糖質の機能

 炭水化物(carbohydrate)は、糖質とも呼ばれます。糖質の主な機能は、エネルギーの産生です。エネルギー源として使われず、余ったグルコースは、貯蓄に回されますが、グリコーゲンもしくは脂肪に転換して貯蓄されます。

糖質の種類

 単糖類(monosaccharide)、二糖類(disaccharide)、多糖類(polysaccharide)に大別されます。

糖質の代謝

 重要な代謝は、解糖系 ⇒ TCAサイクル ⇒ 電子伝達系の流れです。

解糖系

 解糖系はグルコースを分解してエネルギーを産生する最初のステップです。食事由来のグルコース以外の単糖(フルクトースやガラクトース)もほとんどがグルコースに変換され、この系に投入されます。ここでいうエネルギーの産生とは、核酸としても使用されるATPを生み出すことです。ATPは高エネルギー物質であり、えねるーの通貨とも呼ばれます。グルコース1モルから、2モルのATPを利用して、4モルのATPを生み出します。今の説明でお分かりの通り、エネルギーを獲得するために、投資として少しのエネルギーが必要になります。解糖系では、実質4-2=2モルのATPを得たことになります。嫌気(酸素がない)状態では、最終的に、酸もしくはアルコールを産生して終わります。好気(酸素がある)状態では、ピルビン酸から、次のTCAサイクルに回されます。

TCAサイクル

 TCAは、トリカルボン酸の略です。クエン酸回路やKrebs回路とも呼ばれます。ピルビン酸からアセチルCoAに変換されたのち、オキサロ酢酸と反応して、クエン酸などを経て、オキサロ酢酸になります。オキサロ酢酸は、最初のステップで再度リサイクルされます。このサイクルでさらに2モルのATPを獲得します。また、このサイクルでは、NADH2と呼ばれる高エネルギー物質も産生されます。これが、次の電子伝達系に利用されます。

電子伝達系

 NADH2は、NADに変換されますが、チトクロームと呼ばれる酵素の力で、最終的に34モルのATPを生み出します。この反応は、チトクロームによる反応が鎖のようにつながっていることから、呼吸鎖とも呼ばれます。
 最終的に1分子のグルコースは、解糖系で得られた2モル、TCAサイクルで得られた2モル、電子伝達系で得られた34モル、併せて38モルのATPが生み出されます。最初の投資が2モルのATPでしたから、投資額の19倍のエネルギーが得られたことになります。