教育と研修

臨床遺伝学教室開設によせて

臨床遺伝学教室開設によせて

濱﨑 考史教授

 遺伝学は、遺伝子解析技術の進歩とともに急速に発展を遂げ、幅広く臨床医学に直結する医学分野となりました。また、単一遺伝子疾患に代表される希少難病が実は個々には希少であっても全体としては稀ではなく、ほとんどの人が複数の希少難病の保因者であることが明らかとなっています。一方で、遺伝性疾患と従来考えられていなかった生活習慣病が遺伝的な素因が大きく影響していたり、薬の効き方、副作用の個人差が遺伝子検査により事前に知ることができる時代となりました。がんの治療においても、臓器別の分類よりも薬の反応性に関わる遺伝子に基づく診断が臨床的に重視される場面が増えてきました。大阪市立大学附属病院では、遺伝性疾患の従来の枠組みを拡張した医療を提供することを目的とし、診療部門としてはゲノム医療センターを2019年8月より設置しています。

 このようなゲノム医療を担う人材を育成すべく、当講座では、遺伝子についての理解を基礎医学から臨床医学との垂直統合型講義を行うとともに、臓器別臨床講義を横断できる水平統合型講義も提供していきます。また、遺伝情報はあたかも生まれつきの特性であり定められた運命のように捉えがちですが、実際のところは、エピジェネティクス研究に代表されるように環境要因により影響を受け、その影響も次の世代にも受け継がれることも示されており、常に最新の医学研究の成果に基づく遺伝に関するリテラシーを身につけることができる教育を目指していきます。

大阪市立大学医学部附属病院
小児科・新生児科
教授 濱﨑 考史