「重症児の在宅支援を担う医師等養成プログラム」 大阪公立大学

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プログラム概要

現状と課題

小児在宅医療の現状と未来

 日本の小児医療、その中でも新生児医療の進歩はめざましく平均寿命つまり0歳児の平均余命を世界のトップクラスに押し上げる大きな要因となっています。早期産児や超低出生体重児に対する高度先進医療だけでなく、仮死で生まれた成熟児に対する脳低温療法が標準化されることでも多くの命が救われるようになりました。しかし、出生時に命は救われたものの、人工呼吸器等の医療的サポートが必要な小児が増加しています。日本で出産後1年以上病院にいる幼児は300~500人と多く、postNICUとして問題になっています。そのうち98%が重症心身障害で、77%が超重症児です。重症心身障害とは“重度の知的障害および身体的障害が重複していること”と定義されています。大阪府の重症心身障害児(者)数は7916人(0.09%)で、そのうち約1/3の2660人が小児です。しかもその約1/5の500人が在宅人工呼吸、酸素、IV H、腹膜透析などの小児ハイテク在宅医療を受けています。これは国の指針もありますが、家族や施設関係者を含む多くの人たちが、超重症児でもまずは在宅生活をめざすことが重要であると考えるようになってきたからです。そのために、短期入所、通園事業および介護者の休息のためのレスパイト等の体制も次第に整えられてきています。postNICUから在宅生活へ橋渡しをする中間またはサポート施設として重症心身障害施設の役割がありますが、これらが必ずしもうまく利用されているとは限らないのが現状です。
文部科学省は平成26年度「課題解決型高度医療人材養成プログラム(医師養成プログラム)」を募集し、これらをコーディネートする専門の医師や看護師の育成を推進するようになりました。全国の4つの大学(鳥取大学、秋田大学、山形大学、大阪公立大学)に大学院コースを新設し5年後に博士課程を修了した専門の医師・看護を輩出し、これらの専門医療従事者を全国に派遣しNICUに長期入院している重症心身障害児をまず小児病棟に移し、ここからコーディネーターを通じて在宅を実現していく構想です。このためにpostNICU児および重心児の院内診療体制整備(早期退院に向けた多職種を含む院内体制整備と地域支援システムとの連絡)、地域支援ネットワークの構築などの準備を進めています。
また厚生労働省は昨年8月にヒト幹細胞臨床研究実施計画 で「新生児低酸素性虚血性脳症に対する自己臍帯血幹細胞療法」を承認し、平成26年度「再生医療実用化研究事業」を募集し全国11施設が共同で行う「新生児低酸素性虚血性脳症に対する自己臍帯血幹細胞治療に関する研究」を採択し、その中の6施設で臨床研究を推進するようになりました。米国で先行するこの臨床試験では自己臍帯血幹細胞移植により脳性麻痺児が半減すると報告されています。
このような国の事業により重症心身障害児の数が減り、postNICUから在宅生活が可能になることで小児医療の今後ますますの発展が期待されます。

大阪公立大学医学部附属病院 小児科・新生児科 教授 濱崎考史
大阪公立大学大学院医学研究科 障がい医学・再生医学寄附講座 特任教授 新宅治夫

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