留学報告

平成20年卒 脊椎グループ 玉井孝司

今回、中村教授をはじめ多くの先生方のご協力を得て、2016年8月から2017年8月まで米国へ留学致しましたので報告させていただきます。

私は米国カリフォルニア州ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学の脊椎センターに留学しておりました。チェアマンはAO spineの会長などを歴任されてきたJeffrey C. Wang先生です。中村教授がアメリカに留学されていた際に、Wang先生と友人になり、そのご縁で打診させて頂きました。

留学先ボスのJeffrey C. Wang先生と
留学先ボスのJeffrey C. Wang先生と私

ロサンゼルスは、非常に温暖で、雨期は週一回の小雨程度、乾期はほとんど雨がふらないという安定した気候が特徴のため、夏は半袖のTシャツのみ、冬でも薄手のジャケットで過ごせる、と伺っておりました。しかし、私が留学した年は厳冬で、さらにカリフォルニア州で2012年から続く「500年に一度の大干ばつ」が改善するほど降水量が多かったため、こちらの人は喜んでいましたが、私にとってはやや残念でした。しかし、やはり春から秋は非常に暖かく、また日没が20-21時と遅いため、5歳の長男にせがまれて、ほぼ毎日、帰宅後にマンション内にあるプールへ遊びに出かけておりました。

マンション内のプールと(当時はまだ泳げない)長男と私 マンション内のプールと(当時はまだ泳げない)長男と私

アメリカは場所によって治安の良し悪しが非常に強い差があると伺っていたため、自宅は大学より少し離れた、治安のいい場所にマンションを借りました。そのため、自宅周辺環境はこの上なく良好だったのですが、留学した大学はダウンタウンの端にあり、周辺の環境はお世辞にも良いとは言えませんでした。イラクから来た友人は、大学から徒歩圏内のマンションに住んでいたのですが、居住開始2週間で、近くのショップに押し入った強盗を目撃したため警察に連れて行かれて犯人の面通しに立ち会わされた…と言っていました。「ここは、イラクより危険だ。」って言っていたのを強く覚えております。

南カリフォルニア大学。構内はとてつもなく綺麗なのですが…南カリフォルニア大学。構内はとてつもなく綺麗なのですが…

私が1年間滞在した脊椎ラボはZorica Buser先生というドイツ系アメリカ人女性がチーフとして仕切っておりました。研究は大きく分けて三つあり、一つ目はkinematic MRIという座位で撮影されたMRIの解析を行う研究です。本来、脊椎MRIでは撮影されない前屈後屈時のMRIも撮影可能なため、椎間板や靱帯が前後屈時にどのように変化しているのか、などを検討できる利点があります。私は、頸椎バランスとMRI所見との関連を解析する研究を中心に行いました。二つ目の研究はHumana社という保険会社のデータを解析する研究です。アメリカは国民皆保険制度がないため、患者は民間の保険会社と契約して医療費補助を受けます。日本では信じられませんが、民間会社のため、患者データを匿名化した後に研究者が有料で使用できるようなシステムがあるようです。匿名化された保険データ故に、多くの制約もありますが、やはり頸椎前方除圧固定患者を検索するだけで40,000症例弱のデータを利用できる点はとても強い特徴です。最後の研究は、基礎研究です。私は、ニコチンが骨髄間葉系幹細胞の骨分化に及ぼす影響を評価するという研究を行いました。

最後にこちらで知り合った多くの友人を紹介してきたいと思います(写真も併せてご参照ください)。まずは前述もしましたが、研究室チーフのZorica Buser(愛称:Zori)です。非常に有能で働き者の女性です。僕の拙い英語にもつきあってくれて、自身の研究にも私の意見を尊重し取り入れてくれるなど、非常に柔軟な思考も持っています。お互いの子供の年齢が近いということも有り、何度も家族パーティーを開いてくれて、公私共々、そして家族皆がお世話になりました。次に、盟友のPermsak Paholpak(愛称:Ton)です。彼はタイからやってきた留学生で、アメリカに留学する前に1年間日本にも留学していたため、日本語も非常に堪能で本当にお世話になりました。

  • ラボメイト、研究に来ていた医学生、研究室チーフと共に。上段:左から中国系タイ人(Ton)、ドイツ系アメリカ人(Zori)、広島系関西人(Koji)、韓国系アメリカ人(Tony)、下段:左から、中国系アメリカ人(Mike)、インド系アメリカ人(Isharn)Zoriの家に招かれたParty。
    Zori familyと盟友のTonと玉井家
  • ラボメイト、研究に来ていた医学生、研究室チーフと共に。上段:左から中国系タイ人(Ton)、ドイツ系アメリカ人(Zori)、広島系関西人(Koji)、韓国系アメリカ人(Tony)、下段:左から、中国系アメリカ人(Mike)、インド系アメリカ人(Isharn)
ラボメイト、研究に来ていた医学生、研究室チーフと共に。
    上段:左から中国系タイ人(Ton)、ドイツ系アメリカ人(Zori)、広島系関西人(Koji)、韓国系アメリカ人(Tony)、下段:左から、中国系アメリカ人(Mike)、インド系アメリカ人(Isharn)

留学中も、総じて素晴らしい上司や多くの友人に恵まれて、非常に実りの多い充実したものでした。機会があれば、もう一度行きたい!と心から思います。ああー、楽しかった!!

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