院内設備

 大阪市立大学循環器内科は、大阪市民より真に信頼されうる大学病院、すなわち高度先進的医療の中核としての機能を果たしたいと考えています。CCUに関しましては2014年にリニューアルオープンし10床まで拡張できるように工事をして、現在は、6床で運営しております。CCUは大阪市民に開かれたオープンゲートというコンセプトで、24時間患者さんに対応できるように体制を作っています。改装したCCUは、オープンスペースの病室であり、一つのベッドの広さも20平方メートルとしてCCU機能として、十分スペースを取っており、あらゆる重症循環器疾患患者さんに対応できるように作られています。CCUが救急部、心臓外科との緊密な連携に基づき24時間体制で稼働していることと同時に、医師、看護師だけでなく、24時間でメディカルエンジニアも待機しています。
 心臓カテーテル室も2014年4月からリニューアルして、名前も血管内手術室と改めました。今回の工事にあたり、スペースを広く取り、もう一台の心臓専用の治療室ができるようにスペースも広げ、近い将来に二つの血管内治療室で心臓血管疾患の治療することも可能となっています。循環器内科は冠動脈疾患のカテーテル治療だけでなく大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療、具体的には、バルーン形成術や人工弁を用いるいわゆるTAVIも行っています。また、不整脈のカテーテルアブレーションは高周波によってカテーテルと接した心臓組織が温めて治療する心筋焼灼術だけでなく、液体窒素を用いた心筋組織を冷やして治療を行うクライオアブレーションなども行っています。さらに、ASDやPDAの先天性心奇形の治療も可能となっています。また、左心房細動血栓症を予防するための左心耳を閉塞する治療をカテーテルで行う予定です。今後は重症心不全に対して心臓外科の協力を得て埋め込み方左室補助人工心臓による加療なども展望したいと思います。
 このように特定の専門分野に偏することなく主要な循環器疾患の全てにバランスよく対応することにより数多くの症例の集積が可能となり、そこから我々は非侵襲的な画像診断、心エコーを用いて、さまざまな、臨床研究の成果をあげてきました。また、多数例の経食道エコーを用いて心臓疾患だけでなく大動脈硬化も詳細に検討しています。今後も一般臨床現場、実地医家の実用に耐えうる新たなエビデンスを積極的に発信していく決意です。

 

経カテーテル大動脈弁治療 (TAVI Transcatheter Aortic Valve Implantation)

■重度ASで開胸手術(AVR)が困難な患者さんに対する新しい治療法です。開胸することなく、また心臓も止めることなく、カテーテルを使って人工弁を患者さんの心臓に留置します。患者さんの体への負担が少なく、入院期間も短いのが特徴です。
■高齢のために体力が低下している患者さんや、他の疾患のリスクを持つ患者さん等が対象となる治療法です。
■大腿動脈からカテーテルを進めるTransfemoralアプローチ、血管径や蛇行などの評価により適切な血管アクセスを確保できない場合、肋間の小切開により心尖部からカテーテルを進めるTransapicalアプローチの2つのアプローチがあります。

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経皮的大動脈弁バルーン形成術 (BAV Balloon aortic valvuloplasty)

重症大動脈弁狭窄症に対する治療の標準的治療は外科的な大動脈弁置換術ですが、高齢やリスクが高く外科手術の適応とならない患者さんに対し、バルーンによる弁形成術(BAV)が1980年頃から行われてきました。
 しかしこの方法は一時的に弁口面積が増加し症状が改善する場合が多いものの、再狭窄率が高く一時完全に廃れた治療法となっていました。 しかし近年、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)という、胸を開けずにカテーテルを用いて大動脈弁を留置することができる低侵襲な治療法が開発されました。この治療法は外科手術の適応となりにくい高リスクな患者さんに対する新しい治療法として欧米を中心に急速に普及しており、2015年までに世界中で20万例以上の患者さんが治療されています。
 このTAVIの登場により、今まで忘れられていたBAVの有用性が再び見直されてきました。例えば状態が悪く(低左心機能、コントロールされていないうっ血性心不全、感染、認知症が大動脈弁狭窄症によるものかどうか不明な場合など)、このままTAVIを行いにくい患者さんに対してブリッジとしてBAVを先行させるなどの治療戦略が考えられます。このような方法を取ることにより、より安定した状態でTAVIを行ったり、BAVによりさらに全身状態が改善して結果的に外科的な弁置換術が可能となる患者さんもいらっしゃいます。また心臓外の外科手術前にBAVを行って、周術期の心血管リスクを少しでも下げてから手術を行うなどの手法もあります。当科では従来の方法である経大腿動脈アプローチに加えて、出血リスクを軽減出来る径大腿静脈アプローチでのBAVも積極的に施行しております。

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経皮的僧帽弁裂開術 (PTMC, Percutaneous Transvenous Mitral Commissurotomy)

僧帽弁狭窄症に対して心不全症状や心房細動が出現した場合に、カテーテルによる治療や外科的な心臓手術の必要があります。ただ年齢、弁の性状、心臓内血栓の存在、僧帽弁逆流症の合併・程度により、適切な治療方法を選択します。最新のガイドラインにおいて、弁形態が適していれば僧帽弁狭窄症に対する第一選択はカテーテル治療と明記されています。
カテーテルによる治療法は経皮経静脈的僧帽弁交連裂開術(PTMC)と呼ばれます。カテーテルを用いて足の動脈から直接心臓に到達し、硬くなった弁にイノウエ・バルーンという風船を運び、そこでバルーンを広げて、硬くなった僧帽弁を広げる治療です(図1)。心臓手術に比べ開胸術ではないので、患者さんの負担は少ないですが、治療が安全に行えるかどうか、術前に判断する必要があります。

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心房中隔欠損のカテーテル治療 (アンプラッツアー(Amplater)閉鎖栓)

心房中隔欠損の患者さんは、図のように左右の心房という心臓の部屋の間の壁に、生まれつき穴が空いています。この穴を通して血液が流れるために心臓の負担となり、成人になってから心不全症状が出現することや心房細動などの不整脈の合併を認めることがあります。それに対して手術により穴を塞ぐのが古くから行われてきた唯一の治療法でした。しかし最近になり胸を切らずに、足の付け根の静脈から細い管を入れて穴を塞ぐ、カテーテル治療が可能になりました。この方法は従来の外科手術よりもはるかに傷口が小さく、患者さんへの負担も少ない治療法です。

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動脈管開存症(PDA: patent ductus arteriosus)に対するカテーテル治療

動脈管開存症とは、心臓から肺へ血液を送る肺動脈と心臓から全身へ血液を送る大動脈が、細い動脈管によってつながっている疾患です。動脈管はもともと、胎児の状態では開いており、出生後自然に閉じるのが一般的です。
ところが、動脈管が生後自然に閉鎖せずに肺動脈と大動脈がつながったままの状態でいると、血圧が高い大動脈から肺動脈の方に血液が流れ込むようになってしまいます。
その結果、肺動脈に流れる血液量(肺血流量)は増加して、心不全や心臓の感染症になり易くなります。
従来、動脈管開存症に対する治療法は手術により直接閉鎖する方法しかありませんでしたが、最近になり胸を切らずに、足の付け根の静脈から細い管を入れて穴を塞ぐ、カテーテル治療が可能になりました。この方法は従来の外科手術よりもはるかに傷口が小さく、患者さんへの負担も少ない治療法です。

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心エコー<心臓超音波>検査

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心エコー検査(心臓超音波検査)は、超音波を用いて心臓の断面をリアルタイムにモニターに映し出し、心臓についてのさまざまな評価を行う検査法です。この検査の特徴は、まず第一に安全であり、副作用の心配なく繰り返しできるという点です。
 第二は、心エコー検査によれば心カテーテルのような精密検査で得られるような情報の多くがベッドサイドで得られるということです。超音波で描き出される心臓の断面から、心臓の大きさ、厚み、弁の形態といった情報が評価されるのをはじめ、ドップラー法という手術により、心臓内の血流量や圧力といった血行動態の評価も可能です。
 現在では弁膜症の術前検査として手術に必要な弁評価は、すべて心エコーで行われるようになっています。
 心臓病のなかでも特に重要な冠動脈疾患に対しては、運動負荷や薬物負荷を行い、心臓の動きに異常がないかを心エコー検査で評価することにより、近年その診断が行われるようになっています(負荷心エコー)。
 さらに最近では冠動脈の血流を計測することで、冠動脈疾患診断することも行われています。
 このように心エコー技術は日に日に進歩しており、今後ますます心臓病検診における有益な検査法として、心エコー検査は発展していくと思われます。


心臓カテーテル検査

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心臓カテーテル検査とは、心臓や血管の機能や形態を調べるために、カテーテルと呼ばれる細長いチューブを末梢血管(腕や足の付け根)より、心臓の各部屋や血管に挿入し圧を測定したり、造影剤をカテーテルを通して注入し、形態を観察する検査法です。
 特に虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の診断に有用で、侵襲の少ない検査法(心エコー図検査や心臓核医学検査など)で虚血性心疾患が強く疑われた場合に適応となり、今後の治療方針の決定に役立ちます。また、心不全や弁膜症といった病気の方も、このカテーテル検査を受けることによって病気の進行度や治療方針の決定に役立ちます。
 狭心症とは、動脈硬化などによって冠動脈が細くなり、血液の流れが悪くなり胸痛が生じる状態です。また、冠動脈が突然詰まると心筋梗塞を起こします。これらの狭窄を解除する手術が経皮的冠動脈形成術(PCI:percutaneous coronary intervention)と呼ばれるカテーテルを使った血管内手術です。
 これは細くて軟らかい針金を狭窄している血管の中へ進め、その針金を介してビニール製の風船を進め、狭窄している病変部で拡げ、その後風船は抜き去ります。風船だけでは不十分の場合は、ステントという金属の筒状のものを留置することもあります。

 

CTでの診断

 

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64列マルチスライスCTによる冠動脈造影
 CTで冠動脈の狭窄情報を得られることをご存知ですか?
 CT (コンピューター断層撮影装置) は身体にさまざまな角度からX線をあてて、水平方向に輪切りにした断層面を撮影する装置です。撮影方法によりいろいろな角度の断面を撮影することができます。  当院で平成18年4月より新たに導入した64列マルチスライスCTでは、一度に0.6mmの断層像を最大64枚同時に撮影することができ、撮影速度も0.33秒と高速で、高精度の3D(立体)画像・断層画像を得ることが可能です。  従来のCTでは心臓の冠動脈のような動きのある血管・臓器の撮影は困難でありましたが、64列マルチスライスCTでは、動きのある心臓の冠動脈においても心拍変動などの影響を受けにくく、かつクリアな画像を約10~15秒間の息止めで得ることが可能となりました。これにより、従来は心臓カテーテル検査でしか得られなかった冠動脈の情報をCTでも得ることができます。  また当大学では、近年話題となっているメタボリック症候群と冠動脈疾患との関連性についても多方面から研究しており、患者様の同意のもと冠動脈CTと同時に臍部のCTを撮影させていただき、内臓脂肪も評価しております。  造影剤の点滴は必要ですが、検査自体は20分程度で終了し、外来でも行えるため、患者様にとってきわめて侵襲の少ない、身体にやさしい検査であり、近年大いに注目されているとともに、今後のさらなる発展が期待されています。
 ただし、以下のような条件の方は造影CTができません。
      腎機能障害 (Cr >1.5)
      造影剤アレルギーの既往
      気管支喘息 (必要性が高い場合には施行できますのでご相談ください)
 また、以下のような条件の方は冠動脈狭窄の正確な判断は困難となります。
      頻脈 (>80/分)
      心房細動
      期外収縮の多発
      高度石灰化病変
 狭心症の症状としては非典型的だが、念のため一度冠動脈を確認しておきたい
 狭心症が疑われるが、カテーテルまではしたくない
 糖尿病歴が長く、一度スクリーニングで冠動脈を確認しておきたい
  などさまざまなニーズにお応えできると思いますので、どんどん利用して下さい。

不整脈の診断

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不整脈の診断のための検査は5種類あります。
 1つ目のHolter ECGは、携帯型の心電図を24時間装着し、日常生活中の不整脈の有無を調べ、その重症度と症状との関連を明らかにします。
 2つ目の運動負荷心電図は、ベルトコンベアー様の運動負荷装置の上を心電図をつけながら20分ほど歩いていただき、運動時に生じる不整脈の有無、運動による不整脈の増悪の有無を診断します。
 3つ目の加算平均心電図は、通常の心電図を300心拍分加算して増幅させ、心臓内の異常な電気的興奮(伝達遅延)の有無を診断します。
 4つ目の87点体表面電位図は、左右の胸部と背部から合計87心電図を記録し、心臓全体での電気の流れの異常の有無を診断します。
 上記4つの検査で診断が困難な場合や治療が必要とされる不整脈が認められた場合は、入院して臨床電気生理学的検査(カテーテル検査)をします。これは、不整脈の原因となっている場所の特定と、内服治療をしている場合にその薬の有効性を診断するための検査です。局部麻酔後、両足の付け根(及び必要に応じて頚部)から電極カテーテル(直径2mm程の管)を血管内に挿入し、心臓内の各部分に置いて電気の流れを記録し、電気刺激を加えることにより診断します。この検査を元にその後の治療方法が検討されます。

心臓核医学検査

 

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放射性同位元素を用いて心臓の機能や形態を検査するのが心臓核医学検査です。
 全ての元素は陽子と中性子からなる原子核を持っていますが、同じ元素でも中性子の数が異なるものが存在し、これらは同位元素と呼ばれています。同位元素のなかでも原子核が不安定なものは、たえず放射線を放出して安定状態に移行して行きます。このような同位元素を放射性同位元素といいます。
 医療用に用いられる放射性同位元素から放出される放射線は、比較的低エネルギーのガンマ線であり、人体に大きな影響なく検査することができます。放射性同位元素を含む放射性医薬品を静脈内注射すると、それぞれの薬剤の特性に応じて心筋などの組織に取り込まれます。その放射性同位元素から対外に放出されるガンマ線をカメラで撮影し、その取り込み状況から診断します。
 循環器領域では心筋血流、心筋梗塞、心筋脂肪酸代謝、心筋ブドウ糖代謝、心臓交感神経機能、心腔・血管形態等を診断することができます。