非ホジキンリンパ腫

B細胞性びまん性大細胞型リンパ腫(Mediastinal large)


1. 胸腺中のB細胞に由来する腫瘍と考えられている.
2. 全非ホジキンリンパ腫の2-5%と少なく、20-40歳の若年層、特に女性に多い.
3. 半数以上に上前縦隔の巨大腫瘤を認め、呼吸苦、咳嗽、上大静脈症候群を認める.
4. 中型から大型のさまざまな核の形を有するリンパ球がびまん性に増殖する.CD19,CD20,CD22,CD79a,IgMが陽性。CD10は陰性。線維束が腫瘍細胞を取り囲む硬化像(sclerosis)が認められる.



5. 本疾患に特徴的な染色体異常はない.遺伝子学的研究より本疾患ではBCL-2遺伝子の再構成やBCL-6の変異が認められないことが判明している.また胸腺で発現するMAL遺伝子の過剰発現が報告されており、本疾患の発生母地が胸腺であることが裏付けられている.
6. IPI不良群、初回治療低反応群、bulky mass、治療後の核医学検査陽性所見を有する群(特にFDG-PET検査が有用)などが予後不良因子となる。bulky massはCT上残存することがあるが、これらの病変の多くは壊死組織や線維組織であり、必ずしも腫瘍細胞の残存を意味しない。この点からもFDG-PET検査が推奨される.
7. 骨髄浸潤認める例が少ない点、若年者に多いといった点から比較的予後は良好と報告されている。造血幹細胞移植の位置づけは現時点では定まっていない.




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