大阪公立大学大学院医学研究科 脳神経外科学教室

(旧 大阪市立大学)

三叉神経痛
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基本的な情報

概要

 三叉神経は脳幹から出る脳神経の一つで、顔面の感覚と咀嚼運動を担当しています。この神経が脳幹を出たすぐのところで、脳血管により圧迫を受けることで、耐え難い顔面の痛みが生じます。また脳腫瘍で生じることもあります。食事の際、洗顔時、冷気にあたったときなどに、短期間の激しい痛みが顔面に走ります。誤診で歯を抜くこともあります。命を落とす病気ではありませんが、痛みが強くなると日常性に大変な障害を起こします。

治療方針

  • 保存的治療:まず鎮痛剤を投与して経過を見ます。またブロック注射をすることもあります。これらの治療により経過を観察できる場合もあります。上記の保存的治療が無効の時、薬剤による合併症が出た場合には、手術を検討します。
  • 手術治療:三叉神経への圧迫を解除します。そのためには、全身麻酔による開頭術が必要となります。(1)脳血管と顔面神経との間に特殊な人工補綴物を挿入して血管を浮かせる方法(挿入法)と、(2)脳血管を直接移動させる方法(吊り上げ移動法)とがあります。手術しないで放置した場合、痛みが改善することはありません。著効例では術直後から痛みは消失します。手術治療では、開頭術に伴う合併症発生の危険が伴います。当科では、手術適応について患者さまと十分に相談し、適応があると判断されたときは安全確実な手術治療を行っています。

さらに詳しく知りたい方へ

顔面痙攣や三叉神経痛の再発とその予防

顔面痙攣や三叉神経痛に対する神経血管減圧術の手術後に、一旦改善した症状が再発することが知られています。患者さまも担当医師もがっかりします。この再発は、血管と神経との間に直接人工補綴物を挿入した場合(挿入法)に生じやすいことが知られています。この手術方法では、挿入した人工補綴物が経時的に変形・癒着し、血管の圧が再び神経に加わるようになるため再発します。現在、理想的とされている手術は、圧迫している血管を吊り上げて移動させる、吊り上げ移動法です。この方法では、神経には何も接しないため、癒着も生じようがなく、再発の可能性は極めて低いものになります。しかし、この手術には高度な技術が必要です。当施設では、三叉神経痛ではほぼ全例に、顔面痙攣には安全にできうる限り、この理想的な手術を行っています。

<吊り上げ移動法>