大阪市立大学 大学院医学研究科 泌尿器病態学

ロボット支援前立腺全摘除術

はじめに

前立腺癌に対する低侵襲性手術として、当科ではこれまでにミニマム創前立腺全摘除術(下腹部6〜7cmの傷から手術する)や腹腔鏡下前立腺全摘除術(下腹部に5個の1〜1.5cm程度の傷からポートと呼ばれる筒状の器具を留置して手術する)を積極的に行っております。この分野の新しい手術として、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術が2012年4月から保険診療対象手術となり国内においても急速に広まってきております。
この度当科では、最新式のロボット支援手術装置であるダヴィンチSiを導入し、2014年4月より手術開始しております。現在当科には、日本泌尿器内視鏡学会および日本内視鏡外科学会が認定している腹腔鏡手術技術認定医が8名在籍しており、常に安全かつ正確な手術操作を行っており、今後もその経験をロボット支援手術に生かしていく方針であります。

ロボット手術とは

ロボット手術と言いましても、ロボットが外科医の代わりに手術をするのではなく、遠隔操作型の内視鏡手術支援装置であるダヴィンチが外科医の行う腹腔鏡手術を技術的にサポートします。ダヴィンチ手術システムとしては、写真に示しますように遠隔操作で作動するロボットアームおよび手術器具からなる本体と、コンソールと呼ばれる手術を行う外科医が内視鏡画面を見ながら操作を行う操縦席のような部位から成り立っています。

ロボット手術の有用性

まず腹腔鏡下手術の利点としては、内視鏡による拡大された視野による正確な手術操作、出血量の低減、傷口が小さいため術後回復が早いなどが挙げられますが、最新型ダヴィンチSiを使用したロボット手術では、(1)ハイビジョン3Dモニターにより、より精密な立体観察が可能(通常の腹腔鏡下手術は2Dによる観察のみ)になり、(2)コンソール内での術者の手首の動きを正確に手術器具に再現できることにより、従来の腹腔鏡下手術では困難な手術操作が可能になっています。したがって、前立腺癌の癌制御性の向上をはじめ術後の尿禁制や性機能(勃起能)の確保に貢献することが期待されます。
すでに国内外問わず、ロボット支援前立腺全摘除術の他の術式(開腹前立腺全摘除術および腹腔鏡下前立腺全摘除術)より秀でた治療成績が数多く報告されています。

ロボット手術の実際

1.手術は全身麻酔下に頭の位置が床に対して約30度の低位の角度で行います。したがって、重度の心臓疾患や脳血管障害、また緑内障などの既往のある方は適応が困難な場合もあります。

前立腺ガン 総患者数 2.図のように臍周囲から下腹部にかけて合計6か所の0.5〜2.0cm程度の皮膚切開を置き、ポートと呼ばれる筒状の器具を使用してロボット専用手術器具により手術を行います。
3.前立腺を摘出後は、術前の前立腺癌の悪性度(PSA値や生検検体の病理結果など)により、リンパ節転移の有無を検討するために、前立腺周囲のリンパ節を摘出します。

4.前立腺周囲の構造物の温存と再建を可能な限り行い、切離された膀胱と尿道をつなぎ合わせます。

5.手術後は、尿を膀胱から取り出す管(尿道バルーンカテーテル)を尿道から膀胱に留置した状態ですが、手術後約1週間ほどで造影検査を行い、膀胱と尿道が漏れなく繋がっていることを確認できればカテーテルを抜きます。順調に回復されれば、入院期間は約2週間となります。

治療にかかる費用

ロボット支援前立腺全摘除術は保険適応であり、自己負担額が高額医療申請できる金額であれば上限以上は返金されます。最終的な自己負担額は年齢により変わってきますので、ご不明な点などありましたら、受診時にお問い合わせください。

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