リコモジュリン

商品名 リコモジュリン
一般名 トロンボモデュリンアルファ(遺伝子組換え)
発売開始年月 2008年6月
販売 2008年5月
形状 1バイアルにトロンボモデュリンアルファ(遺伝子組換え)として12800U
効能又は効果 汎発性血管内凝固症候群
疾患の背景 汎発性血管内凝固症候群は感染症、悪性腫瘍、外傷、婦人科疾患
などで高頻度に発症する病態で、播種性に全身の微小血管内に血栓
が形成され、その結果、虚血などにより臓器障害をきたすとともに、
凝固因子の消費性低下と二次線溶亢進により著明な出血傾向を示
す症候群である。感染症では、細菌内毒素(エンドトキシン:リポサッ
カライド)の生体内侵入により活性化された白血球や血管内皮細胞な
どに凝固惹起因子の組織因子が発現して発症する。また悪性腫瘍で
は化学療法などによって腫瘍細胞が崩壊して組織因子が放出され、
汎発性血管内凝固症候群の引き金となることもある。リコモジュリン
はトロンビンによるプロテインC活性化を促進する。生成した活性化プ
ロテインCはプロテインSの補酵素として凝固促進因子の第Va因子と
第VIIIa因子を分解(不活性化)し、トロンビンの生成を抑制して凝固
反応を阻害する。
第III相臨床試験
(二重盲検比較
試験)の結果要
対象
厚生省DIC診断基準に基づきDICと診断された(DICの基礎疾患が造
血器悪性腫瘍あるいは感染症の)入院患者
投与量
リコモジュリン群:380U/kgを1日1回30分静脈持続投与
ヘパリン群:8U/kg/hr、24時間静脈内持続投与
投与期間:6日間
主要評価項目:DIC離脱率(非劣性の検証)
症例数:232例
結果(%はリコモジュリン群、ヘパリン群の順)
@DIC離脱率(主要評価項目)
 造血器悪性腫瘍 65.6% vs 54.9%、感染症 66.7%vs54.9%、造
血悪性腫瘍+感染症 66.1%vs49.9%であった。リコモジュリン群の
ヘパリン群に対する非劣性が検証された。

A出血症状の経過
 出血症状の経過(7日目)における消失率は造血器悪性腫瘍 32.
6% vs13.3%、感染症 37.8%vs28.3%であった。
B28日目転帰
投与開始後28日目の死亡率は造血器悪性腫瘍 17.2% vs 18.0%、
感染症 28.0%vs34.6%であった。
B凝血学的検査値に対する効果
TAT、D-ダイマー、プロテインC、ATIII、PAI-1はいずれもリコモジュリ
ン投与後改善する報告へ変動した。
安全性
リコモジュリン群の出血症状に関連する有害事象の発現率(7日目)
は43.1%であった(ヘパリン群は56.5%)。
リコモジュリンにおいて279例中36例(12.9%)に副作用が認められ
た。
その主なものはAST上昇10例(3.6%)、ALT上昇8例(2.9%)、カテー
テル留置部出血7例(2.5%)、尿沈渣赤血球陽性5例(1.8%)等であ
った。
重大な副作用として出血が挙げられている。肺出血(0.4%)等があら
われることがあるので、観察を十分行い、徴候がみられた場合には
画像診断等により確認し、投与を中止する等、適切な処置を行う。
用法及び用量 通常、成人には、トロンボモデュリンアルファとして1日1回380U/kgを
約30分かけて点滴静注する。なお、症状に応じて適宜減量する。注
射液の調整は1バイアル(12800U)当たり2mlの日局生理食塩水で溶
解し、この溶液から患者の体重にあわせて必要量をとり日局生理食
塩水100mlに希釈し、点滴静注する。なお、本剤は主として腎臓から
排出されるため、重篤な腎機能障害がある患者にたいしては130U/
kgに減量して投与(特に血液透析療法中の患者)。
注意 本剤の臨床試験において7日以上の投与経験はなく、本剤を7日間以
上投与した場合の有効性、安全性は明らかではない。従って漫然と
投与を継続することがないよう注意すること。
相互作用 抗凝固剤、血栓溶解剤、血小板凝集抑制作用を有する薬剤との併用
により出血傾向を増強するおそれがある。


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