蛋白(protein)

 蛋白は、タンパク、たんぱく、蛋白質、タンパク質、たんぱく質などの異なる表記があるが、全て同義である。プロテインと、英語をカタカナで表記することもある。
 蛋白は、アミノ酸がペプチド結合により重合したポリマーであり、質量数が大きな分子である。ペプチドもアミノ酸のポリマーであるが、一般に蛋白よりも小さい分子量のものを指す。ただし、ペプチドと蛋白の境界は必ずしも明確ではない。蛋白は、酵素などの特定の機能を持つことが多い。ヒトでは、ほとんどの蛋白は肝臓で合成され、一部がその他の臓器や組織(骨髄など)、細胞(免疫細胞など)で合成される。

 血清蛋白(血清蛋白)

 血清蛋白の一般的な分類法は、電気泳動での泳動度による分類で、大きくアルブミンとグロブリンに分類される。正常では、アルブミングロブリン=2:1である。また、グロブリンは、α1、α2、β、γの4つに大きく分類される。血清蛋白の多くは、肝臓で合成されるが、γグロブリンはご存知の通り、免疫グロブリンであり、免疫細胞(B細胞、形質細胞)で合成される。

 アルブミン(albumin)

 albuminのalb-は、白を表す接頭語(ラテン語のalbusに由来)である。albino(白子)、album(アルバム、白い板などを意味する)。その他の派生語として、Albania(アルバニア[地名])、Alps(アルプス、アルプ山脈)、albatross(アホウドリ)、Candida albicans(カンジダ・アルビカンス[真菌名])などがある。
 albuminは、albumen(卵白)に由来し、卵白に多く含まれる卵白アルブミン(ovalbumin)の仲間であることによる。

 グロブリン(globulin)

 glob-は、球状を表す接頭語である。globe(球・地球)、glomerular(糸球体)などがある。したがって、球状蛋白という意味合いであるが、アルブミンも球状であるため、必ずしもグロブリンの特徴を表しているわけではない。

 アミノ酸(amino acid)

 分子内にアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)をもつ化合物の総称で、蛋白を構成する要素の一つである。
 アミノ基とカルボキシル基が結合する炭素の位置により、α、β、γ、δ、εなどのアミノ酸が存在するが、蛋白を構成するアミノ酸は全てα-アミノ酸である。また、グリシン以外のアミノ酸は、L体、D体という光学異性体を持つが、蛋白を構成するアミノ酸は全てL体である。自然界に存在する約500種類のアミノ酸のうち、蛋白をを構成するアミノ酸は20種類である。そのうち、ヒト(や動物)が体内で作ることのできない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸、体内で糖質や脂質から作り出すことのできる残りの11種類を非必須アミノ酸と呼ぶ。
 必須アミノ酸は、イソロイシン(isoleucin)、ロイシン(leucin)、リジン(lysin)、メチオニン(methionin)、フェニルアラニン(phenylalanine)、スレオニン(threonin)、トリプトファン(tryptophan)、バリン(valine)、ヒスチジン(histidine)、
 非必須アミノ酸は、チロシン(tyrosine)、システイン(cystein)、アスパラギン酸(aspartate、aspartic acid)、アスパラギン(aspargine)、セリン(serine)、グルタミン酸(glutamate、glutamic acid)、グルタミン(glutamine)、プロリン(proline)、グリシン(glycine)、アラニン(alanine)、アルギニン(arginine)
である。  必須アミノ酸は、蛋白として食事から摂る必要がある。 内部リンク:語源〜網野さん

 ペプチド(peptide)

 蛋白と同様、アミノ酸のポリマーであるが、アミノ酸の数が50までをポリペプチド、50以上を蛋白と呼ぶことが多い。ただし、明確な定義はなく、10個のアミノ酸からなる蛋白も知られる。
 2個のアミノ酸が結合したものをジペプチド、3個ではトリペプチドと呼ぶ。また、アミノ酸の数によって、オリゴペプチド(2〜20個程度)、ポリペプチド(20個を超える)と呼ばれることがある。
 ホルモンや抗菌作用などの役割(機能)が知られているものがあり、インスリンのような血圧降下作用、デフェンシンなどの抗菌作用などが代表的である。