国内留学報告(新潟手外科研究所病院)

平成22年卒 手外科グループ 斧出絵麻

平成24年度入局の斧出絵麻と申します。2020年1月から3月にかけて新潟手の外科研究所病院にて手の外科研修を受けてまいりましたので、報告させて頂きます。

手の外科医を目指す若手医師にとって憧れの地はいくつかありますが、今回そのうちの1つである新潟手の外科研究所病院にて手の外科研修を受けさせていただくことが出来ました。西日本で生まれ育った私にとって真冬の新潟は未知の世界でしたが、今年は稀にみる暖冬の影響で積雪を記録した日は数えるほどしかなく、なんとか無事に3か月間を過ごすことが出来ました。

新潟手の外科研究所病院は、新潟県北蒲浦郡聖籠町にある50床の手外科専門病院です。手外科疾患の診療に特化しており、新潟県に留まらず全国から患者さんが来院します。私が留学させていただいた時には、5名のご高名なスタッフの先生と3名の研究医の先生が早朝から夜遅くまで診療にあたっていらっしゃいました。

年間約2900件の手術件数をほこり、連日緊急手術の絶えない日々でしたが、中でも農作業や工場での手指外傷、凍結路面での転倒による骨折、暖房器具による熱傷、動物咬傷など、受傷機転や疾患の種類に地域の特徴があり大変興味深く感じました。毎朝行われるカンファレンスでの討論は非常に勉強になり、先生によって少しずつ異なる手術の作法やアプローチを助手として間近で拝見させていただけたことはかけがえのない経験となりました。無駄がなく、何気ないようで実は細かい工夫が沢山詰まった手技の数々に、改めて手術の奥深さを感じました。3名の研究医の先生は、2名が新潟大学手外科班の先生、1名が他大学から1年研修で来られている先生でした。皆さん卒後10年前後であり、同世代の先生が日々黙々と手外科の勉強や仕事に向き合う姿に大変刺激を受けました。

また、研修期間中に吉津孝衛先生からマイクロサージャリーの直接指導を受ける機会もいただきました。ラットの頚部、鼠径部、尾部の動脈を展開し、吻合の練習をさせていただきました。術前の準備から道具の使い方、運針、結紮に至るまで、非常に丁寧に細かく御指導いただき大変貴重な経験となりました。

最後になりましたが、今回の留学をお許しくださいました中村博亮教授をはじめ、同門の先生方にこの場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げます。また手外科研修生として受け入れ、御指導くださいました新潟手外科研究所病院の先生方、スタッフの皆様にも心より感謝申し上げます。

  • 新潟手の外科研究所病院新潟手の外科研究所病院
  • 時間さえあれば顕微鏡視下に手術用手袋の縫合練習時間さえあれば顕微鏡視下に
    手術用手袋の縫合練習

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