宇宙放射線

宇宙放射線の哺乳動物への影響の研究

宇宙は太陽からの陽子線、電子線、銀河系からは陽子線、α線、重粒子線、中性子線、γ線が、また地磁気により補足された陽子線、電子線が錯綜する空間である。
宇宙放射線の影響を解析することは、長期的な有人宇宙飛行、有人火星探査などを想定した場合、リスクの評価および防御対策の策定に重要である。
しかし、生物を長期間宇宙環境におき、宇宙放射線の影響を調べる実験は行われていない。
そこで、我々はマウスES細胞を凍結させ、国際宇宙ステーション(ISS)に打ち上げて、数年凍結保存した後、地上に戻し放射線による細胞生存率の低下、DNA損傷、染色体の異常、さらに、受精卵に移植後の発生を調べ、長期滞在へのリスクを評価することを計画した。
2013年3月にマウスES細胞をスペースXII号機で国際宇宙ステーション(ISS)にES細胞を打ち上げ、約1年ごとに回収し2017年には最後の4年目のサンプルを回収した。
これらのサンプルについて、現在、宇宙放射線によるDNA損傷や染色体異常、さらにマイクロインジェクションにより個体発生への影響などを解析している。
その結果から宇宙放射線の人類に対する影響を考察する予定である。



宇宙実験の経過

写真のようにマウスES細胞を増殖させてクリオチューブに凍結保存した。
90本ずつパッケージにして、Glacierと呼ばれるNASAのフリーザーに保管し宇宙船(スペースX)に載せ、ファルコン9ロケットにより国際宇宙ステーションに凍結の状態で細胞を送った。
ISSではMELFIとよばれる冷凍庫(-95℃)に保管された。
その後、約1年、2年、3年、4年後にスペースXで回収し解析を行っている。
ISSでは、宇宙放射線を物理学的にモニターするPADLESというシート状の計測器がパッケージについていて、宇宙飛行士により1年ごとに交換される。
写真(動画)は若田船長により交換される様子が地上に送られてきたものである。


共同研究;日本宇宙フォーラム「万能細胞(ES細胞)を用いた宇宙環境が生殖細胞に及ぼす影響の研究」
関連するホームページ;
(NASA)
https://www.nasa.gov/mission_pages/station/research/experiments/895.html
(JAXA)
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/news/130308_stem_cells.html
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/theme/second/stemcells/
(You Tube; Astronaut Wakata, Chief of ISS)
www.youtube.com/watch?v=uRN_TWYSjYc


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