教室紹介
■はじめに
当教室の歴史は、皮膚泌尿器科学教室として大阪市立医学専門学校に開設された昭和18年に遡ることが出来ますが、泌尿器科学専攻の教室としては昭和38年、故 田村峯雄名誉教授による開講に始まりました。昭和48年には前川正信名誉教授が第2代教授として、平成4年には岸本武利名誉教授が第3代教授として、そして平成15年より仲谷達也教授が第4代教授に就任され現在に至っています。
開設当時の8名という人員に比べ医局員は飛躍的に増え、平成16年11月現在大学には、仲谷達也教授以下、教員10名、研究医3名、研修医3名、大学院生9名、実験助手・秘書7名が在籍し、27の関連施設に76名の医局員が勤務しています。また教室出身で開業された先生は20名を越えています。
泌尿器科診療の大きな柱の1つは腎機能の保全です。教室開設当初より、腎機能の保全および機能廃絶後の腎不全治療にも力を注ぎ、人工透析の導入、人工腎室の設立を行いました。現在人工腎室は武本准教授が中心となって運営しています。
他方、腎不全治療のもう一つの柱である腎移植も平成16年11月末現在で、生体腎移植80例、献腎移植61例を施行し、5年生存率はそれぞれ100%、97%、5年生着率はそれぞれ84.6%、71.7%の良好な成績を得ています。腎移植は関連施設である大阪市立総合医療センターでも実施し、年間10例以上に移植を行っています。
泌尿器科悪性腫瘍の中でも頻度の高い膀胱癌は1984年から2004年までの21年間に254例に対し膀胱全摘除術を施行しています。尿路再建の方法として、回腸を利用した自然排尿型尿路変向か回腸導管造設術を主に用いています。
進行した膀胱癌症例にはシスプラチンを中心とした従来の化学療法以外に、最近は従来の化学療法に抵抗性を示す症例に対しては新規の抗癌剤であるタキサン系を中心とした治療も行っています。
また局所浸潤癌では膀胱周囲の動脈にカテーテルを留置しておき、そこより抗癌剤を投与する動脈内注入療法も積極的に行っており、同時に放射線を併用することにより膀胱温存する治療も行っています。
現在、泌尿器科領域で特に注目を集めている臓器のひとつは前立腺です。前立腺癌に関しては、腫瘍マーカーであるPSAの開発とそれによる早期発見から、前立腺全摘除術が予後を改善させる可能性があり、最近の学会でもよく取り上げられています。以前には前立腺癌が診断される時点で遠隔転移を有する症例が多数を占めていましたが、PSAが前立腺癌の診断に高い有用性を示すことは泌尿器科医以外にもよく知られ、健康診断においても検査項目として採用されることも多く、また国民の関心が高くなったのも手術可能症例が増えた大きな原因と考えられます。当科においても前立腺全摘除術手術症例が増えており、2004年11月までで113例施行されており(この5年間では90例)、予後の改善に役立っていると考えています。
手術の方法に関しても、前立腺周囲の詳細な解剖がわかるにつれ合併症が少なく安全に行われるようになってきています。最近では前立腺周囲の脂肪織も含めやや広汎に前立腺を摘出する広汎前立腺全摘除術を施行しており、その効果を検討中です。
転移を有する前立腺癌もまだまだ多くにみられ、そのような症例にはホルモン療法が行われます。しかしホルモン療法は効果持続期間が限られており、ホルモン抵抗性癌には有効な治療法が乏しいのが現状です。当科ではこのような癌に対しても患者さん個々の状態にあわせて治療を実施しています。
新しい手術手技として最近注目を集めているのが腹腔鏡を用いた手術です。体に小さな穴をあけそこから鉗子などを挿入し臓器を摘出するというものです。一般の開腹手術に比べ、術後の回復が早いこと、疼痛が軽いことなどが長所で、当科でも主に副腎、腎臓の摘出手術に対して行っています。この2年間で50例以上の手術を施行しており、重篤な合併症もなく安全に施行しています。
General urology において特筆すべき点は、尿路結石に対する非侵襲的治療法である体外衝撃波結石破砕術(ESWL: Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy)の導入であります。大学病院としてわが国で最初に大阪市立大学医学部附属病院に独ドルニエ社製Kidney Lithotripter HM3が導入され昭和60年7月より治療を開始しました。そして現在までに8000名以上の腎、尿管結石の治療実績を有しています。
尿失禁、神経性の排尿困難などは高齢化に伴い患者数が増加する傾向にあります。当科では専門外来をもうけ、各種検査を施行し治療を行っています。尿失禁に対して最近はTVT手術を行っており、安全にかつ簡便に治療が受けられるようになっています。また、女性の患者さんも気軽に相談できるよう女性泌尿器科医師の診察も行っています。
■診療分野
- ・一般泌尿器科
- ・腎移植
- ・透析治療およびその合併症(二次性上皮小体機能亢進症など)
- ・アンドロロジー(性機能障害・男性不妊)
- ・神経因性膀胱
■臨床研究
泌尿器科腫瘍学 腎移植学 人工臓器学
■基礎研究
- 分子泌尿器科 遺伝子治療 薬剤性腎障害(薬理と共同研究)
- 尿路結石の発生機序膀胱発癌機構の研究
- 腎癌における腫瘍免疫透析液及び透析液の生体適合性
- 移植免疫 透析患者におけるToll-like receptor (TLR)の研究ついて






