慢性疲労を早期に自覚するための自己診断チェックリストについて
(文部科学省 生活者ニーズ対応研究 
  疲労及び疲労感の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究報告書より改変)


 日本において、一般地域住民を対象とした複数の調査で約6割の人が疲労を感じていることが報告されていますが、近年の調査ではその半数の人では疲労が半年以上続くか繰り返していることが明らかになっています。これは原因不明の慢性的な疲労状態が続く代表的な疾患である慢性疲労症候群の診断基準の一部を満たしている状態です。これら多くの人は、一晩休息を取っても疲労は回復しないと答えており、このまま放置すると過労状態や慢性疲労症候群のような病的な疲労状態に陥ってしまう可能性があります。
しかし、何とか日常生活をこなすことが可能な場合、病院へ行く手間を考えてそのまま放置していることが多いのが現状です。それには、疲労を簡便かつ客観的に知る方法がないために自分の疲労を過小評価している可能性が原因としてあげられます。さらに疲れているのは自分だけではないから休むわけにはいかないとする、周囲への配慮や自己犠牲をいとわない性格も影響することがあるようです。


 したがって、慢性疲労を自覚している人々の健康障害を予防し、病的な慢性疲労の可能性がある場合は早期に検査や治療を受けるための、簡便な自己診断疲労度チェックリストの必要性がますます高まっています。

 そのニーズに応えるために、本研究では慢性的な病的疲労状態の代表である慢性疲労症候群の診断基準に記載されている身体症状と精神神経症状を基に本チェックリストを作成しました。このチェックリストは、健常成人120名と慢性疲労症候群患者127名の結果を基に、その有用性と信頼性の検証がなされています。慢性疲労状態が改善すると、このチェックリストの結果も改善することがわかっています。つまり、定期的にこのチェックリストで疲労状態の変化をみることができるというわけです。このチェックリストで、すべての疲労が正確に評価できるわけではありませんが、上手に活用していただいてより健康な生活をおくる一助になることを我々一同願っております。