消化器内科 (教授: 荒川 哲男)
●上部消化管・内視鏡グループ
当グループは、教員5人、研究医1人、大学院生11人、登録医2人、実験助手1人で構成されており、研究テーマは、主に食道・胃・十二指腸に関する臨床的・基礎的研究を行っています。臨床面では、従来から教室で行ってきた消化性潰瘍の質(Quality
of ulcer healing, QOUH)に関する研究に加えて、最近は、自律神経系から見たFunctional
dyspepsiaの病態解明、GERDに関する臨床疫学的検討、H. pylori感染と特発性血小板減少性紫斑病との関連、消化器癌に対する化学療法の効果についての検討などを行っています。基礎的研究は、本グループの最初のテーマであった胃粘膜防御機構に関する研究から、現在ではCOXやプロスタグランジン受容体と疾患との関連、炎症論からみた消化管疾患の病態の解明、消化器癌(食道癌、胃癌、大腸癌)に関する遺伝子治療、薬剤の効果とその機序、化学予防に関する検討を行っています。一方、我々のグループは、一般臨床として消化管内視鏡検査を行うと同時に臨床研究にも重点をおいています。
●下部消化管グループ
当グループは現在、押谷助教授、渡辺講師、山上講師(総合診療センター)、十河・鎌田・末包の研究医がスタッフとして、診療、研究をおこない、10人の大学院生とともに研究しています。主要な研究テーマは特発性炎症性腸疾患(IBD)の病態と治療です。基礎的研究に関してはIBDの腸管免役に関する免疫組織学的検討、腸管からの抗原ペプチドの質量分析装置によるアミノ酸配列の解析、HPLCを用いた抗菌ペプチドの分離とその活性検索、肥満細胞と繊維化との関連などを研究しています。また日本人とヨーロッパ人における疾患感受性遺伝子に関して、エディンバラ大学と共同研究を行っています。臨床面ではIBDに対するステロイドパルス療法を開発し、血球除去療法を積極的におこない、さらに各種の新たなる治療法の開発もおこなっています。国外留学先としては上記エディンバラ大学と、オックスフォード大学があります。大腸内視鏡検査については平成14年度では年間2536例の大腸内視鏡検査を行い、そのうち内視鏡的治療は699例におこなっております。近年注目されている小腸疾患の診断については、カプセル内視鏡およびdouble
balloonによる小腸内視鏡について着々と症例を集積しています。本グループは、各個人の人格を尊重した自由な発想による研究テーマにそって研究を進めており、それぞれの責任に基づき研究を進めています。
肝胆膵内科 (教授: 河田 則文)
肝胆膵内科は平成19年1月より河田則文教授のもと再スタートをきりました。肝疾患患者が非常に多い大阪市の地域特殊性に柔軟に対応し、肝癌やウイルス性慢性肝疾患に対して的確な診断の下に最新の治療を実施しています。また近年増加傾向にある脂肪性肝疾患や胆膵疾患の研究と臨床にも取り組んでいます。
| 平成19年1月1日現在の肝胆膵病態内科・肝胆膵内科教員 |
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他研究医5名、大学院生4名で構成されています。
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●ウイルス性肝炎
B型肝炎に対するラミブジン・アデフォビル・エンテカビル治療やC型慢性肝炎、肝硬変に対するインターフェロン治療を積極的に行っています。関連病院を含めたペグインターフェロン・リバビリン併用治療患者数は年間200例を超え、わが国でも有数の患者数を誇っています。さらに複数の新薬の臨床治験にも積極的に参加し、最先端の医療を提供しています。我々は、治療前に徹底した身体評価と正確な病期診断を実施してきました。現在さらに遺伝子多型を含めた個々の病状に合わせたオーダーメイド治療の確立を目指して臨床研究を進めています。これらの治療に関する成績は、班員や班友として参加している厚生労働省班会議や専門誌において発表し、肝炎に対する標準的治療法の策定に関っています。
●肝癌の臨床
大阪府は、全国一肝癌死亡者数が多く、日本全体の約1割、毎年3千人以上の方が亡くなっています。当大学では行政当局と協力し、肝癌撲滅運動を展開しています。放射線科、病理学教室、肝胆膵外科と共同して1,500例以上の肝癌治療を施行してきた実績があります。特に腹腔鏡的治療は、全国的にもトップレベルの症例数を有し、腹腔鏡下肝切除術で高度先進医療を取得しています。発ガンに関しては、細胞増殖能、テロメア・テロメラーゼ、HBV
DNAの組み込みなど遺伝子レベルの研究を行い、最近ではバイオインフォマテイクス的手法を取り入れた網羅的遺伝子研究を進めています。また世界に先駆けて1995年にインターフェロンの肝発癌抑制効果を報告し、その後も多施設研究に参加しその効果を実証してきました。ウイルス消失が望めない場合にも、発ガン抑制に目標を置き換えた治療、たとえば少量長期のインターフェロン治療を推奨しております。最近では肝硬変におけるビタミンK2の肝発癌抑制効果も明らかにしました。これらの発ガン抑制に関する臨床研究は、高水準の画像診断能力と肝癌の治療成績に裏打ちされなければなりません。我々は、腹部超音波診断においては常に最高の診断能を維持するように努めており、CTなどの他の画像診断と組み合わせることにより肝癌の早期発見に努めています。
● メタボリック症候群と肝臓
飽食の時代を迎え, 肥満人口が急速に増加しており肥満と関連の深い疾患群が注目されています. 近年「メタボ」と流行語にもなっているメタボリックシンドロームがその一つですが非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は「肝臓のメタボ」と考えられており、その病態の解明が急務です.
肝胆膵内科では、現在NAFLDとその進行型である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態解明および新しい治療法の開発を目指し、いくつかのプロジェクトを展開中です。1:
NAFLD/NASH患者の食事・運動などの生活習慣のアンケート調査を施行中です(公衆衛生学教室と共同研究)。2: NASH新しい動物モデルを作製し鉄の沈着機構や線維化の解析を続けています(器官構築形態学との共同研究)。3:
肝生検の組織を用いて肝細胞脂肪化のメカニズムを検討中です。4: 循環器内科・内分泌内科・病理学教室と共同でNAFLD/NASHを全身の動脈硬化性疾患として捉え広く検討する計画が進行中です。
● 肝線維化のメカニズム解析
慢性肝炎や肝硬変になると何故肝臓にコラーゲンが沈着して固くなるのか、また、固くなった肝臓が元通りに戻るのかについてはまだまだ不明な点が残っています。ビタミンAを貯蔵する「星細胞」の研究を通じてこの難問に取り組み、若々しい臓器の維持を可能にする研究を続けています。
我々の目標としては、肝胆膵疾患に関するエビデンスを一つでも多く世界に向けて発信することであり、この目標を達成するために国内外の複数の研究施設と共同研究を積極的に行っています。
共同研究施設
兵庫医科大学内科学 肝胆膵科 西口修平教授
兵庫医科大学病原微生物学 筒井ひろ子教授
大阪市立大学大学院生活科学研究科 栄養医科学 羽生大記教授
広島大学大学院理学研究科 発生生物学 吉里勝利教授
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