呼吸器内科学
- Respiratory Medicine
基本情報
学域名 |
臓器器官病態内科学講座 呼吸器内科学 (英語表記)Respiratory Medicine
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代表者 |
教授
川口 知哉
- Tomoya
Kawaguchi
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場所 |
学舎17階 |
連絡先 |
TEL:06-6645-3916
MAIL:kokyuki@med.osaka-cu.ac.jp
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ホームページ |
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/kokyuki/
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概要 |
当科の母体である大阪市立大学第一内科学講座は、初代、小田俊郎教授のもと1948年6月に阿倍野の地に産声をあげました。当時の専門分野は体育医学、熱帯医学とその関連領域であり、その後、第二代、塩田憲三教授を迎えて感染症学を含めた呼吸器病学が専門に加えられ、その伝統が脈々と引き継がれることとなり、呼吸器病学の臨床および基礎研究において大きな成果をあげて参りました。2000年4月に大阪市立大学大学院の大学院重点化により、「大阪市立大学大学院医学系研究科呼吸器病態制御内科学」が設置されました。それに伴い、2006年10月に呼吸器内科初代教授として平田一人が着任し、2013年4月に正式名称を「呼吸器内科学」に改めました。2018年4月より川口知哉が後任として着任しております。
現在も、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など炎症性肺疾患の病態解明のため、臨床的・基礎的研究に精力的に取り組んでいます。腫瘍分野では最新の抗がん剤を用いた標準的肺がん治療に加え、併用療法などの新規治療開発のための臨床研究、治験に取り組んでいます。人口の高齢化と疾病構造の変化により、COPD、肺がん、肺炎、結核などの呼吸器疾患は本邦の死因の上位を占めるようになっております。関連診療科と協力の下、皆さんの健康に寄与できるよう全力で取り組んでまいります。 |
教育方針
学部教育
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学部教育(卒前教育)では、4回生以降の臨床医学を担当しています。臓器別講義として、「呼吸器」を主宰しており、実習としては、診断学実習及び臨床実習(クリニカルクラークシップ)を担当しています。
臨床教育(研修医の育成)
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卒後前期臨床研修では、呼吸器内科独自の研修経験目標を設定して、担当医として、上級医とマンツーマンで患者診療にあたります。医師として必要な基本的診療手技やプレゼンテーション能力、コミュニケーション能力の強化に加えて、特に呼吸器内科で経験が望まれる肺癌診療や呼吸不全のマネージメントなども、積極的に研修に取り入れています。
また、後期臨床研修では、医師に必要な基本的診療手技や患者対応をブラッシュアップするために主治医として研修を行っています。呼吸器内科医に必要な気管支鏡などの技術や、肺癌患者の包括的診療から呼吸不全に対する対応と人工呼吸器に至るまで、さまざまな経験を積むことができ、大学病院に特長的な治験や臨床試験にも触れることができます。さらに、専門医取得に必要な学会発表、論文執筆等の機会も設け、キャリア形成を支援しています。
研究指導
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主として、後期臨床研修修了後に大学院への受け入れをおこなっています。大学院生は、教授以下教員の指導のもと実験計画、実験手技の基本から学びます。研究成果は積極的にアメリカ、ヨーロッパ等の国際学会で発表しています。
大学院修了後も研究分野での研鑽を積まれる場合、海外での研究留学も勧奨しています。これまで、当科から欧米の施設への留学実績があり、具体的には、ピッツバーグ大学(米国)、クリーブランドクリニック(米国)、ダナファーバーがん研究所(米国)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(米国)、カリフォルニア大学デイビス校(米国)、NIH(米国)、シドニー大学(豪州)、サザンプトン大学(英国)、シャーブルック大学(カナダ)、マギル大学(カナダ)などの施設を紹介させていただくことも可能です。
研究について
当科は臨床医学の教室であり、臨床からかけ離れた「研究のための研究」ではなく、臨床に還元可能な「患者のための研究」を旨としています。臨床上の未解決な問題を解決したい、未解明な病因・病態を解明したいという探究心から研究は始まります。よって、動物モデルだけではなく、臨床研究や臨床検体を用いた研究も重視しており、肺機能検査、心肺運動負荷検査などの臨床検査や患者の診療にあたりながら研究をすすめています。
教室を代表する業績
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1)
当科で行った第二相臨床試験の成果をもとに、「カルボプラチン+ドセタキセル」が、高齢者進行肺がんに対する標準治療の一つとなっています。
Yoshimura N, Kudoh S, Kimura T, Mitsuoka S, et al.
Phase II study of docetaxel and carboplatin in
elderly patients with advanced non-small cell lung
cancer. J Thorac Oncol. 4(3):371-5. 2009
- 2)
気管支喘息において、血管新生因子と血管新生因子による血管透過性が重要な役割を果たしている事を初めて報告しました。
Kanazawa H, Nomura S, Yoshikawa J. Role of
microvascular permeability on physiologic
differences in asthma and eosinophilic bronchitis.
Am J Respir Crit Care Med. 169(10):1125-30. 2004
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3) 気管支喘息気道炎症において、細胞内タンパク質HMGB1(High Mobility Group
Box 1)が重要な役割を果たしている事を初めて報告しました。
Watanabe T, Asai
K, Fujimoto H, et al. Increased levels of HMGB-1 and
endogenous secretory RAGE in induced sputum from
asthmatic patients. Respir Med. 105(4):519-25. 2011
主な研究内容
現在の主な研究テーマ
概要 |
気管支鏡検査下に閉塞性肺疾患患者から気道上皮を採取して培養を行い、気道炎症、アポトーシス(細胞死)に関する研究を行っています。酸化ストレスとその防御因子に係る不均衡について検討しています。患者由来臨床検体を用いることにより、気管支喘息、COPD等の閉塞性肺疾患の真の病態に迫る研究を目指しています。 |
概要 |
抗がん剤治療が主体となる進行非小細胞肺がんに対する新規治療レジメの開発を目指し、臨床試験を行っています。また、切除肺がん標本など臨床検体から分子生物学を駆使して遺伝子変異スクリーニングを行い、治療反応性などとの関連を検討し、がん病態の解明を目指しています。 |
臨床への取り組み
呼吸器疾患は、一刻を争う急性呼吸不全などのエマージェンシー状態から、呼吸ケアやリハビリテーションを施行する慢性期まで扱う疾患範囲の広い診療科です。当科は、日本呼吸器学会、日本アレルギー学会、日本呼吸器内視鏡学会などの呼吸器関連学会の認定施設であり、また、総合内科専門医、内科指導医を多数擁して、幅広い呼吸器疾患の診断・治療に対応しています。
患者さんのQOL(Quality of Life;
生活の質)の改善を目指し、「大阪呼吸器疾患診療ネットワーク」を市中臨床医家の先生方と組織し、病診連携を推進しております。
( → 病院の診療科
http://www.hosp.med.osaka-cu.ac.jp/departments/03-kokyuki.shtml 
)
スタッフ
教授 |
川口 知哉 |
准教授 |
金澤 博、浅井 一久 |
講師 |
渡辺 徹也 |
病院講師 |
佐藤 佳奈子、中井 俊之、澤 兼士、松本 吉矢、小川 晃一、宮本 篤志 |