疲労にともなう変化に着目!
  今回の研究では、脳機能の変化や行動特性を調べることにより疲労に伴う変化を客観的に捉えることにしました。
 
  ATMT法とは?
  運動後の疲労では、血液中に乳酸やピルビン酸などの物質が上昇することがよく知られています。
しかし、日常生活の中で感じている疲労感については客観的に評価する適切な方法はこれまでありませんでした。


たとえば、やりがいのあるハードな業務を行う場合、疲労感は達成感によって容易にマスクされるのに対し、疲労は業務の量に応じて蓄積します。そのため、疲労感なき疲労の蓄積が、ときとして過労死をも引き起こすのです

だから、疲労を疲労感だけで推し量るのは危険です。

ヒトは疲れてきますと
1.刺激に対する反応が遅くなる。
2.思考力が低下し、注意力が散漫になる。
3.動作が緩慢で行動量が低下する、などの変化がみられます。

そうした観点から疲労測定機器として
ATMT Advanced Trail Making Test開発し疲労の定量化を試みまし
 
  ATMT法を試してみよう
  コンピューターのスクリーン上に表示された25個の数字を、1から順に番号を指で押す検査です

1を押すと1が消えて26が新たに出現。その際に、ほかの全ての番号の位置がランダムに変化します。

この検査では、1つ1つの番号を押すまでの時間を計測して、脳の反応時間の変化を評価しています。

ATMTを試されたい方は左の画面からどうぞ。
 
  ATMT法を用いた疲労評価  
       健常者の結果      慢性疲労症候群患者の結果
 
 

健常者でも、12回も繰り返すと、反応時間は遅くなってしまいますね。

この検査を続けて行っていると次第に疲れを訴えるようになります。
確かに疲労が出てきているということがわかりますね。

慢性疲労の患者さんでは、測定の前半部分は健常者とあまり変わり がみられませんが、
疲労感が強くなる後半部分では健常者との差がかなり開いてきましたぞ。
 
  アクティグラフによる一日活動量の評価  
       健常者の場合 慢性疲労症候群患者の場合
 
     
  上のグラフの黄印部分(点滅)を注意してみてください。

健常者の場合、起床時における平均活動量(青色の部分)は179分、睡眠時間(紫の部分)は約6時間です。
睡眠時間が少なくても、一日の活動量にはムラがありません。
それに比べて、

慢性疲労症候群の場合は、 起床時における平均活動量(緑色の部分)は126分、睡眠時間(紫の部分)は約11時間です。
長い睡眠時間をとっているにもかかわらず、活動量にはムラがあり、休んでいる時間もあります。


健常者に比べて、強い疲労感がみられる慢性疲労症候群患者では、休息時間が多くなるとともに、起床時間帯における活動量が低下していることがわかりますね。
 
     
 
アクティグラフによる疲れの測定方法は、NASAの宇宙飛行士の行動観察にも使われます。

0.1G以上の加速度が単位時間あたり、どの程度みられるかを計測。正常者では200回/分程度でした。
 
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