留学報告

平成19年卒 関節リウマチグループ 真本建司

2017年春からアメリカに研究留学させていただいております真本建司です。
日本では主にエコーを用いて、関節リウマチや他の疾患の関節炎及び筋骨格系病変の画像評価をしていました。エコーは、機器の性能が飛躍的に向上したことから、低侵襲かつ簡便にほぼ全ての筋骨格系の評価をすることが可能であり、整形外科領域では様々な疾患の診断・鑑別において非常に有用なツールとなっています。しかしながら、MRIやCTと比較して、骨内病変や軟骨変性の評価、定量化においてはまだ不十分であると言えます。そこで、advanced imaging techniques (MRI, HR-pQCT)を用いて、筋骨格系の画像研究を盛んに行っている、University of California, San Francisco (UCSF) のRadiology and Medical ImagingにあるDr. Li Labで2017年4月から研究留学をさせていただく機会を得ることができました。UCSFでは、まず、これまであまり経験のなかった詳細なMRIやCTの画像解析(主に関節リウマチや変形性関節症の患者さんを対象)について、詳しく学ばせていただきました。そして、同年8月から、Dr. Liとともに、Ohio州にあるCleveland ClinicのBioMedical Engineeringにうつり、筋骨格系の画像研究を続けています。所属施設が変わり、新たなプロジェクトを一から立ち上げているため色々苦労していますが、一緒に共同研究するグループなど、周りの環境が大きく変化したことで、さらに幅広い交流や知識を得ることができています。また、一度の留学で、アメリカの有名な2施設で研究できていることは、私にとって、非常に貴重な経験となっています。
留学期間中は、臨床とは離れ、画像研究だけに多くの時間をさくことができています。もちろん、しばらくの期間、臨床から離れることに多少の不安はありますが、その分、研究のみに集中することが可能で、とても充実した研究生活を送ることができています。そして、アメリカに来てから、こちらの研究結果で、いくつかの主要な国際学会での口演をする機会もいただいておりますし、論文執筆にも取り組んでいます。帰国までに、少しでも多くの知識・経験を得るとともに、より多くの結果(論文)も残せたらと考えています。
また、こちらでは、週末はたっぷり時間を取ることができるので、研究が忙しくないときは、旅行などを楽しみながら、家族とゆっくり過ごすことができています。充実した研究ができているだけではなく、家族とともに異文化に触れることができて、私生活も非常に充実した日々を送っています。
この留学で得た知識と経験を生かし、日本帰国後はエコーのみではなく、CT・MRIの特性を活かし、様々な視点からの画像研究ができるよう、残りの期間、画像研究に邁進していきたいと思っております。

HR-pQCT(左)では、高解像度であることから、詳細な骨びらんや骨量の定量評価が可能です。

MRIでも、特殊なソフトウェアを使って、自動で骨髄浮腫や滑膜炎の定量評価ができますし、 T1rho/T2 mapping technique(右)を使えば、軟骨変性の程度を定量化することも可能です。

主に、このCT・MRIを使って、臨床データとあわせて、画像研究を日々行っています。

Cleveland Clinic, Imaging Labの集合写真。
様々な分野の画像評価をしているいくつかのImaging Labが、整形・放射線・リウマチ科などの臨床チームと共同して、色々なプロジェクトを立ち上げ、進行させています。

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