学域名 | 感覚・運動機能医学講座 皮膚病態学 (英語表記)Dermatology |
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代表者 |
![]() 教授 鶴田 大輔
- Daisuke Tsuruta
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場所 | 学舎 11階 |
連絡先 |
TEL:06-6645-3826 MAIL:dtsuruta@med.osaka-cu.ac.jp |
ホームページ |
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/Derma/ ![]() |
概要 |
当講座は2013年に開設50周年を迎えました。これまでに同門の先生方が残された知見を深めるだけでなく、全く新規の診断法や治療法の開発にも力を注いでいます。すべての皮膚疾患を対象に診断、治療、研究を行っておりますが、特に水疱症、白斑症、アレルギー性疾患、悪性腫瘍、乾癬、脱毛症にエキスパートがいます。 研究面では、大きく分けて4つの研究グループが中心になって活動しており、いずれの研究グループも各分野における先進的な課題に取り組み、将来的な臨床への応用を目標に精力的に研究を行っております。具体的には (1)自己免疫性水疱症の病態解明と治療法の開発、 (2)白皮症・白斑の病態解明と治療法の開発、 (3)発毛のメカニズムに関しての研究および新規脱毛治療薬、発毛促進剤の開発、 (4)光線力学療法 (PDT)による感染症治療の研究 を行っております。 さらには内因性の神経内分泌機構が難治性のアレルギー性疾患や乾癬の病態にどのように関与しているかの研究も開始しています。 上述した臨床に直結する研究を行うことにより、病態解明だけでなく、その研究成果に基づいた難治性皮膚疾患に対する新規治療法や診断法を開発し、少しでも患者さまの診断、治療に貢献することをモットーとしています。 |
概要 | 自己免疫性水疱症、中でも水疱性類天疱瘡と粘膜類天疱瘡の発症機序の解明が現在の大きなテーマです。また自己免疫性水疱症で侵される分子群の遺伝子異常、表皮水疱症の研究も行なっています。これらの疾患では「ヘミデスモゾーム」あるいは「フォーカルコンタクト」という表皮真皮境界部に存在する分子が、「自己抗体」で破壊されたり、「遺伝子異常」によってその構造異常が起こった結果、体の様々な部位で水疱が形成される疾患です。 これらの分子は相互に機能し合い、表皮の恒常性を保っていることを、我々は過去に報告しました。現在は、表皮角化細胞の中にGFP結合ヘミデスモゾームタンパク分子やフォーカルコンタクトタンパク分子を遺伝子導入して、これらの分子の動態を患者自己抗体の存在下、非存在下にLive cell imagingで解明する研究を行っております。最近の研究で非補体経路という新規水疱性類天疱瘡と粘膜類天疱瘡の発症機序を解明することができました。 |
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概要 | 毛はその一本一本が毛周期(hair cycle)というサイクルにしたがって、毛が伸長する成長期、退縮する退縮期、成長が止まった状態である休止期を繰り返す、非常にユニークな臓器です。一度休止期を迎えた毛は、また成長期に入り伸長していくというダイナミックな動きを何度も繰り返します。このダイナミックな動きを制御する分子として、我々はラミニン-332、と-511が重要であることを発見し、報告しました。これらの分子は表皮と真皮の境界部に存在する基底膜を構成し、ヒトの皮膚構造を正常に保つのに重要な役割を担っていますが、その発現をコントロールするメカニズムに関しては、まだ解明されていません。もしこの2つのラミニンの発現を薬剤等で自由にコントロールすることができれば、我々は毛の成長もコントロールすることが出来るのではと考えております。これらに関して現在研究中です。 |
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概要 | 肥満細胞は内部にヒスタミンや様々な種類の成長因子、ケモカイン、プロテアーゼなどの物質を含んでおり、アレルギー反応などにおいて重要な役割を担う細胞です。我々は、体内に存在する(内因性)神経内分泌分子であるCRHやカンナビノイドが毛を含めた皮膚の肥満細胞の脱顆粒やその分化に影響を与える重要な因子であることを過去に報告しました。近年我々はさらにこのテーマを広げて、内因性カンナビノイドがヒトの鼻粘膜の肥満細胞も制御することを報告しました。これらの結果はヒトの体内には肥満細胞を活性化したり、逆にそれらが増えすぎたり、活性化しすぎたりしないようにする機構が備わっていることを示唆します。現在はこのメカニズムをさらに解明する研究を行うだけでなく、肥満細胞を制御する他の内因性因子に関しても研究を進めています。 |
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概要 | 眼皮膚白皮症の1型であるOCA1A型はチロシナーゼ遺伝子異常により、メラニン合成が認められない疾患です。同疾患では白髪および、重症の視力障害がよく知られています。いくつかのミスセンス変異がチロシナーゼ遺伝子に起こっていることが分かっていますが、その結果チロシナーゼ蛋白がmisfoldingを起こしていることが知られています。misfoldingを起こしたチロシナーゼはメラノソームに輸送されることができず、小胞体にとどまっていることがわかっています。 最近Gaucher病などのリソゾーム病で、ケミカルシャペロン療法が試みられつつあります。ケミカルシャペロンは、小胞体内でのmisfolding をおこした変異タンパク質を正常蛋白と同じようにfoldingさせる働きをする小さな化合物です。我々はいくつかのケミカルシャペロン効果を有するとされる候補化合物がメラニン合成を復活させることが出来るかどうかについての基礎実験を行っています。 |
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概要 | 皮膚潰瘍や全身熱傷などでは、創部にMRSAが感染し、感染のコントロールが不良な場合、敗血症となり死亡する可能性もあります。通常の細菌感染は抗生物質の投与などでコントロールが可能ですが、MRSAは多剤耐性を獲得しており、通常の抗生物質は効果がありません。現在、MRSAに有効な抗生物質が日本には数種類ありますが、乱用すればその抗生物質に対する耐性をMRSAがさらに獲得する可能性があるため、使用には十分な注意が必要な状況です。これらの問題を解決するために、我々は光線力学療法 (PDT)で感染症を治療することを目標に研究を行っています。PDTとは、生体内に光感受性物質を注入し、標的となる生体組織に、ある特定の波長の光を照射して光感受性物質から活性酸素を生じさせることで、癌や感染症などの病巣を治療する術式全般のことを示します。細菌に対して抗生物質とは全く異なった機序で殺菌するので、耐性菌は生じないとされています。我々は近年この方法を用いて実際にMRSA感染症を治癒することができることをマウスを用いて証明しました。PDTを用いた治療法が他の感染症にも応用できるのかの研究を現在行っております。 |
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教授 | 鶴田 大輔 |
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准教授 | 菅原 弘二 、小澤 俊幸 |
講師 | 立石 千晴 |
助教 | 岩城 佳子 、夏見 亜希 、大村 玲奈 |