今回はカテコラミンcatecholanineの話。 カテコラミンは、アドレナリンadrenaline、ノルアドレナリンnoradrenaline、ドパミンdopmineなど、交感神経系の神経伝達物質である。副腎adrenal glandからも産生される。アドレナリンのネーミングはご想像の通りである。
   ちなみに、ad-は上という意味の接頭語で、-renalは腎臓の形容詞形である。レニンreninというホルモンは腎臓から分泌されることに由来する。アドレナリンは、エピネフリンepinephrineとも呼ばれる。epi-も上という意味の接頭語で、nephrineは腎臓に由来する言葉である。ちなみのちなみに、ネフローゼnephrosisという言葉も、腎臓疾患である。また、nephrinは腎臓の機能に重要な蛋白の一つである。
   カテコラミンに戻ろう。カテコールcatecholとアミンamineである。アミンは前回出てきたアミノ基。合成経路を見ると、まず最初にフェニルアラニンphenylalanineがあって、そこからチロシンtyrosineが合成され、次にDOPA、ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンへと進む。通常はアドレナリンが最終産物である。 カテコールは、語尾が-olなので、アルコールalcohol類っぽいが、フェノールphenol類の一種である(ま、似たようなものだが)。フェノールはベンゼン環にヒドロキシhydroxyl基(-OH)が一つだが、カテコールはヒドロキシ基が2つ隣あっている。ポリフェノールpolyphenolに含まれる単位の一つである。カテコールのcate-は、ポリフェノールとして有名なカテキンcatechinに由来する。
   カテキンは、殺菌効果もあるので、「勝て!菌に!」という意味・・・ではなくて、インドに産するマメ科アカシア属の低木ペグノキ、カテチューcatechuに由来する。ようやく今回の旅も行き止まり。
   カテコラミンは、戦闘態勢でも分泌される。「勝て、コラ、みんな」、という意味ではもちろんないが、カラダの応援団なんだなあ。 学生の頃、生化学苦手だったが、こうやって自分で調べてみると意外に面白いかも、、、