大阪市立大学 大学院医学研究科 泌尿器病態学

専門外来の案内と紹介

【腎不全・ブラッドアクセス外来】

腎不全外来では血尿,蛋白尿という初期の段階から,透析療法,透析関連の合併症に至るまで,幅広くサポートしております。
さらに,腎不全以外にも特殊血液浄化を実施しております。

1) 保存期末期慢性腎不全

末期慢性腎不全で透析療法を受けておられる患者は日本全国で約29万人を超えており,大阪府下でも2010年末で21,000人を超えています。糖尿病や高齢化に伴い,その患者数は依然毎年増加傾向にあります。
当腎不全外来では慢性腎不全患者を対象に,血尿や蛋白尿を有する保存期(腎不全初期)の食事療法や薬物療法を積極的に行っております。さらに,この時期から出現する腎性貧血や高血圧,二次性副甲状腺機能亢進症の内科的治療も行っています。
また,腎不全が進行し,透析療法が必要になった際にも,血液透析(HD)や腹膜透析(PD),腎移植(TX)の各治療法について十分に説明し,治療を行っております。HDは入院ないしは外来導入を行っており,状態が安定すれば透析専門クリニックへの紹介も行っております。

2) バスキュラーアクセス(シャント)

バスキュラーアクセス(シャント)とは透析療法が必要になり,患者さんがHDを選択される場合に必要になってくる手術です。バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)には自己血管で行う内シャントや人工血管を利用するグラフトアクセス,カテーテル留置や動脈表在化術なども行っております。代表的な内シャントの方法や成績は別紙をご覧ください。 また,血管の閉塞や狭窄(アクセストラブル)に対する治療も積極的に行っており,外科的手術だけではなく,カテーテルを利用したインターベンション治療も行っています。ほとんどの手術は「日帰り手術」でい→行っており,毎週木曜日の午後が手術日となっています。

3) 腹膜透析(CAPD,PD)

治療法で腹膜透析を選択される場合の手術や,術後の管理などを行っております。HDとは違い,お腹にカテーテルを挿入するため,この手術は1~2週間の入院が必要となります。また,液の交換や日常管理は患者さんが中心となるために,患者指導についても導入前からこの外来で行っています。カテーテルケアについては専門看護師による指導が中心になります。

4) 長期透析合併症

1. 二次性副甲状腺機能亢進症に対する外科的治療

二次性副甲状腺機能亢進症は進行すると内科的には治療が困難となり,副甲状腺を外科的に摘出する必要があります。当院では年間20例以上の副甲状腺の摘出術を行っており,術後のカルシウム,リン管理などもこの外来で指導しております。

2. アミロイド骨関節症(手根管症候群,ばね指)

透析療法が長期化してくるとアミロイド線維が骨関節を中心に蓄積してきます。特に手根管症候群,ばね指はADLを損なうため,その外科的治療を行っております。手術方法や成績は別紙を参考にしてください。さらに,肩関節や膝関節に蓄積し,機能障害をきたした場合は関節内薬物注入などの治療も行っております。

5) 特殊血液浄化法

腎不全以外にも血液浄化が必要な病態が存在します.劇症肝炎や自己免疫性疾患に対する血漿交換療法や免疫疾患に対する免疫吸着療法,血液型不適合移植に対する二重濾過療法,高コレステロール血症や閉塞性動脈硬化症に対するLDLアフェレーシス,潰瘍性大腸炎や慢性関節リウマチに対する白血球除去療法などの特殊血液浄化を行っています。
  このように腎不全に対するHD,HDF,HF,CHD,CHDF以外の血液浄化法も積極的に行っており,対象患者さんは腎不全患者のみならず,多岐に渡っています。
(担当:武本佳昭・長沼俊秀)

担当:武本佳昭長沼俊秀

(内シャント手術について)
【手術目的】

血液透析施行のための血管の手術です。血液透析は1分間に約200mlの血液を処理します。実際,血液透析施行時は血管にかなり太い目の針を刺す必要があり,これから長期に渡って針を刺す必要があります。
血流が十分な動脈に直接針を刺しても血液は十分に取れるのですが,刺し続けるのは困難であるため,点滴と同じように静脈に針を刺します。
しかし,今の状態では十分な血液が処理できないので,静脈にたくさんの血液が流れるような手術を施します。

【手術方法】

局所麻酔を(前腕・肘関節部・上腕)に約10ml程度行います。皮膚を約(2(ないし3~4)cm横に切開し,静脈と動脈を周囲組織から剥離します。静脈に生理食塩水を注入し,血液の流れを確認します。
このとき,同時に血管を拡張させますので,多少痛みを伴います。
また,血管に狭窄が存在し,非常に細い場合はカテーテルを挿入して血管を拡張させます。
この場合,肩や上腕部の血管も拡張させます。麻酔は効きませんので,多くの場合苦痛を伴う痛みが出ます。
しかし,非常に短時間であるため,患者さんには我慢していただいております。このあと,血管に穴(約7~8mm)をあけ,髪の毛程度の糸で動脈と静脈を吻合します。血流を再開通させ,動脈の血液が静脈に流れた場合成功ですが,流れが十分でない場合はヘパリンという血栓予防のためのお薬を注射し,患部をもみほぐして血流をよくする処置が必要になります(特に痛みなどはありません)。
流れが十分あれば皮膚を閉じて手術は終了です。
この時点で血流不良が確認された場合,もう一度切開部分の糸をはずし,血流を確認する処置(生理食塩水を入れたり,カテーテルを挿入したりという痛みを伴う処置)が必要になることがあります。
手術時間は30分前後です。

【手術の合併症】

局所麻酔の合併症はアナフィラキシーショックや血圧低下などです。これまで,何千例も手術をしておりますが,アナフィラキシーショックというひどい状態になった患者さんはおられません。血圧低下は麻酔量にもよりますが,通常20ml以下ですので,100人に1人程度で出現する可能性があります。

手術の合併症は出血と感染です。出血は非常に少量であるため,これまで問題になったことはありません。当然輸血を施す必要はありません。その他,神経障害が出る場合があります。これは皮膚を横に切るため,皮下に走る細い神経を切ってしまうことがあるためです。
皮膚切開から先の部分の知覚消失や鈍麻,異常知覚などが出現する可能性があります。しかし,末梢神経であるため,時間経過とともに軽快し,1年以内には神経症状もなくなります。

【手術成績】

この手術の場合,当院での成功率はこれまでの成績では97.3%です(1ヶ月以内の閉塞を失敗とした場合)。しかし,血管の状態つまり動脈硬化や非常に細い場合などはもう少し成績が落ちます。ただし,血管は生ものですので,透析を開始してからも穿刺や血圧の変動などで狭窄や閉塞が生じ,再手術や血管拡張術が必要になる患者さんも多いのが現状です。1回の手術で一生使用できる患者さんもおられますが,まれであり,1年の開存率は85.6%,3年75%,5年67.5%,10年52.2%となっています(いずれも当院の成績)。

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