学に編入され医学部外科学第1講座となりました。
 1948年7月から1961年7月までの初代澤田教授時代は、胃癌に対する胃切除を中心とした消化器癌の臨床研究や、脾臓外科、甲状腺腫などの一般外科の診療とともに、門脈圧亢進症の成因についての研究、腰椎麻酔によるショックの成因と対策、癌と網内系、脳代謝の特異性などについての研究が行われました。
 1962年4月から1972年1月までの2代鈴木忠彦教授時代は巨脾性疾患であるバンチ病(のちの特発性門脈圧亢進症)の病態・成因に関する研究を中心として、先天性溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血、遺伝性球状赤血球症の臨床的および免疫学的手法を用いた研究、さらに担癌生体の免疫能の研究などが行われ、臨床面では脾臓外科、門脈外科へと発展しました。
 1973年1月から1991年3月までの3代梅山馨教授時代は脾臓・門脈・膵臓疾患とその病態、膵臓移植、消化器癌を中心とした悪性腫瘍、並びに術前術後の代謝栄養、内分泌外科を中心に研究が進められました。特発性門脈圧亢進症の成因をめぐってのさらなる研究とともに、臨床的には食道静脈瘤に対する経腹的食道離断術の工夫により治療成績の向上が見られました。膵に関する研究も広範囲に行われ、ラ氏島移植や拒絶の抑制効果の免疫学的研究、実験膵癌の作成、モノクローナル抗体による膵癌の診断に関する検討などが行われました。また、術後代謝と高カロリー輸液の研究も進められました。
 1991年4月から1998年3月までの曽和融生教授時代には、伝統的に受け継がれてきた癌を中心とした腫瘍外科の研究が進められ、なかでも難治癌(スキルス胃癌、膵癌など)の増殖・進展と転移に関する基礎的・実験的研究は、従来の病理組織学的所見を背景に分子生物学的レベルでの詳細な研究へと発展しました。臨床面では、鏡視下手術の導入によるQOLの向上をはかるとともに、癌非切除例や再発例に対する化学療法の臨床的検討や分子生物学的予後因子の解析等が行われました。
 1998年4月からは現在の5代平川弘聖教授に引き継がれ、難治癌の治療成績の向上を目指した分子生物学的手法を用いた実験的研究を進め、癌の転移、特に肝転移、腹膜播腫性転移の機序の解明、新しい治療法の開発とともにこれらに関しての遺伝子レベルでの詳細な解析も検討中であります。また、癌の外科手術においては症例ごとのQOLの向上を目指した縮小手術の導入、根治性の向上を目指した拡大手術の追求を課題とした臨床研究とともに、癌切除後の再発予防や非切除例に対する全身および局所化学療法も検討中です。
 2000年4月から大阪市立大学医学部は大学院医学研究科に改組され、腫瘍外科学講座となりました。消化器外科全般(消化管、肝胆膵)ならびに内分泌外科(甲状腺、乳腺、副腎)をとくに腫瘍性疾患を中心に研究・診療面において教室員がそれぞれの専門分野でチームワークを発揮、現在に至っております。