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教授ごあいさつ

医学部というと、「病院」「医療」などの言葉を連想すると思います。でも、「病院」という場での「医療」だけで、人々の健康を守ることができるでしょうか?

公衆衛生学は、そのような疑問に答えを出せる研究分野の1つです。まだ病気になっていない方も含めて、「すべての人々(公衆)の健康(生)をまも(衛)る」という理念の下、病気の予防や早期発見、予後の改善などに貢献するための研究を行っています。研究の対象は常に「集団」であり、その実践を支える理論は「疫学(epidemiology)」、すなわち人集団における健康事象を紐解く医学研究手法です。

当教室では、感染症、難病、肝疾患をはじめとする様々な疾患を対象に疫学研究を行っています。臨床医が患者さん1人1人の病状や生活にあわせて治療を選択するように、私達もまた、対象とする疾病の特性や社会状況を勘案しながら研究に取り組み、時には新たな手法を適用します。地域・国・世界レベルでの健康課題の解決に向けて、学内外の研究者、行政、産業界と連携しながら、常に進化し続ける教室でありたいと思っています。

臨床医あるいは社会人としての経験を積むうちに、公衆衛生学・疫学の重要性に改めて気付くこともあるでしょう。公衆衛生学・疫学をもう一度学びたい、共に研究したいと思った時、いつでも当教室の門をたたいて下さい。

当教室では、上下の関係なく、自由闊達な議論を尊重しています。言い換えると、上下の関係なく自身の意見を述べるためには、「相応の自己学習」が必要という認識です。また、教育に携わってきた中で1つ実感するのは、「素直な人は、年齢にかかわらず伸びる」ということ。「素直」とは、イエスマンではありません。他人の良いところを取り入れ、指摘は謙虚に受け止めて、自己を柔軟に修正してく能力です。

研究の世界は決して華やかではありませんし、予想していた解が得られるとは限りません。「日々の努力がいつか結実すると信じ、一歩一歩進む」といった地味なものかもしれません。それでも、自身の研究成果が認められ、社会に貢献できた時は、言葉に表せないぐらいの充実感です。私たちと一緒に、新たな課題に挑戦したいと思う方の参加を心から歓迎いたします。

2017年9月 福島 若葉