感染症とは直接関係ないが、赤血球関連の数値(赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット)と血小板数は常識として知っておいた方が良い部分のみ説明しておく。 赤血球は、血球の中でも最も多い血液の細胞である。ご存知の通り、酸素を運搬する細胞である。赤血球数の正常値は400万で覚えると覚えやすい。男性では500万くらいまで正常であり、400万だとやや低めであるが、覚えるのに都合のよい数値である。300万だと明らかに低いが、女性の場合には、ときどきある。
 ヘモグロビンは、赤血球中に含まれる赤い色素で、別名、血色素とも呼ばれる。ヘモグロビンは12g/dLで覚えると良い。赤血球数とほぼ比例し、赤血球が400万の時は12、500万の時は15である。ただし、鉄欠乏性貧血などでは、赤血球数の割にヘモグロビンが低い場合もあるし、葉酸欠乏による貧血では、赤血球の割にヘモグロビンが高い場合もある。
 ヘマトクリットとは血液に占める血球の割合である。血球全て(白血球、赤血球、血小板)の割合であるが、99%以上は赤血球であることから、血液における赤血球の割合といっても過言ではない。ヘマトクリットの正常値は40%で覚えると良い。赤血球数とほぼ比例し(当然ヘモグロビンとも比例)、赤血球数400万の時は40、500万の時は50である。ただし、ヘモグロビンと同様、病態によって比例しないことがある。
 血小板は、赤血球の次に多い血球であるが、最も小さい血球であるため、ヘマトクリットにはほぼ寄与しない。正常値は20万で覚えると良い(正常では20万?40万程度である)。ご存知の通り、出血を止める役割(止血)があり、減少すると止血しにくくなる。10万以下は明らかに低いが、これくらいでは症状は明らかではない。5万を下回ると出血症状が出やすいと言われている。また、1万を下回る場合には血小板の輸血がほぼ必須になってくる。

*赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットから算出可能な数値として、平均赤血球容量(MCV)、平均ヘモグロビン量(MCH)、平均ヘモグロビン濃度(MCHC)がある。MCVは、ヘマトクリットを赤血球数で除した値であり、赤血球1個の容積の平均値と考えて良い。MCHは、ヘモグロビンを赤血球数で除した値であり、赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビン量の平均値と考えて良い。MCHCは、ヘモグロビンをヘマトクリットで除した値であり、ヘモグロビンの濃度の平均値と考えて良い。MCVの正常値はおよそ100で、MCHおよびMCHCの正常値は30で覚えると理解しやすい。